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公開日:2025年9月10日

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知事記者会見 令和7年9月8日(月曜日)

知事記者会見録

  • 日時:令和7年9月8日(月曜日)13時00分から13時55分
  • 場所:香川県庁本館9階県政記者室
  • 作成:広聴広報課

報告項目

・前月の交通死亡事故について
・第78回香川丸亀国際ハーフマラソン大会、かがわマラソン2026ランナー募集の開始について

質問項目

1.旧県立体育館について
2.大阪・関西万博について
3.南海トラフ地震の被害想定の見直しを受けて
4.ブラジル訪問について
5.石破総理大臣の辞任表明について

報告事項

知事:
【前月の交通死亡事故について】
いつも大変お世話になっております。今日もよろしくお願いいたします。私から2点、まず前月の交通死亡事故についてご報告をいたします。残念ながら1件発生しまして、1人の方がお亡くなりになりました。8月2日(土曜日)の午前中に、坂出市内の県道の信号機のない交差点で、わき道から県道に進入した原付が、県道を走行中の軽四貨物車と衝突して、原付の80歳代の運転手がお亡くなりになったという件でございます。信号機のない交差点での事故は、今年に入って5件目でございますし、令和6年も7件、令和5年も4件と、繰り返し発生をしております。今日は、信号機のない交差点での事故防止について、改めてお話をさせていただき、その徹底をお願いしたいということであります。お手元にも配布しておりますけれども、信号機のない交差点には、一時停止線がある場合があります。これは必ず一時停止するということ。また優先車線、一時停止線の無い車線では、来るはずがないという思い込みでいくと、その一時停止線を見落とした運転車との衝突が予想されますので、もしかしたら来るかもしれないという前提で、身構えて運転をしていただきたいと思います。それと、安全速度は絶対厳守でありますので、よろしくお願いいたします。8月末現在で香川県内の交通事故死者が14人となっております。まだまだ亡くなる方が多く、何とかこれを撲滅しないといけない状況であります。一方で、皆さま方にもいろいろなところで報道していただきまして、県民全体の安全に対する意識も高まり、昨年はこの時期に21人だったのですけれども、14人になっているということではございます。これからも、秋の夜長のシーズン、また年末年始と事故が増える季節でありますので、もうこれ以上、亡くなる方がいなくなるように、徹底して安全運動をしていきたいと思います。記者の皆さまにも引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。
【香川丸亀国際ハーフマラソン、かがわマラソン2026ランナー募集について】
それから2つ目は、第78回香川丸亀国際ハーフマラソン、そしてかがわマラソン2026のランナーの募集開始でございます。この丸亀ハーフは全国でも名前の通ったハーフマラソンになりました。かがわマラソンは、公認の香川県初のマラソンということで、来年3月15日に記念すべき第1回ということになります。この両者のマラソンの参加受付の申込みを、9月16日(火曜日)から同時にスタートしたいと思います。かがわマラソンの方は、県民優先枠から開始したいと思います。そして、両方に応募していただいた方には、記念品としてオリジナルデザインのトートバッグをプレゼントするということで、両方のマラソンを県民の方に楽しんでいただき、また県民以外の方にもたくさんの参加を求めて、PRしていきたいと考えております。また、かがわマラソンのボランティアについても、9月1日から個人とグループの募集を開始しております。団体の募集も引き続き行っておりますので、こちらについてもたくさんの応援していただける方が必要になりますので、多くのボランティアの方に応募していただけますように、また報道機関の皆さまについても、ご協力をお願いしたいと思います。私からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

質問事項

幹事社:
【1.旧県立体育館について】
【2.大阪・関西万博について】
幹事社から2点質問があります。1点目が旧県立体育館についてです。旧香川県立体育館の解体工事の入札は5日に開札が行われました。応札の結果と、それに対する受けとめをお聞かせください。2つ目が大阪・関西万博についてです。
9月26日から29日に大阪・関西万博の「地球の未来と生物多様性ウィーク」で県も現地で出展し、展示や体験などを通じた発信を行うと聞いています。具体的な出展内容と今回の出展の意義や目的をお聞かせください。また、万博を訪れる小・中・高校などを対象に、県がチケット代や交通費を補助する事業の利用状況もお聞かせください。以上になります。

知事:ありがとうございました。2点ございました。まずは旧県立体育館の件でございます。先週5日に開札を行いましたところ、応札がございました。そしてこの受けとめでございます。このように進んできている中で、何とか保存をできないものなのか、また、アート県としてどうなのかというような意見をいただいており、私としても非常に苦しい気持ちを持っております。一方、南海トラフ地震の発生の懸念が高まる中で、地震時の倒壊や崩壊の危険性のある旧県立体育館については、そのリスクを無くすことが最も重要なことであると考えておりまして、県民の皆様への理解を引き続き求めていきたいという思いを強くしたところでございます。それから、大阪・関西万博についてでございます。テーマウィークが9月26日(金曜日)から29日(月曜日)まで、ギャラリーWESTという会場の一区画で開催され、香川県の方で出展をいたします。この出展内容でありますけれども、瀬戸内海の魅力、そして環境保全の重要性、これを訴えるということで、内容といたしましては、東京芸術大学と連携して製作いたしました、海ごみなどを材料にしたオブジェ、そして瀬戸内海の国立公園の巨大なアートウォール、そして、イベントといたしまして、海ごみの回収などを中心にやっていただいています、かがわ海ごみリーダーの方にも参加いただいたいろいろなワークショップ、そして、アーティストmimikaさんによるミニライブなどでございます。27日には私も現地に行きまして、そのトークイベントにも参加する予定にしているところであります。瀬戸内海は日本の財産、香川の財産であります。世界でも貴重な瀬戸内海を有する香川県の責任において、この瀬戸内海をこれからも守っていく、この重要性、今、突きつけられている課題、こういったものを発信すること。そして、瀬戸内海の魅力をこの機にまた発信すること。こういった意義を持って展示したいと思っているところでございます。それから、万博を訪れる小・中・高校へのチケット代などの補助の状況でございます。たくさんの方々、子供さんにこの万博に行っていただいて、見聞を広め、世界を見る良い機会にぜひしていただきたいという思いで助成をしております。8月31日の時点で54校、小学校29校、中学校7校、高校17校、専修学校が1校、この54校でお申し込みがありまして、この助成をご利用になって万博に行くということで進めていただいております。この助成によって、児童生徒の皆さんが、万博というまたとない機会に会場を訪れるという意味において、効果的な助成であったと考えております。以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【1.旧県立体育館について】
幹事社:ありがとうございます。体育館についてお伺いしたいのですけれども、先日の教育長の会見の中でも、体育館の安全性について、県の認識について説明の機会を設けたいという趣旨のことをおっしゃっていて、知事も先週でしたか、同様に趣旨の説明をしていきたいというようなことをおっしゃっていました。そもそも、なぜそういった機会が必要だとお考えになっているのかということと、その具体的な説明の手法や時期がありましたら教えてください。

知事:はい。この安全面の問題、地震時の危険の問題については、再生委員会の方々からも別の見解、地震時の危険性は無いのではないかというような見解を示されております。そういう中で、今回の県の措置は、そこを取り除いていくということが一番の理由でございます。残した方が良いのではないかというようなご意見もある中で、非常に苦しい思いがありますけれども、そういう危険性を取り除くということの重要性を県民の方に分かっていただくためには、もう一度分かりやすく、地震時の危険の状況についてご説明させていただくことが必要かなという思いで、教育委員会と調整をしているところでございます。

幹事社:説明の手法とか時期はまだ調整中ですか。

知事:はい。日程についても手法についても、今、教育委員会と調整をしております。できるだけ早くしたいと思います。

【2.大阪・関西万博について】
幹事社:あと、万博の方なのですけれども、54校ということで、確か対象となり得るのが県内に約290校ぐらいあるのですかね。その割合として54校という数字はどう受けとめてらっしゃるのでしょうか。

知事:これは、54校の参加・申し込みがあって、これを利用して行っていただいたということは、この助成策によって行こうかという動機づけになった部分があったと評価をしています。

【1.旧県立体育館について】
記者:船の体育館の関係でお伺いします。先ほどお話にも出た再生委員会の方から、郵送らしいのでこちらが受理しているかどうかまだ確認できていませんが、住民監査請求を提出したという連絡が入っております。船の体育館の解体事業について、不適切な支出であるという趣旨であります。船の体育館に関する事業について住民監査請求が提出されたことについてのコメントをいただいてもよろしいでしょうか。

知事:本日、監査委員事務局に請求書が届いたと聞いております。内容等についてはまだ承知をしてございません。

記者:その中に1点、今までの安全性ですとか、事業性の論点もあるのですけれども、もう1点、新しい論点として、今回の解体事業に係る予算の話が出ております。坪単価を計算すると、一般的な事業よりもかなり膨らんでいるのではないかという指摘ですね。この解体費用、坪単価における金額が一般的な建築物ですとか、他の公共物に比較してもかなり高くなっているという指摘なのですけれども、このコストの面、解体事業全体で10億円という金額ですけれども、こちらについての知事のお考えを伺ってもよろしいでしょうか。

知事:解体にかかる費用の内容については、県庁の中でしっかりと精査をして積み上がってきたものだと認識しております。

記者:坪単価を計算した際に、近々で解体事業を行った千葉の旧県立体育館なんかと比較しても、坪単価が2倍以上になっているという指摘があります。今回、旧香川県立体育館のこの解体費用というのが、他のものよりも高く出ている理由について、どのようにお考えでしょうか。

知事:積み上げの中身については、ぜひ、また担当部局の方にもご照会いただければと思いますけれども、県庁の方でしっかりと精査をして積み上げたものであると考えております。

記者:例えば、特殊な形状であるとか、その他の事情、工期が短いですとか、そういったところについて、今、現時点でお考えを持ち合わせていないでしょうか。

知事:特にございません。今の旧県立体育館の現物に即して、安全な施工、周辺環境への影響、こういったものを考え、積み上げて出てきた数字だと考えております。

記者:つまり、今、現時点で、坪単価が55万円超の計算となると、これは駐輪場も含めてですので、実際の建物の面積と比較するとやはり高いとは思います。知事としては、これは高くないお考えということでよろしいですか。

知事:はい。精査して積み上げたものであると考えております。

記者:分かりました。私からもう1点、建物の倒壊可能性について伺います。先週の9月1日の記者会見で話題になりましたけれども、この建物の倒壊可能性を県として認識したタイミングがいつだったか、改めて伺ってもよろしいですか。

知事:平成24年に耐震診断を行って、その結果として、地震時に倒壊または崩壊、このような危険性があるという耐震診断の結果を以て、県としても判断したところでございます。

記者:平成24年に行われた耐震診断の結果が現在の解体に至る理由にもなっている資料ですけれども、改めて伺います。平成24年の時点で耐震性に問題があると、南海トラフ級の地震が起きた場合に倒壊の可能性があると指摘されていたわけですけれども、その段階で解体という判断に至らなかった理由というのはどこにあるのでしょうか。

知事:耐震診断の結果、今の建物のままでは倒壊・崩壊の危険性があるという判断だったわけですが、その中で、補強して使うということができないのだろうかと考えたということで、直ちに解体という判断に至っていないということでございます。

記者:その後、サウンディング型の市場調査も含めて活用策を模索されて、最終的にそれがなかったから解体やむなしという判断に至った、こういうことでよろしいでしょうか。

知事:利用する道筋が立てられない、そして地震時の危険性についてはできるだけ早く解消しないといけない。こういう中で判断に至っております。

記者:分かりました。今のご質問への答えを踏まえて、改めて伺いたいのが、元々耐震性に問題を抱えているというのはずっと認識されている中で、活用策を探られてきたわけではないですか。今回、再生委員会が提案してきているのは、まさにその活用策ピンポイントなわけで、現在、解体に至る判断までの中で検討されてきた解決策ですとか、その振興策みたいなもの、再利用策、利活用策というのが出てきているので、判断の条件というのがまた、以前検討されたものが改めて出てきている状態になっていると思います。ここについて、というか前提が変わっていると思うのですけども、現状のご認識を伺ってよろしいですか。

知事:建物についての耐震の面での心配、地震時の崩壊の懸念、こういったものを踏まえて、できるだけ早く危険を除いていかないといけない状況、これについては現状においても状況が変わっているということはないのかなと考えております。

記者:もちろんそれはそうです。平成24年の時から、耐震診断の結果、倒壊の可能性があるという判断ですので、そこは変わっていないかと思うのですが、今回の再生委員会の方が提案しているものでいくと、耐震改修工事というのが、県が解体の目安にしている2027年度で改修を終えるというところも鑑みると、安全の確保という意味でいくと、そのタイムリミットは県の解体策と変わらないような気もしています。ここについてのお考えを伺ってよろしいですか。

知事:今の旧県立体育館というのは、地震時において危険性がある建物だと認識しておりますけれども、今、再生委員会の方は、この建物について、地震時においても危険性は無いというような見解を示されております。やはり、そういう見解をお持ちという中で、お譲りをして、お任せするということが適切なのかどうかということについては、難しいのではないかと考えております。

記者:つまりというとあれですけれども、県は、崩れるかもしれないという前提があって、そこの前提が共有されていない中で、耐震と言っている再生委員会の方が、果たして本当に県が考えるほどの安全対策ができるか、そこに疑問をお持ちであるということでいらっしゃいますか。

知事:大まかに言ってそのようなことです。

【3.南海トラフ地震の被害想定の見直しを受けて】
記者:地震に関連して、2日に公表された南海トラフの被害想定についてお聞きします。最大クラスの地震の場合、今回、怪我人ですとか、死傷者数なども増えまして、また、当日から1日後の避難者数も、今回、実際に自治体にある指定避難所の許容人数よりも多いとする自治体もございました。改めて、避難所の許容人数が、最大クラスで足りない場合に、県としてどのような対応をご検討なのか伺わせてください。

知事:今回、2日に公表いたしました被害想定において、高松市、観音寺市、さぬき市、三豊市、小豆島町の4市1町におきまして、これまで用意していた避難所のキャパシティが、今回の想定の避難者に比べますと、足りないという結果になっております。この不足が見込まれた市町については、既に、新たに避難所の確保について着手をしていると伺っております。県としても、県有施設でそういったところの活用ができないか、こういった点を中心に市町の相談に乗って、市町の避難所のキャパシティが早急に確保できるように一緒に取り組んでまいりたいと思います。

記者:実際、市町だけでは、例えば許容できないというところで、市や町を跨いでの避難というのも想定されるかもしれないのですけれども、そうしたところを県として調整役に回るといったような、そのようなご検討はございますか。

知事:もちろん、いろいろなことがあると思いますので、早急に避難所のキャパシティが確保できるように、県として、市町を跨って一緒に調整して取り組んでいきたいと思います。

記者:また、今回、災害関連死も新たに示されているところでありますが、実際に避難所の設備ですとか、改めて県として災害関連死を防ぐための取組みというと、どういったところを検討されていますか。

知事:避難所での生活環境の改善が関連死を防ぐ大きなポイントだと思っております。その内容はトイレの問題であります。阪神淡路大震災から課題になっていたトイレの問題ですけれども、改善はされているものの、まだ十分ではない。これが能登半島地震のときにも顕在化いたしました。トイレについては、いわゆる携帯トイレ、流さなくていい、固形剤によって固めて捨てるこのトイレを十分に備蓄して使ってもらうようなことを、今、進めております。早急に、市町レベル・県内レベルで十分に行き渡るようにしたいと思います。それと、これも前から言われていることですが、プライバシーの確保であります。パーテーションであったり、下に寝るのではなくて、段ボールベッドのようなものの上で寝ること、こういったことが健康の維持に必要だということですので、これについても、市町でも備蓄しておりますが、県でも備蓄して対応していきたいと、この2点について、しっかりと今、取組みをしており、今後、急ぎたいと思います。

【4.ブラジル訪問について】
記者:また、別件で申し訳ないのですが、今月4日までの9日間の日程で、副知事らがブラジル訪問に行かれたかと思いますが、改めて現状でどのような成果があったのかと、今後、県民ですとか、県政への還元についてはどのように考えているか伺わせてください。

知事:ブラジルに、副知事を始めとしまして14名が訪問いたしました。まずは現地で、サンパウロ、そしてベレンでの県人会がございますけれども、その県人会と面会をし、交流を深め、今後とも、香川県と、ブラジルに渡って現地でずっと生活をしてきた、もう3世・4世になっていますが、そういった方々との交流を続けていこうという確認ができたということが、大きな1つでございます。それと、もう1つは、この県人会と併せて、ブラジル日本商工会議所、ジェトロサンパウロ事務所、また、サンパウロ・ベレンにある日本語学校にも訪問をいたしました。そういう中で、特に今、香川県でも人材不足が顕著になっていますけれども、ブラジルから日本に、仕事、あるいはその前提の可能性もある留学、こういったものについて、もっと向こうからも日本に来たいという意向が高い、そして、それを両者の協力のもと実現できるように支援策をしていく、こういったことの道筋・方向性について意見交換ができた、これが2つ目の大きな成果であったと思います。県民への還元でございますけれども、特に人材については、県内の多くの企業が困っているところでございます。できるだけ、この訪問の成果を生かして、日本語学校の開設の実現、こういったものに繋げて、日本・香川にブラジルから多くの方に働きに来ていただけるような、こういったことを実現することが一番の還元ではないかなと考えております。

【5.石破総理大臣の辞任表明について】
記者:最後に、また別件にはなるのですが、昨日、石破総理大臣が辞任の意向を表明したというところでして、石破首相は政策の1つに「地方創生」を掲げるなど、地域にも、結構重点的にされているかと思いますが、改めて知事としての受けとめを伺えないでしょうか。

知事:昨晩の突然の辞任表明に大変驚いているところでございます。今、おっしゃられたようなことに取り組まれてきてこられた中で、熟慮を重ねた上での結論ではなかったかなと報道から感じたところでございます。できるだけ早く、この後、国政基盤の確立をお願いしたいと考えております。

【1.旧県立体育館について】
記者:旧県立体育館の問題について、何点かお尋ねしたいと思います。平成24年に耐震診断をされた株式会社丹下都市建築設計、健三氏のご子息の憲孝氏は、耐震性に問題があるという判断をしたけれども、それが瓦れきの散乱だとか、西側の通路を防ぐフラグだとか、そういったところまでは報告をしていないというような見解を表明されております。それから、再生委員会の方では、耐震診断のときには、施設の方は簡易モデルを使って計算をしていて、もう少し詳細な、建物に即したモデルを使うと別の結果が導き出されるというようなことを表明しております。解体は、当然公金・税金、約10億円を投入されるものですから、憲孝氏は、県はその辺の解釈の逸脱、拡大解釈があるのではないかというようなことをおっしゃられておりますので、そういったところについて、説明を聞かないでそのまま進めるということは、将来的に禍根を残すのではないかというような懸念もあると思いますけれども、その辺りを知事はどのように考えていらっしゃいますか。

知事:まず、最後におっしゃられた、再生委員会の安全性に対する見解、これはこれまでにも直接、県庁の教育委員会、あるいは技術の担当がお会いして、話を聞いております。まだ不明な点も多くございますので、これからもしっかり、どういうお考えで県とは違うご判断なのかということはお聞きしていきたいと思います。先ほど、その前段でおっしゃられた、3つのことがございました。平成24年の耐震診断、この報告書においては、旧県立体育館の耐震性の安全についての評価がされております。その中に、地震の震動及び衝撃に対して、倒壊しまたは崩壊する危険性がある、この分類に該当する建物だということが書かれております。それから、道路の問題につきましては、耐震改修促進法というのが定められておりまして、緊急輸送道路との距離や高さの関係で、一定の空間の範囲内にある建物については緊急輸送道路の走行に支障があるという中で、補強するか・解体するか、こういうような方向が示されており、今回の旧県立体育館も、前面道路との関係ではこの法律に該当する建物であるということでございます。それから、簡易のことですけれども、平成24年の耐震判断についても、国が告示レベルで定めた方法によって診断をしているところでありまして、簡易という指摘は当たらないではないかなと考えております。

記者:丹下憲孝氏の事務所の見解の表明についてはどのように受けとめますか。

知事:私が直接、自分で確認できているのは、保存をしていただけるグループ、再生委員会に対して感謝をするというようなレターをお出しになっておられて、それは承知をしております。それが直接的なものでございます。

記者:県立アリーナのコンペの評価委員で、構造の専門家でもある斎藤公男氏が再生委員会の方に参画しているのですけれども、構造の専門家として、すぐに巨大地震があっても倒壊するような恐れがなく、少なくとも、すぐに解体しなくても協議をするぐらいの時間はあるというようなことを言っております。当然、こういった専門家が指摘しているのに、全く説明を聞かないで、予定どおり解体を進めたときに、後で県民の方から訴訟とか、そういうリスクもあると思います。その辺りは今後どのように考えて進めていきますか。

知事:再生委員会の方、また再生委員会を介してということでしょうか、いろいろな専門家の方々が、この建物の安全性、危険の程度についてのお考えがあるということで、そのために、県庁の技術者、また教育委員会の方で、どういうお考えでそういうような判断になっているのかというのをお聞きしておりますが、今後とも丁寧に聞いて、適切に対応していきたいと思います。

記者:同じような答えになるかもしれませんけれども、再生委員会の建築の専門家の方の1人からは、解体工事に関して、つり屋根をしている、非常にテンションをつけている建物なので、安易に解体すると、逆にその時に瓦れきの散乱とか、そういったリスクがあるというような話を言っております。それについても、同じように、もう少し詳しく聞いていくということでよろしいですか。

知事:ご意見は詳しく聞いていきたいと思います。

記者:もう1点、同じく再生委員会に、文化庁の建築文化ワーキンググループの後藤座長という方が参加されていまして、ちょうど今までは、文化財は手を加えずに保存しなければ文化財的価値がないというところだけれども、新たな、手を加えたりしたような複合的な再生の建物に関しても、それを保存する、そこに助成をしていくような枠組みを、今、文化庁の方で検討しているというようなお話をされておりました。座長は、この旧県立体育館はその最初のモデルに十分なり得るものであるというような評価をしております。国が、今、検討を進めている中で、そういったところを待たずに進めていくということで、将来的に国との禍根が残ってしまうようなことがあると思いますけれども、そういった文化庁の議論を少し待つというような考え方はございますか。

知事:文化庁の、今、お話になったことについて、私は、申し訳ありませんが承知をしていないところであります。丹下建築の価値、そして保存ができないのかというのは、いろいろなところからお聞きして、私も非常に苦しい思いを続けておりますけれども、安全のため・危険を除くためには、今のことを進めていくということが一番重要なのかなと考えております。

記者:後藤座長の見解についても、県の方で一応その詳しい説明を聞く必要があると思いますけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

知事:もちろん安全以外も、そのような国のことがあるということでありましたら、教育委員会の方でしっかり聞きたいと思います。

【5.石破総理大臣の辞任表明について】
記者:石破首相の退陣について補足で伺わせてください。改めてになるのですが、政権自体の評価と、今後実施される総裁選でどのような議論を望んでいらっしゃるか。あと、自公政権についてなんですけれども、衆参で少数与党となり、政治の不安定さというものを指摘する声もあります。この点についてのお考えもありましたら、お聞かせください。

知事:石破政権でありますけれども、この1年間、「地方創生」というのを掲げて、東京を代表する都会だけではなくて、地方が発展しないとだめだというような、こういう考えのもと、いろいろなことを進められようとしていた、また賃上げについて進められていた、日米関税交渉についても非常に責任を持って進められていた、このように評価をしている、このように見ているところでございます。そういう中で、今後でございますけれども、今、課題が山積している状況だと思います。物価高騰、日常生活、企業の活動、こういった非常に待ったなしの状況の中で、1日も早く政権の基盤を確立して、政策の展開をしてほしいというのが一番でございます。新しい政権基盤というものについては、今、喫緊の課題になっている物価高騰などの経済対策。それと、まだまだ出生数の反転も実現できていないので、さらに少子化対策を進めていただきたい。それから、南海トラフ地震を代表とする大きな災害の懸念が高まっている中で、防災対策をさらに進めていっていただきたい。この3つが特に期待するところでございます。

【1.旧県立体育館について】
記者:引き続き、旧県立体育館についてお伺いします。今、最大のポイントになっている、倒壊の危険性があるということに対して、複数の専門家が、建物全体が倒壊する危険性は想定されないと言って、意見が食い違っているという中で、倒壊という言葉にも、イメージするにも幅があると思うのですけれども、知事は具体的にどんな倒壊を想定されているのでしょうか。

知事:私が想定しているのは、耐震診断でも出ております、1階とか中2階部分の柱が壊れることによって、その階が崩壊してしまう、そういったものに連動して、倒壊ということも起こり得る可能性がある。それから、支持杭が入っていますけれども、それが非常に昔の基準で入っておりますので、揺れに対して支持がもたないことによる倒壊、このようなことが想定されるかなと。詳しくは、また教育委員会、あるいは県庁の技術陣に聞いていただければと思います。

記者:ビルのような縦長の建物ではないではないですか。どちらかというと重心が低い建物ではありますけれども、倒壊というのは、倒れるという文字どおりのイメージですか。それとも、崩れるというイメージですか。

知事:両方あると思います。

記者:私、先週の会見以降、株式会社TANGE建築都市設計に取材しまして、この耐震診断の読み解き方を聞いたのですが、この耐震診断書に倒壊の危険があると直接表記はしていないと。で、どのような被害・損害が生じるかについて具体的な言及はしておりませんという回答でした。今、知事がおっしゃられている倒壊の危険というのは、この診断をもとにとおっしゃられましたが、具体的な壊れ方については、いつ、どのタイミングで、誰がこう判断したのでしょうか。

知事:この平成24年の耐震診断は、国の告示に基づいて、国が定めたやり方でやっております。その中で、建物が、地震力でどうなるかということを診断した結果、これも国の告示の中に入っておりますけれども、地震の震動及び衝撃に対して倒壊しまたは崩壊する危険性があるという分類にこの建物が該当するという、そういった結果をいただいておりまして、私どもはその内容を見て、危険性があると判断をしております。倒壊した後の、あるいは崩壊した後の状況というものについては、あれだけのものが倒れて倒壊・崩壊ということでございます。一般的なことを想定しておりますけれども、その状況ということについては、そういった判断の中での、私もそうですし、教育委員会の方の表現だと思います。

記者:国土交通省の告示を見ると、3つの段階があって、「倒壊し崩壊する危険性が高い」、「倒壊し崩壊する危険性がある」、3つ目が「危険性が低い」という中の、上から2番目の「危険性がある」に該当したという捉え方で間違いないですよね。

知事:そうです。

記者:それで言うと、一番高い「危険性が高い」というレベルではなくて、2番目であるという中で、今、民間からの提案がある中で、それでも一刻も早く解体しなければということで、予定どおりスケジュールを進められている姿勢を見ていると、少し過剰な反応ではないかなとも感じるのですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

知事:私もそうですし、皆さんも一緒だと思いますけれども、東日本大震災や、能登半島もそうです、ビルが倒壊した現場を目の当たりにしてまいりました。そういうことから考えた場合に、「危険性がある」という分類になっているこの建物について、1日も早く、万全を期して危険を除去するということが、どうしてもやっていかなければ駄目なことなのではないかと考えております。

記者:耐震診断が行われてからもう13年になりますので、一般的な感覚からいうと、当時よりも老朽化が進んでいるだろうなとは思うのですけれども、新たな耐震診断もやっていない中で、時間が経っているからより危険性が高まっていると、果たして、科学的根拠を持って言えるのかというと、そうではないかとも思うのですが、いかがでしょうか。

知事:この耐震診断の方法については、平成24年に行った方法は、国で定めたものであり、これは今も使われております。他の日本国内にある(建物も)、香川にもありますけれども、この方法で耐震診断を行っておりますので、時代的にどうかというようなご指摘は当たらないのではないかと思います。

記者:平成24年に耐震診断を行ってから、いわば塩漬けの期間があって、解体の方針が決まったわけではないですか。即、危険だから何とかしようと思われたにしては、かなり時間が経っている中で、今、すごく急いでやらなければとなっているのが、新たに何か出てきたのならば理解できるのですけれども、当時と状況が変わっていないのに、今になって急いでいる印象を受けるのですが、いかがでしょうか。

知事:耐震診断で危険があるという判断がされた。その危険があれば、直すか無くすかということになるわけですけれども、直して使うということも、直ちに考え始めて、どうしてもその方向がないということから、本当に、選択としては残されたものとして、この「解体」というところにいこうという判断をして、それで準備をして、今に至っているということでありまして、何か塩漬けの期間があって急にこの安全性を懸念しているというような、そういう指摘は全く当たらないと思います。

記者:解体の方針を決める中で、この2012年の耐震診断を、いわば後付けの論理として利用したのではないかなとも感じたのですが、そうではないのでしょうか。

知事:それは全くございません。
 
記者:これから、解体の応札がありまして、審査をしていくということで、着実に解体の方向に進んでいる中で、民間の再生委員会からも意見を聞くという、並行して進めるという中ではありますけれども、今後、繰り返しになりますけれども、これで再生委員会の条件がクリアされて、それに託してみようとなったときに、どんどん、解体の方向で、業者も決まっていくとなると、なかなか方針が変えづらくなるというのは事実だと思うのですけれども、その辺りはどう考えられているのかを改めてお教えください。

知事:今、いろいろな専門家の方の意見があって、現状で危険が大きくないのだというようなお話もございますが、危険が大きいという判断の中で、解体の準備を進めているところでありますので、大きくないということをおっしゃっているということについては、しっかりと、どういうお考えで、そういうことをお考えになるのかというのを聞いてみる、どういう考え方かをご説明いただきたいなと考えて、場も設けているところであります。

記者:逆に、県と県教委側も、県民に対してこれから見解を説明する場を持つとおっしゃられているのですけれども、その中では、どういったことを県民に訴えようとされているのですか。

知事:どんどん大きくなる南海トラフ地震の発生の懸念の中で、今、旧県立体育館が置かれている状況。地震による倒壊・崩壊の危険性があるという内容。これが、結論だけではなくて、こういうことで心配なのだと、早く取り除かないといけないのだということを、県民の皆さんに分かっていただく。大事な、丹下さんの体育館でありますけれども、苦しい中でもそういう判断でいくのか、ということを分かっていただく。これが一番、今、やらなければいけないことかなと思っています。

記者:そもそも、建物の安全性、倒壊する危険性が果たしてどれぐらいあるのか、倒壊したときにどういった壊れ方をするのかというところについて、見解の違いというのは生じるものなのでしょうか。ある程度科学的に、想定できるものかなと思うのですけれども、いかがですか。

知事:建物の挙動というものに、絶対解というものがあるかどうかというのは、難しい問題ではあると思うのです。ただ、そういう中で、国の方で、特に建物を壊すのか・直すのかというような判断を、みんながしていかなければいけないので、一定の基準を定めなければいけないということで、国が耐震診断の基準を定めているのだろうと思うのですね。それに従って、やって、判断をするということは、行政の判断として、適切なことではないかなと考えております。

記者:これまでの状況であれば、その判断で、解体の方向に進んでいたのはよかったと思うのですけども、新たに使いたい、しかも公費を使わずに再生したいという提案が出た中で、先ほど別の方の質問でもありましたけれども、「倒壊する危険性が高い」というところで意見が分かれている中で、強行するような形で解体してしまうと、本当に、将来、禍根が残ると思うのですけれども、いかがですか。

知事:一番大事なのは、建物の危険性がなくなるということであります。そういう意味において、今の建物の安全性・危険性について、地震時の危険は無いのではないかとおっしゃられている、こういう見解の中で、お譲りをして、お任せしてというのはどうなのだろうか、適切ではないのではないかと考えております。

 

以上

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