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公開日:2011年10月6日

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平成23年10月6日 答申第487号(香川県情報公開審査会答申)

平成23年10月6日(答申第487号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県中讃土地改良事務所長(以下「処分庁」という。)が行った一部公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

第2 本件審査請求に至る経過

1 行政文書の公開請求

審査請求人は、平成22年6月28日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、次の内容の行政文書の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。

  • (1)平成16年度単独県費補助(土地改良)事業○○○○地区代表者及び共同施行者の住所、氏名が記載された書類
  • (2)××緊急農道の工事平面図
  • (3)××緊急農道に係る公図の写し

2 処分庁による当初決定

処分庁は、本件請求の(1)に対応する行政文書として、「平成16年度単独県費補助土地改良事業(水路改修)○○○○地区(以下「本件事業」という。)に係る土地改良事業施行認可申請書のうち共同施行代表者選任届(以下「選任届」という。)及び同意書」(以下「本件行政文書1」という。)を、本件請求の(2)に対応する行政文書として、「県営単独緊急農道整備事業××地区の計画平面図」(以下「本件行政文書2」という。)を、本件請求の(3)に対応する行政文書として、「県営単独緊急農道整備事業××地区に係る公図転写連続図」(以下「本件行政文書3」という。)を特定し、別表1の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして、平成22年7月12日付けで一部公開決定(以下「当初決定」という。)を行い、審査請求人に通知した。
なお、処分庁は、当初決定の通知書の「公開請求に係る行政文書」の欄に、本件行政文書1から3までの名称ではなく、本件請求の内容を記載していた。

3 先行審査請求

審査請求人は、当初決定を不服として、平成23年9月9日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求(以下「先行審査請求」という。)を行った。

4 処分庁による当初処分の取消し及び本件処分

ところが、先行審査請求に対して諮問庁が審理を行う中で、本件行政文書1のうち選任届にある○○○○地区共同施行(以下「当該共同施行」という。)の代表者の印影及び同意書にある当該共同施行の権利者の印影について、処分庁は当初決定の一部公開決定通知書に「公開しない部分」として記載していないにもかかわらず、公開の実施にあたっては墨塗りして非公開としていたことがわかった。
これを受けて、処分庁は平成23年2月8日付けで、職権で当初決定を取り消し、同日付けで、別表2の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして本件処分を行い、審査請求人に通知した。
なお、処分庁は、本件処分の通知書の「公開請求に係る行政文書」の欄にも、本件行政文書1から3までの名称ではなく、本件請求の内容を記載していた。

5 本件審査請求

審査請求人は、本件処分を不服として、平成23年2月15日付けで、行政不服審査法第5条の規定により、諮問庁に対して審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。
なお、審査請求人は、先行審査請求について、同日付けで取り下げている。
また、諮問庁は、先行審査請求について、平成22年9月22日付けで審査会に諮問していたが(平成22年度諮問第3号)、上記のとおりの事情であるので、平成23年2月28日付けで当該諮問を取り下げている(平成23年3月1日受理)。

第3 本件審査請求等の内容

1 審査請求の趣旨

審査請求書において記載している趣旨は、おおむね次のとおりである。
「本件行政文書は一部公開ではなく全て公開すべきである」というものである。

2 審査請求の理由

審査請求書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。
本件事業の権利者であるため、内容をよく把握する必要がある。

3 意見書による主張

意見書を求めたところ、平成22年度諮問第10号から平成22年度諮問第14号までに対するものと称する意見書が提出された。平成22年度諮問第10号についてのものと考えられる主張は、おおむね次のとおりである。

  • (1)処分庁から指導を受けて公開請求を行ったが、処分が取り消され、再度の審査請求を求められるなどして情報が得られていない。悪意があると考えられる。なぜ、公開請求の指導があったのか。
  • (2)他の地区の共同施行者の情報が公開されたのにどうして、この地区だけ非公開とされたのか。
  • (3)個人の情報の保護という立場から、守られなければいけない情報はあるが、自分自身が事業に関っているという立場から公開されなければならない情報(利害関係のある個人の情報)がある。
  • (4)意図的に情報の非公開を図り、精神的苦痛と個人の財産の侵害を生みながら責任を免れようとすることは許し難い。

第4 諮問庁の説明の要旨

非公開理由説明書による説明は、おおむね次のとおりである。
条例第7条第1号では、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別できるもの又は特定の個人を識別できないが、公にすることにより、なお、個人の権利利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、本号のただし書きに掲げる情報については、非公開情報から除くこととしている。
本号に該当するため非公開とした部分は、本件行政文書1の選任届のうち、当該共同施行の代表者の住所及び印影並びに同意書のうち、当該共同施行の権利者の住所、氏名(当該共同施行の代表者のものを除く。)及び印影である。
選任届及び同意書のうち、当該共同施行の代表者の氏名については、本件事業の計画概要公告の際公にされているが、選任届及び同意書に記載されている当該共同施行の代表者の住所及び印影、並びに同意書に記載されている当該共同施行の権利者(当該共同施行の代表者を除く。)の住所及び氏名、印影については公にされておらず、特定の個人が識別できる個人に関する情報であるので、条例第7条第1号に該当し、同号ただし書きに該当しない。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。

2 本件行政文書について

本件行政文書1は、当該共同施行が本件事業の土地改良法(昭和24年法律第195号)第95条第1項に基づく認可申請に関係して処分庁に提出した文書であり、選任届は土地改良法施行細則(昭和56年香川県規則第60号)第10条に基づき届出されたものであり、同意書は土地改良法第95条第2項に基づき作成され、事業認可申請に際して提出されたものである。
本件行政文書2は、県営単独緊急農道整備事業の計画を図面にしたものである。
本件行政文書3は、県営単独緊急農道整備事業に関して予定地(近辺を含む。)の公図を連続して転写し、数枚の図面にしたものである。

3 非公開情報該当性について

条例第7条第1号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するために定められたものであるが、プライバシーの具体的な内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではなく、その内容や範囲は事項ごと、各個人によって異なり得ることから、条例は、プライバシーであるか否か不明確な情報も含めて、特定の個人が識別され得る情報を包括的に非公開として保護することとした上で、さらに、個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものについても、非公開とすることを定めたものである。
しかし、これらの個人に関する情報には、個人の権利利益を侵害しないと考えられ非公開とする必要のない情報及び公益上の必要があると認められる情報も含まれているので、これらの情報を本号ただし書きで規定し、公開することを定めたものと解される。
この基本的な考え方に基づき、処分庁が本号に該当するとして非公開とした部分について検討する。
処分庁が非公開としたのは、本件行政文書1のうち選任届に記載された当該共同施行の代表者の住所及び印影並びに同意書に記載された当該共同施行の権利者の住所、氏名(当該共同施行の代表者のものを除く。)及び印影である。
これらはいずれも個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書きに該当しないと判断される。
なお、当該共同施行の代表者の氏名は、当該共同施行が本件事業を行うために関係者が集まり設置された団体であって、補助金申請、土地改良法に基づく公告その他の対外的な活動を行っていることから、それらの活動の際に公にされている情報と考えられ、かつ、公表しても個人のプライバシーを侵害するおそれはないと考えられるので、特定の個人が識別される個人に関する情報であるが、条例第7条第1号ただし書きアの「慣行として公にされ又は公にすることが予定されている情報」に該当すると判断され、これを公開した処分庁の判断は結果として是認できる。

4 審査請求人のその他の主張について

審査請求人は、本件事業の権利者であるため全部公開されるべきとの主張をしている。
しかしながら、条例による公開請求は、請求の目的のいかんを問わずいずれの請求権者に対しても等しく認められるものであり、審査請求人が本件事業の権利者であるか否かは、条例の非公開情報の公開・非公開の判断に影響を与えるものではないので、審査請求人の当該主張は当たらない。
また、審査請求人は、その他種々の主張をしているが、いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。

5 付言

本件行政文書1のうち選任届にある当該共同施行の代表者の印影及び同意書にある当該共同施行の権利者の印影について、処分庁は当初決定の通知書に「公開しない部分」として記載していないにもかかわらず、公開の実施にあたっては墨塗りして非公開としていた。
これは、本来非公開とすべき部分を誤って通知書に記載していなかったものと考えられる。
このことについて、処分庁は先行審査請求が提起された後に、諮問庁から指摘があったことを受けて、職権で当初決定を取り消し、本件処分を行っている。
このように、当初決定は過誤を含み、審査請求人の意見書にも触れられているように、本県の行政文書公開制度に対する信頼を損なうものであるとともに、審査請求人の処分庁に対する信頼を損なうものでもある。
処分庁に対しては、今後同様な過誤がないように行政文書公開事務の適正な執行に努めることを望むものである。
また、諮問庁に対しても今後同様な過誤がないよう処分庁への適切な助言、指導を望むものである。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。
(省略)

別表1
公開しない部分 公開しない理由
本件行政文書1のうち、代表者の住所並びに代表者を除く共同施行者の住所及び氏名 (条例第7条第1号本文該当)
個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名その他の記述等により特定の個人を識別することができるものであるため。
別表2
公開しない部分 公開しない理由
本件行政文書1のうち、代表者の住所及び印影並びに代表者を除く共同施行者の住所、氏名及び印影 (条例第7条第1号本文該当)
個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名その他の記述等により特定の個人を識別することができるものであるため。

401号~450号 451号~500号 501号~

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