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公開日:2019年12月27日

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平成18年12月26日 答申第413号(香川県情報公開審査会答申)

平成18年12月26日 答申第413号

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県知事(以下「実施機関」という。)が一部公開決定(以下「本件処分」という。)により非公開とした部分のうち、「表示項目等の改善策及び表示等点検結果報告書(取引先の商品の名称が記載された部分を除く。)」については、公開すべきである。

第2 異議申立てに至る経過

1 行政文書の公開請求

異議申立人は、平成16年12月6日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、「香川県農協の『さぬきの夢2000』のうどんの不当表示問題に関して香川県農協から提出された一切の報告書類の全部」について公開請求を行った。

2 実施機関の決定

実施機関は、公開請求のあった行政文書として次の行政文書を特定し、別表1の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして、平成16年12月20日付けで本件処分を行い、異議申立人に通知した。

  • (1)「手延半生讃岐うどん大地」の不適正表示に係る改善報告書(以下「本件行政文書1」という。)
  • (2)表示の自主点検にかかる調査報告書(参考資料)(以下「本件行政文書2」という。)
  • (3)手延半生讃岐うどん大地の表示違反に係る調査報告書(以下「本件行政文書3」という。)
  • (4)手延そうめん大地の表示違反に係る調査報告書(以下「本件行政文書4」という。)
  • (5)手延ひやむぎ大地の表示違反に係る調査報告書(以下「本件行政文書5」という。)
  • (6)綾郷しょうゆ淡口の表示違反に係る調査報告書(以下「本件行政文書6」という。)
  • (7)金山寺みその表示違反に係る調査報告書(以下「本件行政文書7」という。)
  • (8)表示項目等の改善策(以下「本件行政文書8」という。)
  • (9)表示等点検結果報告書(以下「本件行政文書9」という。)
  • (10)改善報告書別添資料(以下「本件行政文書10」という。)
  • (11)調査報告書手延半生讃岐うどん大地の表示違反について(以下「本件行政文書11」という。)

3 異議申立て

異議申立人は、本件処分を不服として、平成16年12月28日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対して異議申立てを行った。

第3 異議申立ての内容

1 異議申立ての趣旨

「本件処分を取り消すとの裁決を求める」というものである。

2 異議申立ての理由

異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)本件処分は、香川県の情報公開条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分を取り消し、全部公開をすべきである。
  • (2)本件「決定通知書」の「公開しない理由」は、香川県の情報公開条例の非公開事由に該当しない。
  • (3)本件「決定通知書」の「公開しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例第8条に違反し本件処分は無効である。

第4 実施機関の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

1 本件行政文書の内容について

  • (1)本件行政文書1について
    香川県農業協同組合が販売する「手延半生讃岐うどん大地」について、消費者に誤認を与える表示をした商品である事実が確認され、実施機関は、再発防止のための対策を行うよう指示し、その事実を公表した。
    この指示に対し、香川県農業協同組合から提出された報告書であり、再発防止のための原因究明と具体的な対策を記載したものである。
  • (2)本件行政文書2について
    改善報告書の提出にあたって、香川県農業協同組合が製造・販売する加工食品の表示点検を行った調査結果を記載したものである。
  • (3)本件行政文書3について
    改善報告書の提出にあたって、指示を行った商品の表示違反となった原因究明調査の結果を記載したものである。
  • (4)本件行政文書4について
    自主点検を行った際に指示を行った商品以外にも不適正な表示の商品が確認されたため、その表示違反となった原因究明調査の結果を記載したものである。
  • (5)本件行政文書5について
    自主点検を行った際に指示を行った商品以外にも不適正な表示の商品が確認されたため、その表示違反となった原因究明調査の結果を記載したものである。
  • (6)本件行政文書6について
    自主点検を行った際に指示を行った商品以外にも不適正な表示の商品が確認されたため、その表示違反となった原因究明調査の結果を記載したものである。
  • (7)本件行政文書7について
    自主点検を行った際に指示を行った商品以外にも不適正な表示の商品が確認されたため、その表示違反となった原因究明調査の結果を記載したものである。
  • (8)本件行政文書8について
    改善報告書の提出にあたって、香川県農業協同組合が製造・販売する加工食品の表示点検を行った調査結果に基づく改善策を記載したものである。
  • (9)本件行政文書9について
    改善報告書の提出にあたって、香川県農業協同組合が製造・販売する加工食品の表示点検を行った調査結果を記載したものである。
  • (10)本件行政文書10について
    改善報告書に係る別添資料である。
  • (11)本件行政文書11について
    香川県農業協同組合が販売する「手延半生讃岐うどん大地」について、消費者に誤認を与える表示をした商品である事実を実施機関が確認する際に当該商品の製造行程や決裁書類などを提出させたものである。

2 非公開事項の該当性について

条例は、県民の行政文書の公開を請求する権利につき定め、地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的とするものであるが、原則公開の下であっても行政文書を公開することにより、請求者以外の者の権利、利益が侵害されたり、円滑な行政運営が損なわれるということがあってはならないため、原則公開の例外として条例第7条を規定し、その権利に一定の制限を加えているものである。
このようなことから、本件行政文書の公開・非公開の決定に当たっては、条例第7条各号の該当性について検討し、決定したものである。
以下、本件行政文書の非公開部分の非公開事項該当理由を述べる。

  • (1)個人の職・氏名等個人が識別できる部分及び印影
    行政文書の公開義務がない情報として、条例第7条第1号本文において、「個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く」と定め、ただし書として、イからニまでにおいて、個人の権利利益を侵害しないと考えられ、非公開にする必要のない情報及び公開する公益上の必要があると認められる情報を規定し、これらについては、公開しなければならないとしている。
    非公開とした担当した者の所属・職・氏名等は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別できることとなる記述であるので、条例第7条第1号に明らかに該当する。
  • (2)香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、電話番号及び印影、取引先の商品の名称、取引単価・金額・数量、商品製造(技術)に係るノウハウが記載された部分
    行政文書の公開義務がない情報として、条例第7条第2号において、「法人その他の団体(国、地方公共団体、独立行政法人等、地方独立行政法人及び出資法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。」と定め、そして、ただし書として、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を規定し、これらについては、公開しなければならないとしている。
    非公開とした香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、電話番号及び印影、取引先の商品の名称、取引単価・金額・数量、商品製造(技術)に係るノウハウが記載された部分等は、法人に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある記述であるので、条例第7条第2号に明らかに該当する。
  • (3)香川県農業協同組合の自主調査において、自主的な公開をしていない調査結果が記載された部分、香川県農業協同組合が案として作成し、決定されていない事項が記載された部分
    行政文書の公開義務がない情報として、条例第7条第2号において、「法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。」と定め、そして、ただし書として、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を規定し、これらについては、公開しなければならないとしている。
    非公開とした香川県農業協同組合の自主調査において、自主的な公開をしていない調査結果が記載された部分、香川県農業協同組合が案として作成し、決定されていない事項が記載された部分等は、法人に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、また、自主的な公開をしていない、又は組織内決定されていない案段階の情報であり、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある記述であるので、条例第7条第2号に明らかに該当する。
  • (4)香川県行政手続条例第8条について
    香川県行政手続条例第8条においては、行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に当該処分の理由を示さなければならないと規定している。
    本条は、許認可等をするかどうかについての判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、申請者の不服申立てに便宜を与えるものである。
    本件行政文書に係る非公開の決定については、非公開とした部分の根拠規定及び該当する理由を具体的に説明しており、同条例第8条違反にはあたらない。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。

2 本件行政文書の内容等について

  • (1)香川県農業協同組合が販売した「手延半生讃岐うどん大地」における不適正表示問題について
    香川県農業協同組合が販売した「手延半生讃岐うどん大地」について、平成14年11月から平成16年9月までの間、原料の大半が「オーストラリア産スタンダード・ホワイト(ASW)」などの小麦を使用しているのにもかかわらず、「さぬきの夢2000小麦粉100%使用」などと表示し、あたかも小麦粉の全量が「さぬきの夢2000」であるかのような誤認を与える商品を販売していた事実が実施機関の任意調査(平成16年8月30日~10月15日)により確認された。
    このような行為は、旧(実施機関が不適正表示の事実を確認した当時の各法律を指す。以下同じ。)農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和25年法律第175号。以下「JAS法」という。)第19条の8第1項に基づき定められた旧加工食品品質表示基準(平成16年9月14日農林水産省告示第1705号)第6条第3号、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)第4条第1項第1号に違反するものとして、実施機関は、香川県農業協同組合に対し、問題となったもの以外の食品を含めての自主点検等を求め、原因の究明と再発防止策等の措置を講ずるようJAS法及び景品表示法に基づく指示を行っている。
  • (2)本件行政文書の内容について
    本件行政文書1~10については、旧JAS法第19条の9第1項、旧JAS法施行令(昭和26年8月31日政令第291号)第30条第1項第7号及び旧景品表示法第9条の2の規定による実施機関の指示に基づき、香川県農業協同組合が提出した報告書及びその添付書類であり、個別の文書の内容は、実施機関の説明のとおりである。
    また、本件行政文書11は、実施機関が調査の段階で事実関係を確認するため、香川県農業協同組合に対し資料の任意提供を求めたところ提出された調査報告資料で、商品開発経緯、事業実績及び関係業者との取引状況等が記載されている。
    なお、本件行政文書4~7の各商品は、香川県農業協同組合の自主点検の結果、「手延半生讃岐うどん大地」と同様に、原材料等の表示と内容が合致しておらず、不適正表示であると新たに認められた商品である。

3 非公開情報該当性について

条例第7条第1号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するために定められたものであるが、プライバシーの具体的な内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではなく、その内容や範囲は事項ごと、各個人によって異なり得ることから、本条例は、プライバシーであるか否か不明確な情報も含めて、特定の個人が識別され得る情報を包括的に非公開として保護することとした上で、さらに、個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものについても、非公開とすることを定めたものである。しかし、これらの個人に関する情報には、個人の権利利益を侵害しないと考えられ非公開とする必要のない情報及び公益上の必要があると認められる情報も含まれているので、これらの情報を本号ただし書きで規定し、公開することを定めたものと解される。
条例第7条第2号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。
以上の基本的な考え方に基づき、別表2のとおり判断する。

4 第3の2審査請求の理由のうち、(3)について

条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

(省略)

別表1

公開しない部分 公開しない理由
  • 改善報告書の提出について(JAS法等に基づく指示書に対する改善報告について)のうち法人の印影
  • 条例第7条第2号該当
    法人に関する内部管理に属する情報であり、公開することにより、当該法人の権利、利益を害するおそれがあるため
  • 本件行政文書1のうち次の部分
    香川県農業協同組合の取引先等の名称、住所等及び商品の販売金額
  • 条例第7条第2号該当
    法人の事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため
  • 本件行政文書2のうち次の部分
    1. 所属・職・氏名等
    2. 講師料の支出(予定)金額
    3. 香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、電話番号及び印影並びに取引先の商品の名称、金額、数量及び商品製造(技術)に係るノウハウが記載された部分(公開部分を除く。)
  • 1 条例第7条第1号該当
    特定の個人が識別され得る個人に関する情報であるため
  • 2・3 条例第7条第2号該当
    法人の事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため
  • 本件行政文書3のうち次の部分
    • 香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地及び販売金額・数量等が記載された部分
    • 担当者数
  • 条例第7条第2号該当
    法人の事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため
  • 本件行政文書4のうち次の部分
    • 香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、販売金額・数量等が記載された部分
    • 担当者数
  • 条例第7条第2号該当
    法人の事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため
  • 本件行政文書5のうち次の部分
    • 香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、金額、数量が記載された部分
    • 担当者数
  • 条例第7条第2号該当
    法人等の事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため
  • 本件行政文書6のうち次の部分
    • 香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、電話番号、取引金額・数量等が記載された部分
    • 担当者数
  • 条例第7条第2号該当
    法人等の事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため
  • 本件行政文書7のうち次の部分
    • 香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、取引単価・金額・数量が記載された部分
    • 担当者数
  • 条例第7条第2号該当
    法人等の事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため
  • 本件行政文書8のうち次の部分
    • 香川県農業協同組合の自主調査において、自主的な公表をしていない調査結果が記載された部分
  • 条例第7条第2号該当
    法人等の事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため
  • 本件行政文書9のうち次の部分
    • 香川県農業協同組合の自主調査において、自主的な公表をしていない調査結果が記載された部分
  • 条例第7条第2号該当
    法人等の事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため
  • 本件行政文書10のうち表紙以外の部分
    香川県農業協同組合が案として作成し、決定されていない事項が記載された部分
  • 条例第7条第2号該当
    法人等の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な権利を害するおそれがあるため
  • 本件行政文書11のうち次の部分
    1. 担当した者の所属・職・氏名、印影(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるものを含む。)
    2. 香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、電話番号及び印影並びに取引先の商品の名称、取引金額・数量及び商品製造(技術)に係るノウハウが記載された部分
  • 1 条例第7条第1号該当
    特定の個人が識別され得る個人に関する情報であるため
  • 2 条例第7条第2号該当
    法人等の事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため

別表2

公開しない部分 審査会の判断
  • 【本件行政文書2】
    所属・職・氏名等
  • 【本件行政文書11】
    担当した者の所属・職・氏名、印影(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるものを含む。)
当該非公開部分は、香川県農業協同組合及びその取引先の担当者等の所属名、職名、氏名及び印影であり、これらは、個人に関する情報で特定の個人を識別することができるものであるので、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
改善報告書の提出について(JAS法等に基づく指示書に対する改善報告について)のうち法人の印影
【本件行政文書2、11】
香川県農業協同組合の取引先等の印影
印影は、一般的に、法人等が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、法人等が自らの業務の関わりの中で自主的に決定すべきことであり、法人等は、公開すべき相手方を限定する利益を有しているというべきである。しかしながら、このような情報であっても、当該法人等がこのような管理などをしていないと認められる場合等には、これが公開されても、当該法人等の正当な利益を害するものとは認められない。
本件印影は、香川県農業協同組合が実施機関に対し本件改善報告を行う際の提出文書に押印されているもの及び香川県農業協同組合と取引関係にある事業者がそれぞれの取引相手に対し、見積書、納品通知書等を提出する際に押印されているものであり、当該法人等がこのような文書を提出する相手方は、実施機関及び取引相手先等に限定されていると考えられる。すなわち、本件印影はいずれも当該法人等が真正かつ真意に基づいて作成した文書であることを示す機能を有する性質のものであるとともに、特定の書類に限定して用いられ、当該法人等においてむやみに公にしていないものと認められることから、公にした場合には、当該法人等の各種書類の偽造等に悪用されるおそれなどが考えられる。
よって、本件印影は、当該法人等の内部管理情報として管理されているものと判断され、本件印影を当該法人等の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人等の正当な意思、期待に反し、当該法人等の正当な利益が害されるおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
  • 【本件行政文書1】
    香川県農業協同組合の取引先等の名称、住所等及び商品の販売金額
  • 【本件行政文書2】
    香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、電話番号及び取引先の商品の名称、金額、数量及び商品製造(技術)に係るノウハウが記載された部分(公開部分を除く。)
  • 【本件行政文書3】
    香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地及び販売金額・数量等が記載された部分
  • 【本件行政文書4】
    香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、販売金額・数量等が記載された部分
1 取引先の氏名又は名称、住所又は所在地、電話番号及び取引先の商品の名称について
審査会で見分したところ、当該非公開部分は、本件不適正表示問題の当事者である事業者以外の香川県農業協同組合の取引先情報であり、これらは当該法人の販売その他営業に関する情報であることから、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められ、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
  • 【本件行政文書5】
    香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、金額、数量が記載された部分
  • 【本件行政文書6】
    香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、電話番号、取引金額・数量等が記載された部分
  • 【本件行政文書7】
    香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、取引単価・金額・数量が記載された部分
  • 【本件行政文書11】
    香川県農業協同組合の取引先等の氏名又は名称、住所又は所在地、電話番号及び取引先の商品の名称、取引金額・数量及び商品製造(技術)に係るノウハウが記載された部分
2 商品の販売金額、取引金額、取引単価、数量、商品製造(技術)に係るノウハウ等が記載された部分
審査会で見分したところ、当該非公開部分は、香川県農業協同組合とその取引先事業者の取引情報、香川県農業協同組合の各商品の製造計画や収支計画等に関する情報、商品製造に関する技術情報等であり、各法人等の技術的又はコスト管理上のノウハウに関する情報であることが認められ、公にすることにより、将来の他社との競争において不利になるなど当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められ、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書には該当しないと判断される。
【本件行政文書2】
講師料の支出(予定)金額
当該非公開部分は、香川県農業協同組合が再発防止策の一環として行った講習会における講師料の経費支出額であり、内部管理情報であることが認められ、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来当該法人の事業活動とのかかわりの中で自主的に決定すべきことであり、当該法人の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の正当な利益が害されるおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
【本件行政文書3~7】
担当者数
本件行政文書3~7の各商品を企画から販売まで全て担当する香川県農業協同組合の職員数がそれぞれ記載されており、職員の配置や数は、いわば法人経営における人事戦略に関する側面を持つ内部管理情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来当該法人が自らの事業活動とのかかわりの中で自主的に決定すべきことであり、当該法人の事業活動に関わりなく条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の正当な利益が害されるおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないと判断される。
【本件行政文書8,9】
香川県農業協同組合の自主調査において、自主的な公表をしてない調査結果が記載された部分
本件不適正表示問題により多くの消費者が香川県農業協同組合の商品に対して不安を抱いていた当時の社会状況に鑑みると、不適正表示を大きく報道された本件行政文書3~7記載の商品以外の商品についても何かしら違反行為があったのではないかとの不安を感じるのが自然であると考えられ、本来、当該法人自らが他の商品の状況等を説明して、かかる消費者の不安を解消することが必要であると考えられる。
当該非公開部分は、香川県農業協同組合が「手延半生讃岐うどん大地」についての不適正表示事件を端緒として実施した表示点検調査の結果を記載したものであり、審査会で非公開部分を見分したところ、商品ごとの表示等点検結果及び改善策等が記載されていることが確認できた。
そして、審査会で見分したところ、その内容は公開したとしても今後の販売その他の事業において支障を生じる程度のものとは考えられないとともに、上記のとおり本来香川県農業協同組合が自ら説明すべき範疇に属する事項であることに鑑みると、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある程度のものとは考えられない。
ただし、取引先の商品の名称が記載された部分については、違反行為とは直接関連しない営業上の取引情報であることから、公にすることにより、権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められる。
以上のことから、取引先の商品の名称が記載された部分については条例第7条第2号本文に該当し非公開とすべきであるが、その他の部分については同号本文に該当せず公開すべきであると判断される。
【本件行政文書10】
香川県農業協同組合が案として作成し、決定されていない事項が記載された部分
審査会で見分したところ、当該非公開部分は、香川県農業協同組合が再発を防止するための体制を整備するため定めた各種規則、マニュアル等であり、本件行政文書1の参考資料であるが、全て案の段階で実施機関に提出されたものであることが確認された。これらは、検討段階にある未成熟な情報であることが認められ、これらを公にすることにより、当該法人の見解や対応姿勢などについて誤解や憶測を招くおそれがあり、これらの情報を当該法人の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の正当な利益が害されるおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないと判断される。

401号~450号 451号~500号 501号~

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