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公開日:2019年12月27日

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平成18年12月26日 答申第408号(香川県情報公開審査会答申)

平成18年12月26日(答申第408号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県東讃土地改良事務所長(以下「処分庁」という。)が行った一部公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過

1 行政文書の公開請求

審査請求人は、平成17年4月9日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、「特定土地改良区の本年3月20日開催の総代会の議事録の全部」について公開請求を行った。

2 処分庁の決定

処分庁は、公開請求のあった行政文書として、「特定土地改良区にかかる平成17年度通常総代会議事録(平成17年3月20日開催)」(以下「本件行政文書」という。)を特定し、別表1の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして、本件処分を行い、平成17年5月27日付けで審査請求人に通知した。

3 審査請求

審査請求人は、本件処分を不服として、平成17年6月4日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求を行った。

第3 審査請求の内容

1 審査請求の趣旨

「本件処分を取り消すとの裁決を求める」というものである。

2 審査請求の理由

審査請求書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)本件処分は、香川県の情報公開条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分を取り消し、直ちに全部公開をすべきである。
  • (2)本件「決定通知書」記載の非公開理由は、香川県の情報公開条例に規定する非公開事由に該当しない。
  • (3)本件「決定通知書」の非公開理由欄の記載には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例第8条に違反し本件処分は無効である。

第4 諮問庁の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

1 条例第7条第1号の該当性について

  • (1)個人の氏名、個人が特定される役職名、地区名、議長・議事録署名人の署名・印影
    これらの情報は、特定の個人が識別され得る個人に関する情報であることは明白である。よって、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しない。

2 条例第7条第2号の該当性について

  • (1)土地改良区理事長の印影
    「土地改良区(連合を含む)代表者の届出及び印鑑登録等の取扱いに関する要領」第6の2では、所長又は県知事は「印鑑登録原票その他印鑑の登録又は証明に関する書類を閲覧に供しないものとする」とされており、当該情報は事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報と言える。この情報を当該法人の事業活動に関わりなく一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人に不利益を与えることから、これが条例第7条第2号本文に該当することは明白であり、ただし書に該当しない。
  • (2)法人の収入、支出、事業に係る情報
    これらの情報を当該法人の事業活動に関わりなく一般に公開することは、財政規模、財務体質、資金繰り等の当該法人固有の内部情報を公にするとともに、当該法人の財政基盤や重要な会計状況が推定され得るため、当該法人の自由な事業活動や正当な利益が損なわれるおそれがある。よって、条例第7条第2号本文に該当することは明白であり、ただし書に該当しない。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。

2 本件行政文書の内容等について

香川県土地改良法施行細則(昭和56年香川県規則第60号)第6条の規定により特定土地改良区理事長から届出があった、議決事項の添付書類として提出された総代会議事録である。

3 非公開情報該当性について

次に掲げる各非公開条項についての基本的な考え方に基づき、別表2のとおり判断する。

  • (1)条例第7条第1号の該当性について
    条例第7条第1号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するために定められたものであるが、プライバシーの具体的な内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではなく、その内容や範囲は事項ごと、各個人によって異なり得ることから、本条例は、プライバシーであるか否か不明確な情報も含めて、特定の個人が識別され得る個人に関する情報を包括的に非公開として保護することとした上で、さらに、個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれのあるものについても、非公開とすることを定めたものである。
    しかし、これらの個人に関する情報には、個人の権利利益を侵害しないと考えられ非公開とする必要のない情報及び公益上の必要があると認められる情報も含まれているので、これらの情報を本号ただし書で規定し、公開することを定めたものと解される。
  • (2)条例第7条第2号の該当性について
    条例第7条第2号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。

4 第3の2の審査請求の理由のうち、(3)について

条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。
(省略)

別表1

公開請求にかかる行政文書 特定土地改良区にかかる平成17年度通常総代会議事録(平成17年3月20日開催)
公開しない部分 公開しない理由
土地改良区理事長の印影 条例第7条第2号該当
当該法人の内部管理に関する部分であり、公にすることにより、当該法人等の正当な利益を害するおそれがあるため
  • 個人の氏名及び個人が特定される役職名及び地区名(公開される部分を除く)
  • 議長及び議事録署名人の署名、印影
条例第7条第1号該当
特定の個人が識別される個人の情報に該当するため
  • 4ページ目12行目23字目から13行目1字目まで(表紙部分を除く。以下同じ)
  • 4ページ目15行目
  • 6ページ目25行目25字目から29字目まで
  • 6ページ目26行目7字目から11字目まで
  • 6ページ目27行目23字目から28字目まで
  • 7ページ目9行目9字目から10行目まで
条例第7条第2号該当
当該法人の収入、支出及び事業に係る内部管理に関する部分であり、公にすることにより、当該法人の正当な利益を害するおそれがあるため

別表2

公開請求にかかる行政文書 特定土地改良区にかかる平成17年度通常総代会議事録(平成17年3月20日開催)
公開しない部分 審査会の判断
土地改良区理事長の印影 印影は、一般的に、法人等が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、法人等が自らの業務の関わりの中で自主的に決定すべきことであり、法人等は、公開すべき相手方を限定する利益を有しているというべきである。
しかしながら、このような情報であっても、当該法人等がそのような管理をしていないと認められる場合などには、これが公開されても、当該法人等の正当な利益を害するものとは認められない。
本件処分により非公開とされた印影は、特定土地改良区理事長から提出された議事録が原本と相違ないことを証するために押印されているものであり、当該法人がこのような文書を提出する相手方は、処分庁等に限定されていると考えられる。
すなわち、本件印影はいずれも当該法人が真正かつ真意に基づいて作成した文書であることを示す機能を有する性質のものであるとともに、特定の書類に限定して用いられ、当該法人においてむやみに公にしていないものと認められることから、公にした場合には、当該法人の各種書類の偽造等に悪用されるなどが考えられる。
よって、本件印影は、当該法人の内部管理情報として管理されているものと判断され、本件印影を当該法人の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
  • 個人の氏名及び個人が特定される役職名及び地区名(公開される部分を除く)
  • 議長及び議事録署名人の署名、印影
審査会で見分したところ、処分庁が非公開としたのは、総代会出席者、発言者、議長、書記及び議事録署名人の氏名、議事録署名人の署名・印影等であった。
これは、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものであると判断され、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
  • 4ページ目12行目23字目から13行目1字目まで(表紙部分を除く。以下同じ)
  • 4ページ目15行目
  • 6ページ目25行目25字目から29字目まで
  • 6ページ目26行目7字目から11字目まで
  • 6ページ目27行目23字目から28字目まで
  • 7ページ目9行目9字目から10行目まで
審査会で見分したところ、当該部分は、当該法人の経費の収支予算・決算に関する情報など内部管理に属する情報であり、これを当該法人の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の財政状況が推測されるなど、当該法人の正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。

401号~450号 451号~500号 501号~

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