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3月上旬、まんのう町にある「島ヶ峰の原風景を守る会」の方々が運営している「天空の地島ヶ峰そば処」を訪問しました。ここは、廃校となった旧琴南中学校(現ことなみ未来館)の家庭科室跡を活用したものです。
真新しい木の枠にかかったきれいな藍色ののれんをくぐり、店内に入るとすでに一組の地元の方らしき3人連れのお客さまが楽しく談笑しながらおそばを食べておられました。厨房には守る会の方々数名がそば打ちや出汁づくりに忙しそうにされていました。冷たいおそばと、天かすと切り干し大根が入った温かいおそばをいただきました。
昨年11月に収穫されたそばの実でできた新そばは、かめば口の中にそばの風味が強く香るすばらしい味でした。
このそばは、ことなみ未来館から約14キロ程上がった天空の地島ヶ峰、標高800~900メートルの段畑で収穫されたものです。前方には阿讃山脈の竜王山が雄大に眺められるところです。ここはかつて牧場やキャベツ畑として利用された後、長く荒れ地になっていました。そこで2016年、旧琴南町の会社などをリタイアされた数人が、この美しい島ヶ峰を次世代に残そうと一念発起し、重機と力作業で少しずつ開墾して、約4ヘクタールの見事なそば畑に生まれ変わらせました。この実行力にただただ頭が下がります。そして島ヶ峰そばは、干しそばも製造・販売しています。パッケージの裏を見ると製造者は新潟県の業者さん。この業者さんはそば粉含有量の多い(そば:小麦=6:4)そばを干しそばにできる数少ない業者さんだそうです。なんと守る会の方々はこの業者さんをネットで見つけ、みんなで新潟に訪ねていき、製造をしてもらえることになったとのことです。ここでも守る会の人方々の行動力が発揮されました。
この干しそばは、普通の乾麺のそばとは味が違います。そばの香りが強く、食感も生麺に近い。
リタイアしてから地元の風土を守り、併せておいしいそばまで開発した「守る会」の方々。その優しい笑顔の奥のパワーに尊敬です。
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