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公開日:2020年12月10日

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池内御所原遺跡、池内古田遺跡 2019年度

香川県埋蔵文化財センター

池内御所原遺跡の発掘調査が終了しました。

最後の調査区は丘陵上の緩やかな傾斜地であったため、後世に農地として開墾する際に平坦地を作る際に階段状に削られています。そのため、調査区の内部も土地が高い南半分が削られ、本来は連続していたはずの溝がなくなっていました(写真参照)。
検出できた部分もかなり浅く、上部を削られていることがわかります。溝の底にかろうじて中世の土師器杯が3点残っていました。このことから、階段状に削ったのは中世より後の時代であると考えられます。

これで、9月から始まった池内古田遺跡と池内御所原遺跡の今年度の調査が終了しました。この地域の中世・近世の歴史を考えるうえで大切な資料を採取することができました。詳細は今後の整理作業を通じて明らかにしていきます。
(3月26日)。

長作の全体像
掘り上げた調査区の全体像

土師器

溝の底から出土した土師器

予備調査(試掘)は難しい……

池内古田遺跡の調査を終了し、現在は池内御所原遺跡を調査しています。
予備調査(=試掘)で3本のトレンチを掘ったところ、ほぼ同規模の溝(図1の青い部分)を確認したため、1本の溝が大きく蛇行していると推定しました(図1の赤い部分)。

調査区全体を掘ったところ、予想に反して、掘られた時期の異なる2条の溝だったことが分かりました(図2参照)。
トレンチ調査を3箇所も行ったのに、予想に反する結果が得られるのも、考古学の世界ではあり得る話で、やはり「葦の髄から天井を覗く(よしのずいからてんじょうをのぞく)」のは難しいですね。

確認した2条の溝は図2の左側の溝が先に掘られ、自然に埋まった後に、右側の溝が掘られたことが土層の堆積状況から分かります(写真2)。

面白いのは、南側3分の1ほどは先に埋まった溝を掘り直していることです。粘土質の硬い地面よりも、埋まった部分の方が柔らかいことから、省エネ化(悪く言えば手抜きかな)を図ったのでしょうか。どちらの溝も遺物がほとんど見られなかったため、いつの時代のものかはわかりませんが、後の溝を掘った人にとても親近感を感じるのは私だけでしょうか。

3月を迎え、いよいよ最後の調査区の調査に取りかかります。

(2月28日)

予備調査からの予想図
図1 予備調査からの予想図

遺構と予想ライン
図2 1区で確認した遺構と予想ライン

溝を掘り上げた状態
写真1 溝を掘り上げた状態

重なり合う2条の溝
写真2 重なり合う2条の溝
(右が後から掘られた溝)

ほのぼのとした現地説明会?

去る1月25日の土曜日、最後の調査区を一般公開して発掘調査の成果をお披露目する現地説明会を行いました。
週間天気予報ではずらりと傘マークが並び、濡れながらの説明を覚悟しておりましたが、なんと会の開催中は晴れ間がのぞくほどの好天となり、気持ちよく説明会を終えることができました。地元の方を中心とした約40人の参加者さんに晴れ人間(晴れおとこ・晴おんな)がいてくださったのだと思います。

会はまず事務所前で「埋蔵文化財とは何ぞや?」「どうしてここを発掘することになったの?」「掘って何が分かったの?」について配布資料や写真パネルを使ってお話ししました。続いて出土した土器類の一部を解説。その後、まだ遺構に水が残った状態の調査区でしたが、中に降りて確認した柱穴や溝、江戸時代から現代に至る土地利用の変遷などについて解説しました。

参加者さんたちは調査員に質問したり、遺構や遺物などの写真を撮ったりして、この地の過去の姿に思いを馳せていらしたようです。対応した職員がたった3名と、これまでのセンターの説明会としては最小人数での小ぢんまりとした説明会でしたが、天候にも恵まれて、職員も参加者さんも真剣な顔あり、時に笑顔ありのほのぼのとした説明会になったと思います。

(1月28日)


調査区内へ入って解説


写真を撮るなど熱心に観察中

調査もそろそろ終盤。

池内古田遺跡の発掘調査が始まってはや3か月。残り1区画を残すのみとなりました。これまでの調査では、おもに南から北へ流れる中世の溝群、近世と考えられる土坑、ピット群が見つかりました。

一つの区画の発掘調査が終わると高所作業車に乗って写真を撮ります。風のある日は揺れることもありますが、上がると遠くまでよく見えていい眺め。高所作業車での写真撮影が終わると一区切りついたとホッとします。

(12月27日)

調査地
調査地から北を望む

調査地
調査地から東を望む
(奥に見えるのは小田池)

発掘体験を実施しました。

ぽかぽかの体験日和となった11月30日、小学校高学年から中学生を対象に発掘体験を行い、8名が参加しました。

体験の内容は、遺構である溝のラインを探して掘ることと、溝から集中して出土した土器の位置を機械を使って記録し掘り出すこと。現場担当職員の説明をよく聞いて、ベテラン作業員さんに道具の使い方を習いながら、がんばって体験メニューをやり遂げました。たくさんの土器を掘りだす時には、土器を傷つけないように集中して作業をし、ほぼすべての土器を掘り出しました。最後には掘り出した土器やこの遺跡から出土した土器を観察し、昔の人々の生活の様子を想像しました。

参加者の中には発掘調査や土器にくわしいリピーターの姿も。この発掘体験を機会に、地域の歴史や埋蔵文化財に興味や関心を持つ人がさらに増えればと思います。
(12月8日)

溝のラインが見えました
溝のラインが見えました!

待望の土器が!

池内古田遺跡の発掘調査が始まって2カ月が経ちました。これまでの調査では、おもに6条の中世の溝群が重複、近接してやや蛇行しながら、南から北へ延長60ⅿ以上にわたって見つかりました。溝からは土師質土器足釜脚部や甕、杯の破片が出土していますが、溝の規模が大きく掘りあげるのに苦労するわりには、遺物はまばらにしか出土せず、少し残念な気分になりながら作業を進めていました。

しかし、溝の掘り下げ作業も終盤を迎えた頃、溝の中から鍋や足釜、こね鉢などの土器が集中して見つかりました。これまでより破片も大きいものもあり、作業員さんの士気も上向き気味。11月30日に実施した発掘体験では、参加者にじかに掘り出してもらえることができ、嬉しい限りでした。

(12月8日)

土器が集中しています
土器が集中しています!

池内古田遺跡の発掘調査を実施中です。

県道円座香南線建設に伴い、10月から池内古田遺跡(高松市香南町池内)の発掘調査を実施しています。4月~6月にかけて、県道円座香南線建設予定地の香南町地区の延長約1.2kmについて遺跡の有無を確認する予備調査を行い、その内容は発掘現場通信「古田3号塚」でご紹介しました。予備調査の結果、一部で中世~近世の遺構群が見つかり、10月から発掘調査を実施しています。

発掘調査では、数条の重複する溝跡群と柱穴跡群を検出しました。溝の中からは土師質土器の足釜片や杯片などが出土し、中世後半頃のものと考えられます。予備調査の結果からピット群はさらに南へ広がることがわかっています。
発掘調査が始まって1月あまり。これから寒い季節へと突入しますが、寒さに負けずに職員一同、がんばって調査を進めたいと思います。
11月30日(土曜日)午前中には発掘体験を予定しています。ご案内を当センターホームページに掲載していますので、ぜひご覧ください!
(11月12日)。

土器を掘り出しています
土器を掘り出しています!

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