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令和6年度介護報酬の改定に当たっては、すべての介護事業者のサービスが安定的に提供されるとともに、介護従事者の賃金が改善することによって生活が安定し離職が防止されることに配慮がなされなければならない。
しかし、政府は令和6年度の介護報酬改定において訪問介護の基本報酬を引き下げた。これにより、小規模な訪問介護事業所の倒産や人手不足に拍車がかかり、訪問介護サービスが受けられなくなる要介護者や介護離職が増加するおそれがある。
東京商工リサーチの調査によると、令和5年の訪問介護事業者の倒産は67件と過去最多を更新している。そもそも介護事業所は、人手不足と物価高騰等により、厳しい経営を強いられている。特に、移動が必要な訪問介護には、移動時間が直接的には介護報酬の対象時間とはならないことや、ガソリン価格高騰等の影響を受けるといった特殊な事情がある。
厚生労働省は、訪問介護の処遇改善加算について高い加算率に設定したと説明しているが、運営資金につながる基本報酬を下げてしまえば、小規模な事業者の経営の厳しさに拍車がかかることは明白である。また、処遇改善加算を取りやすくしたとの説明もあったが、上位の加算の要件が厳しいため、小規模事業者が取得することは難しい。
訪問介護の基本報酬の引き下げによって、将来的には地域包括ケアシステムが崩壊し、介護保険制度による「介護の社会化」に逆行する事態が起きかねない。
よって、国においては、以下の事項を速やかに実施するよう強く求める。
記
1 加算の効果を十分に検証し、各事業所における処遇改善の効果を福祉・介護職員が実感し、福祉・介護職員の確保・定着につながるよう、必要な見直し等を図るとともに、福祉・介護職員の処遇改善に対して恒久的支援策を講じること。
2 現在の送迎加算は、利用者の人数や送迎の回数により加算額が決定され、移動距離や移動時間は考慮されておらず、遠距離の送迎を担う職員の確保に十分対応できる制度になっていない。送迎人材の確保のため、送迎加算の増額等、財政措置を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
香川県議会
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