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公開日:2020年10月6日

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平成18年10月2日 答申第399号(香川県情報公開審査会答申)

平成18年10月2日 答申第399号

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県知事(以下「実施機関」という。)が行った一部公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

第2 異議申立てに至る経過

1 行政文書の公開請求

異議申立人は、平成16年9月14日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。

  • (1)「溶融スラグコンクリート品質審査制度」の詳細の分かる一切の資料
  • (2)「溶融スラグコンクリート品質審査制度」に係る申請書類の全部
  • (3)公共工事の積算資料中の普通コンクリート及び溶融スラグコンクリートの設計単価の分かる一切の資料
  • (4)溶融スラグコンクリートの設計単価を普通コンクリートより1立米当り400円ないし700円引き上げた根拠の分かる資料
  • (5)坂出市内の溶融スラグの中継基地へ搬入した量の分かる一切の資料

2 実施機関の決定

実施機関は、公開請求のあった行政文書として次の行政文書を特定し、(1)から(4)までの行政文書については公開決定を、(5)及び(6)の行政文書(以下「本件行政文書」という。)については別表の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして本件処分を、平成16年10月28日付けでそれぞれ行い、異議申立人に通知した。

  • (1)溶融スラグコンクリート品質審査制度
  • (2)土木工事設計材料単価表
  • (3)公共工事設計材料単価表
  • (4)溶融スラグ搬入状況
  • (5)溶融スラグコンクリート品質審査申請書
  • (6)(溶融スラグコンクリート単価にかかる)御見積書

3 異議申立て

異議申立人は、本件処分を不服として、平成16年11月21日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対して異議申立てを行った。

第3 異議申立ての内容

1 異議申立ての趣旨

「本件処分を取り消すとの決定を求める」というものである。

2 異議申立ての理由

異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)本件処分は、香川県の情報公開条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分を取り消し、全部公開をすべきである。
  • (2)本件「決定通知書」の「公開しない理由」は、香川県の情報公開条例の非公開事由に該当しない。
  • (3)本件「決定通知書」の「公開しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例第8条に違反し本件処分は無効である。

第4 実施機関の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

1 条例第7条第1号の該当性について

条例第7条第1号では、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、本号のただし書に掲げる情報については、非公開情報から除くこととしている。
溶融スラグコンクリート単価に係る見積書は、溶融スラグを利用したコンクリートの設計単価を定める際の資料となる生コンクリートの業界内の任意団体である豊島溶融スラグ対策協議会から提出されたものであり、同協議会は公開された法人ではないため、その代表者名も公開されておらず、これやその個人の私印の印影を公開することは本号の非公開理由に該当する。

2 条例第7条第2号の該当性について

条例第7条第2号では、法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、非公開情報から除くこととしている。
溶融スラグコンクリート品質審査申請書は、豊島廃棄物等処理事業によって生産された溶融スラグを、コンクリート骨材と使用する際に、品質が適当であるかどうかを審査するための申請書であり、このうち、コンクリート練混に関する数値は各コンクリート業者のノウハウに係るものであり、取引先情報は各法人の取引に関する内容が明記されたものである。また、法人の印影は、社会通念上、その本人の正当な意思表示を証明するものとして取り扱われている類のものである。したがってこれらを公開することは、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあり、本号の非公開理由に該当する。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。

2 本件行政文書の内容等について

  • (1)溶融スラグについて
    豊島に堆積する約60万トンの廃棄物等を直島に輸送し、焼却・溶融方式によって処理するとともに、不法投棄された廃棄物等を単に無害化するだけでなく、これまで埋め立てられていた副成物も可能な限り有効利用するなど、循環型社会のモデルを目指して、平成15年9月から、香川県により、豊島廃棄物等処理事業が開始されている。
    溶融スラグは、〇〇の敷地内に整備された中間処理施設での焼却・溶融処理の過程における副成物として生成されるものであり、実施機関の説明によると、廃棄物等に含まれるダイオキシン類等の有害有機物を分解した上で、冷却固化し、わずかに含まれる重金属類も封じ込めたケイ素、カルシウム、鉄、アルミニウム等を主成分とするガラス質の安定した無害な物質であり、また、砂と同じような品質であることから、生コンクリートやコンクリート二次製品などの土木用材料の細骨材(砂の代替品)として利用できるとのことである。
    また、実施機関では、溶融スラグを有効利用するにあたり、専門家による豊島廃棄物等技術委員会が定めた「溶融スラグの出荷検査マニュアル」により有害物質についての溶出試験及び含有量試験を行うとともに、同委員会で定めた項目及び基準により土木資材として利用できるか確認するための品質検査を行っているとのことである。
  • (2)溶融スラグコンクリート品質審査申請書(以下「品質審査申請書」という。)について
    溶融スラグを用いたレディーミクストコンクリート及びコンクリート二次製品はJIS外品となる。
    このため、実施機関では、「溶融スラグコンクリート品質審査制度」を実施し、この制度による品質検査に合格した場合は、JISに該当しない場合に必要な配合・計量等への臨場を省略することができることとし、香川県発注の工事における工事監督員の材料確認の円滑化を図っている。
    本件品質審査申請書は、県内のレディーミクストコンクリート製造会社から提出された当該品質検査を願い出る旨の申請書であり、添付書類として配合報告書等が含まれているものである。
  • (3)(溶融スラグコンクリート単価にかかる)御見積書(以下「見積書」という。)について
    見積書は、香川県発注の工事の設計における溶融スラグコンクリートの単価を算出するにあたり、実施機関での検討の際の参考とするために、県内のレディーミクストコンクリート製造会社で構成された任意団体から提出を受けたものであり、溶融スラグを用いたコンクリートの種別ごと使用する地区ごと等に区分した表に金額が記入されている。

3 非公開情報該当性について

条例第7条第1号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するために定められたものであるが、プライバシーの具体的な内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではなく、その内容や範囲は事項ごと、各個人によって異なり得ることから、本条例は、プライバシーであるか否か不明確な情報も含めて、特定の個人が識別され得る情報を包括的に非公開として保護することとした上で、さらに、個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものについても、非公開とすることを定めたものである。しかし、これらの個人に関する情報には、個人の権利利益を侵害しないと考えられ非公開とする必要のない情報及び公益上の必要があると認められる情報も含まれているので、これらの情報を本号ただし書きで規定し、公開することを定めたものと解される。
条例第7条第2号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。
以上の基本的な考え方に基づき、実施機関が非公開とした部分について検討する

  • (1)品質審査申請書中代表者名以外の個人名、見積書中個人名及び印影について
    実施機関が非公開とした品質審査申請書中代表者名以外の個人名は、各事業者の職員の氏名である。
    また、見積書の個人名は、見積書を提出した団体の代表者の氏名であるが、当該団体は事業者による任意団体であり、その代表者の氏名が公にされ、また、公にされるべきものと考えられる事情も認められない。
    よって、これらの氏名及び印影は、いずれも、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものであり、条例第7条第1号本文に該当するとともに、ただし書には該当しないと判断される。
  • (2)品質審査申請書中、コンクリート錬混に関する数値、取引先情報、及び会社印影について
    実施機関が非公開としたコンクリート錬混に関する数値部分(品質審査申請書の示方配合表のうち、「粗骨材の最大寸法」及び「スランプ」の数値を除く。)は、いかにして品質の高いレディーミクストコンクリートを製造するかという製造技術上のノウハウに関する情報であり、また、実施機関が非公開とした取引先情報は、セメントや骨材等の調達先、骨材等の試験委託先等であり、これらはいずれも、製造上のノウハウに関する情報及び経営に関する情報であると認められ、公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えられ、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書には該当しないと判断される。
    なお、品質審査申請書の示方配合表のうち、「粗骨材の最大寸法」及び「スランプ」の数値については、実施機関があらかじめ指定した数値であるから、公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められないが、同じ数値が同文書中の指定事項の確認欄で既に公開されており、双方が同じ情報であることが明らかであるから、当該部分の非公開を取り消し、改めて公開するまでの意味はないと判断される。
    また、印影は、品質検査申請書又は本件申請者あての試験結果報告書等に表示された試験委託先その他取引先事業者のものであるが、いずれも当該法人等が真正かつ真意に基づいて作成した文書であることを示す機能を有する性質のものであるとともに、特定の書類に限定して用いられ、当該法人等においてむやみに公にしていないものと認められることから、公にした場合には、当該法人等の各種書類の偽造等に悪用されるおそれなどが考えられる。 よって、本件印影は、当該法人等の内部管理情報として管理されているものと判断され、本件印影を当該法人等の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人等の正当な意思、期待に反し、当該法人等の正当な利益が害されるおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。

4 第3の2異議申立ての理由のうち、(3)について

条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

(省略)

別表
公開しない部分 公開しない理由
溶融スラグコンクリート品質審査申請書中、コンクリート錬混に関する数値、取引先情報、及び会社印影 法人の事業に関する情報であり、公開することにより、当該法人に不利益を与えるため(条例第7条第2号本文該当)
溶融スラグコンクリート品質審査申請書中、代表者名以外の個人名。
御見積書中、個人名及び印影
特定の個人が識別され得る個人に関する情報であるため(条例第7条第1号該当)

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