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公開日:2009年3月30日

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平成21年3月30日 答申第460号(香川県情報公開審査会答申)

平成21年3月30日(答申第460号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県東讃土地改良事務所長(以下「処分庁」という。)が行った一部公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過

1 行政文書の公開請求

審査請求人は、平成20年9月28日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、「特定土地改良区の平成12年3月に開催された総代会の議事録の全部」の行政文書の公開請求を行った。

2 処分庁の決定

処分庁は、公開請求のあった行政文書として、「特定土地改良区平成12年度通常総代会議事録(平成12年3月19日開催)」(以下「本件行政文書」という。)を特定し、別表1の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして、平成20年10月6日付けで本件処分を行い、審査請求人に通知した。

3 審査請求

審査請求人は、本件処分を不服として、平成20年10月9日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求を行った。

第3 審査請求の内容

1 審査請求の趣旨

「本件処分を取り消すとの裁決を求める」というものである。

2 審査請求の理由

審査請求書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)本件処分は、条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分を取り消し、全部公開をする必要がある。
  • (2)本件決定通知書の記載の非公開事由は、いずれも香川県情報公開条例に規定する非公開事由に該当しない。
  • (3)本件決定通知書の記載の非公開事由は、適法に処分理由が示されていないので、香川県行政手続条例第8条に違反し、本件処分は無効である。

第4 諮問庁の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

1 条例第7条第1号の該当性について

条例第3条第2項において、この条例の解釈及び運用に当たっては、個人に関する情報が保護されるよう最大限の配慮をしなければならないと規定し、原則公開を基本とする行政文書の公開制度の下においても個人に関する情報については、最大限の配慮をして、プライバシーの保護が図られるようこの条例を解釈及び運用するよう求めている。
これを受けて、条例第7条第1号本文においては、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものは、公開しないことができると規定されている。
個人の尊厳及び基本的人権尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するため、個人のプライバシーに関する情報であると明らかに判別できる場合はもとより、個人のプライバシーに関する情報であるかどうか不明確である場合も含めて、個人に関する情報は非公開を原則としている。
また、同号ただし書においては、個人に関する情報であっても、個人の権利利益を侵害しないと考えられ非公開とする必要のない情報及び公益上の必要があると認められる情報を規定し、公開することを定めている。

  • (1)総代会出席者、発言者、副理事長、議長、議事録署名人及び書記の氏名、個人の所属名、議長及び議事録署名人の署名及び印影 これは、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものであるので、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しない。
  • (2)個人の過去の行動、言動及び心情に関する情報 これは、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものであり、たとえ氏名などの個人が識別される部分を除いたとしても、公にすることにより当該個人の権利利益を害するおそれがあることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しない。

2 条例第7条第2号の該当性について

条例第7条第2号本文においては、法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものは、公開しないことができると規定されている。
また、同号ただし書においては、このような情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めている。

  • (1)土地改良区理事長の印影
    印影は、一般的に、法人等が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、法人等が自らの業務の関わりの中で自主的に決定すべきことであり、法人等は、公開すべき相手方を限定する利益を有しているというべきである。
    しかしながら、このような情報であっても、当該法人等がそのような管理をしていないと認められる場合などには、これが公開されても、当該法人等の正当な利益を害するものとは認められない。
    非公開とされた印影は、特定土地改良区から提出された議事録が原本と相違ないことを証明するために押印されているものであり、当該法人がこのような文書を提出する相手方は、処分庁等に限定されていると考えられる。
    すなわち、本件印影はいずれも当該法人が真正かつ真意に基づいて作成した文書であることを示す機能を有する性質のものであるとともに、特定の書類に限定して用いられ、当該法人においてむやみに公にしていないものと認められることから、公にした場合には、当該法人の各種書類の偽造等に悪用されるなどが考えられる。
    よって、当該印影は、当該法人の内部管理情報として管理されているものと認められ、当該印影を当該法人の事業活動に関わりなく、条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の正当な利益を害するおそれがあるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しない。
  • (2)当該法人の収入状況を表す具体的な金額及び相手方
    これは、当該法人の内部管理に属する情報であり、これを当該法人の事業活動に関わりなく、条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の財務状況が推測されるなど、当該法人の正当な利益を害するおそれがあるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しない。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。

2 本件行政文書の内容等について

本件行政文書は、香川県土地改良法施行細則(昭和56年香川県規則第60号)第6条の規定により、特定土地改良区から届出があった議決事項届に添付されている総代会議事録の謄本である。

3 非公開情報該当性について

次に掲げる各非公開条項についての基本的な考え方に基づき、別表2のとおり判断する。

  • (1)条例第7条第1号の該当性について
    条例第7条第1号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するために定められたものであるが、プライバシーの具体的な内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではなく、その内容や範囲は事項ごと、各個人によって異なり得ることから、本条例は、プライバシーであるか否か不明確な情報も含めて、特定の個人が識別され得る情報を包括的に非公開として保護することとした上で、さらに、個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものについても、非公開とすることを定めたものである。
    しかし、これらの個人に関する情報には、個人の権利利益を侵害しないと考えられ非公開とする必要のない情報及び公益上の必要があると認められる情報も含まれているので、これらの情報を本号ただし書で規定し、公開することを定めたものと解される。
  • (2)条例第7条第2号の該当性について
    条例第7条第2号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。

4 第3の2の審査請求の理由のうち、(3)について

条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。

(省略)

別表1
公開しない部分 公開しない理由
土地改良区理事長の印影 当該法人の内部管理に関する情報であり、公にすることにより、当該法人等の正当な利益を害するおそれがあるため。
(条例第7条第2号該当)

個人の氏名及び個人が特定される役職名(公開される部分を除く)議長及び議事録署名人の署名、印影

個人に関する情報であり、特定の個人が識別されるため。
(条例第7条第1号該当)
  • 6ページ目36行目17字目から24字目まで
  • 6ページ目38行目11字目から23字目まで
当該法人の収入にかかる内部管理に関する情報であり、公にすることにより、当該法人の正当な利益を害するおそれがあるため。
(条例第7条第2号該当)
  • 8ページ目2行目から19行目まで
  • 8ページ目21行目から33行目まで
  • 8ページ目35行目から36行目22字目まで
  • 8ページ目40行目27字目から41行目まで
  • 8ページ目43行目13字目から30字目まで
  • 8ページ目46行目から9ページ目17行目まで
  • 9ページ目21行目から23行目まで
  • 9ページ目25行目から26行目まで
  • 9ページ目28行目31字目から34行目まで
個人の過去の行動、言動または心情に関する情報であり、個人の権利利益を害するおそれがあるため。
(条例第7条第1号該当)
別表2
公開しない部分 審査会の判断
土地改良区理事長の印影 印影は、一般的に、法人等が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、法人等が自らの業務の関わりの中で自主的に決定すべきことであり、法人等は、公開すべき相手方を限定する利益を有しているというべきである。
しかしながら、このような情報であっても、当該法人等がそのような管理をしていないと認められる場合などには、これが公開されても、当該法人等の正当な利益を害するものとは認められない。
本件処分により非公開とされた印影は、特定土地改良区から提出された議事録が原本と相違ないことを証明するために押印されているものであり、当該法人がこのような文書を提出する相手方は、処分庁等に限定されていると考えられる。
すなわち、本件印影はいずれも当該法人が真正かつ真意に基づいて作成した文書であることを示す機能を有する性質のものであるとともに、特定の書類に限定して用いられ、当該法人においてむやみに公にしていないものと認められることから、公にした場合には、当該法人の各種書類の偽造等に悪用されることなどが考えられる。
よって、本件印影は、当該法人の内部管理情報として管理されているものと認められ、本件印影を当該法人の事業活動に関わりなく条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
  • 個人の氏名及び個人が特定される役職名(ただし、公開される部分を除く)
  • 議長及び議事録署名人の署名、印影
審査会で見分したところ、処分庁が非公開としたのは、総代会出席者、発言者、副理事長、議長、議事録署名人及び書記の氏名、個人の地区名及び所属名、議長及び議事録署名人の署名及び印影であった。これは、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものであると判断され、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
  • 6ページ目36行目17字目から24字目まで
  • 6ページ目38行目11字目から23字目まで
審査会で見分したところ、当該部分は、当該法人の収入状況を表す具体的な金額及び相手方など内部管理に属する情報であり、これを当該法人の事業活動に関わりなく条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の財務状況が推測されるなど、当該法人の正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
  • 8ページ目2行目から19行目まで
  • 8ページ目21行目から33行目まで
  • 8ページ目35行目から36行目22字目まで
  • 8ページ目40行目27字目から41行目まで
  • 8ページ目43行目13字目から30字目まで
  • 8ページ目46行目から9ページ目17行目まで
  • 9ページ目21行目から23行目まで
  • 9ページ目25行目から26行目まで
  • 9ページ目28行目31字目から34行目まで
審査会で見分したところ、当該部分には、個人の過去の行動、言動及び心情に関する情報が記載されていることが確認された。これは、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものであり、たとえ氏名などの個人が識別される部分を除いたとしても、公にすることにより当該個人の権利利益を害するおそれがあることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。

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