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公開日:2019年12月27日

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平成19年3月27日 答申第436号(香川県情報公開審査会答申)

答申日:平成18年3月27日(答申第436号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

1 平成18年6月12日付け18長寿第15937-1号による諮問(以下「平成18年度諮問第4号」という。)について

香川県知事(以下「実施機関」という。)が一部公開決定(以下「本件処分1」という。)により非公開とした部分のうち、「通所介護介護サービス提供時間帯(曜日、時間)」については、公開すべきである。

2 平成18年6月12日付け18長寿第15937-2号による諮問(以下「平成18年度諮問第5号」という。)について

実施機関が一部公開決定(以下「本件処分2」という。)により非公開とした部分のうち、「通所介護介護サービス提供時間帯(曜日、時間)」については、公開すべきである。

第2 異議申立てに至る経過

1 行政文書の公開請求

  • (1)平成18年度諮問第4号関係
    異議申立人は、平成18年5月12日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、「特定介護保険施設から提出された介護保険の通所介護施設等に係る申請書類及び当該各申請書に添付された一切の文書その他の資料」について公開請求(以下「請求1」という。)を行った。
  • (2)平成18年度諮問第5号関係
    異議申立人は、平成18年5月15日付けで、条例第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求(以下「請求2」という。)を行った。
    1. 特定介護保険施設から提出された介護保険事業者の指定に関する申請書類及びその一切の添付書類の全部
    2. 各種介護保険施設の設置及び指定に係る申請に関する事務処理要領の全部

2 実施機関の決定

請求1について、実施機関は、公開請求のあった行政文書として「特定通所介護事業所に係る指定居宅サービス事業者指定申請書及び介護給付費算定に係る体制等に関する届出書(以下「本件行政文書」という。)」を特定し、別表1の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして、平成18年5月26日付けで本件処分1を行い、異議申立人に通知した。

また、請求2について、実施機関は、公開請求のあった行政文書として、「本件行政文書」及び「介護サービス事業者指定申請の手引き」を特定し、別表1の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして、平成18年5月26日付けで本件処分2を行い、異議申立人に通知した。

3 異議申立て

異議申立人は、本件処分1及び本件処分2を不服として、平成18年5月28日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対して異議申立てを行った。

第3 異議申立ての内容

1 平成18年度諮問第4号関係

  • (1)異議申立ての趣旨 「本件処分1を取り消すとの決定を求める」というものである。
  • (2)異議申立ての理由 異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。
    1. 本件処分1は、香川県の情報公開条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分1を取り消し、全部公開をすべきである。
    2. 本件「決定通知書」の「公開しない理由」は、香川県の情報公開条例の非公開事由に該当しない。
    3. 本件「決定通知書」の「公開しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例第8条に違反し本件処分1は無効である。

2 平成18年度諮問第5号関係

  • (1)異議申立ての趣旨
    「本件処分2を取り消すとの決定を求める」というものである。
  • (2)異議申立ての理由
    異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。
    1. 本件処分2は、香川県の情報公開条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分2を取り消し、全部公開をすべきである。
    2. 本件「決定通知書」の「公開しない理由」は、香川県の情報公開条例の非公開事由に該当しない。
    3. 本件「決定通知書」の「公開しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例第8条に違反し本件処分2は無効である。

第4 実施機関の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、本件処分1及び本件処分2ともに同じ内容であり、おおむね次のとおりである。

1 本件行政文書の内容について

本件行政文書の内容は、平成16年2月27日付けで特定通所介護事業所において平成16年4月1日から通所介護事業を行うため実施機関あてに提出された指定居宅サービス事業者指定申請書(以下「本件申請書」という。)及び介護給付費算定に係る体制等に関する届出書(以下「本件届出書」という。)であり、次のとおりである。

  • (1)本件申請書の内容は、次のとおりである。
    1. 指定居宅サービス事業者指定申請書
    2. 付表6ー1 通所事業所の指定に係る記載事項 管理者、従業者の職種・員数、食堂及び機能訓練質の合計面積、主な掲示事項(営業日、営業時間、利用定員外)外
    3. 通所介護 指定申請に係る添付書類一覧 申請者の定款等添付書類の一覧(以下添付書類)
    4. 定款及び認証並びにその登記簿謄本
    5. 従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表(組織体制図、成績証明書、准看護婦免許証及び修了証書、雇用契約書の写)
    6. 管理者経歴書
    7. 事業所の平面図、位置図、備品概要
    8. 運営規定 指定通所介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定通所介護の提供を確保するため、事業の目的及び運営の方針等を内容とする規定
    9. 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
    10. 当該申請に係る資産の状況(損害保険証書、残高証明書の写)
    11. その他(建物賃貸借契約書、建築基準法の規定による検査済証、消防設備等検査済証)
  • (2)本件届出書の内容は、次のとおりである。
    1. 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
    2. 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表
    3. 従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表
    4. 機能訓練指導員(専従)の勤務状況

2 非公開条項の該当性について

  • (1)条例第7条第1号の該当性について
    条例第7条第1号では、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、本号のただし書に掲げる情報については、非公開情報から除くこととしている。
    公開しない部分のうち、「組織体制図、及び従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表の個人名」、「管理者経歴書、成績証明書、准看護婦免許証及び修了証書」、「雇用契約書」、「機能訓練指導員(専従)の勤務状況」については、特定の個人が識別されうる個人に関する情報に該当する。
  • (2)条例第7条第2号の該当性について
    条例第7条第2号では、法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、非公開情報から除くこととしている。
    公開しない部分のうち、「雇用契約書」及び「機能訓練指導員(専従)の勤務状況」については、当該法人の人事等、「申請又は届出に係る法人の印影」及び「定款及び認証」については、当該法人の経営方針等、「残高証明書」及び「建物賃貸借契約書」については、当該法人の経理等内部管理に属する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものに該当する。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。 また、非公開情報の該当性の判断に当たっては、実施機関が主張する非公開理由のうちのいずれかに該当すると判断した情報については、他の非公開理由の該当性についての判断は行わないものである。

2 審査の併合について

「平成18年度諮問第4号」及び「平成18年度諮問第5号」は、同一の異議申立人に係るものであり、相互に関連している事案であるため併合して審査する。

3 本件行政文書の内容等について

本件申請書及び本件届出書は、特定法人が通所介護事業を行うに当たり、実施機関に提出した平成16年2月27日付けの申請書及びその添付書類並びに平成16年2月25日付けの届出書である。

「介護サービス事業者指定申請の手引き」は、介護サービスの指定事業者になろうとする者が、指定又は開設の許可を受けるため、実施機関に申請を行う際に参考とする手引書(香川県長寿社会対策課発行)である。

「管理者経歴書」は、本件申請書の添付書類であり、管理者の個人氏名、生年月日、住所、電話番号、主な職歴及び職務に関する資格等が記載されている。

「成績証明書」は、本件申請書の添付書類で、職員が資格を取得するための科目を卒業校において履修しているか確認するための書類であり、職員の個人氏名、生年月日、卒業学校名及び成績等が記載されている。

「准看護婦免許証及び終了証書」は、本件申請書の添付書類で、職員が有資格者であることを証明する書類であり、職員の個人氏名、生年月日、免許取得年月日及び登録番号等が記載されている。

「雇用契約書」は、本件申請書の添付書類で、職員の個人氏名、契約期間、勤務条件及び仕事の内容等が記載されている。

「機能訓練指導員(専従)の勤務状況」は、本件届出書の一部であり、機能訓練指導員(専従)の個人氏名、資格、当該指導員のサービス提供従事単位及び時間(曜日、時間等)、当該通所介護事業所の介護サービス提供時間帯(曜日、時間)が記載されている。

「定款及び認証」は、本件申請書の添付書類で、事業の目的、商号、発行株式総数等の組織・経営活動に関する基本事項を定めた当該法人(株式会社)の定款及び公証人の認証を受けたことを示す文書である。

「残高証明書」は、本件申請書の添付書類で、当該法人の申請に係る資産状況を確認するための書類である。「建物賃貸借契約書」は、本件申請書の添付書類で、本件申請に係る事業所の使用に関する当該法人と貸主との契約書である。

4 非公開情報該当性について

条例第7条第1号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するために定められたものであるが、プライバシーの具体的な内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではなく、その内容や範囲は事項ごと、各個人によって異なり得ることから、本条例は、プライバシーであるか否か不明確な情報も含めて、特定の個人が識別され得る情報を包括的に非公開として保護することとした上で、さらに、個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものについても、非公開とすることを定めたものである。

しかし、これらの個人に関する情報には、個人の権利利益を侵害しないと考えられ非公開とする必要のない情報及び公益上の必要があると認められる情報も含まれているので、これらの情報を本号ただし書きで規定し、公開することを定めたものと解される。

条例第7条第2号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。

この基本的な考え方に基づき、実施機関が非公開とした部分について検討する。

  • (1)「組織体制図、及び従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表の個人名」について
    当該非公開部分は、当該法人の各業務を担当する職員の個人氏名であり、個人に関する情報で特定の個人を識別することができるものであり、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
  • (2)「管理者経歴書」、「成績証明書」、「准看護婦免許証及び終了証書」及び「雇用契約書」について
    これらは、いずれも個人に関する情報で特定の個人を識別することができるものであり、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
  • (3)「機能訓練指導員(専従)の勤務状況」について
    審査会で見分したところ、当該非公開部分には、機能訓練指導員(専従)の個人氏名、資格、当該指導員のサービス提供従事単位及び時間(曜日、時間等)、当該通所介護事業所の介護サービス提供時間帯(曜日、時間)が記載されていることが確認された。
    「機能訓練指導員(専従)の個人氏名」、「資格」、「当該指導員のサービス提供従事単位及び時間(曜日、時間等)」については、個人に関する情報で特定の個人を識別することができるものであり、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
    しかし、参考として記載されている「通所介護介護サービス提供時間帯(曜日、時間)」については、当該法人の営業時間であり、条例第7条第1号に関係するものでなく、また、公にされている情報であると認められることから、本条例により公開したとしても、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれはなく、条例第7条第2号本文に該当しないと判断される。
  • (4)「申請又は届出に係る法人の印影」について
    印影は、一般的に、法人等が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、法人等が自らの業務の関わりの中で自主的に決定すべきことであり、法人等は、公開すべき相手方を限定する利益を有しているというべきである。しかしながら、このような情報であっても、当該法人がこのような管理などをしていないと認められる場合等には、これが公開されても、当該法人の正当な利益を害するものとは認められない。
    本件印影は、本件申請書及び本件届出書に押印されたもの並びに本件申請書の添付書類を実施機関に提出する際に原本であることの証明をするために押印されたものであり、このような文書の提出の相手方は実施機関に限定されていると考えられる。
    すなわち、本件印影はいずれも当該法人が真正かつ真意に基づいて作成した文書であることを示す機能を有する性質のものであるとともに、特定の書類に限定して用いられ、当該法人においてむやみに公にしていないものと認められることから、公にした場合には、当該法人の各種書類の偽造等に悪用されるおそれなどが考えられる。
    よって、本件印影は、当該法人の内部管理情報として管理されているものと判断され、本件印影を当該法人の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の正当な利益が害されるおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
  • (5)「定款及び認証」、「残高証明書」、「建物賃貸借契約書」について
    これらは、当該法人の経理、経営、事業活動上の内部管理に属する情報又は取引先に関する情報であることから、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められ、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。

5 第3の1及び2の(2)の異議申立ての理由のうち、3について条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。

(省略)

別表1

公開しない部分 公開しない理由

1 組織体制図、及び従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表の個人名

2 管理者経歴書、成績証明書、准看護婦免許証及び修了証書

特定の個人が識別され得る個人に関する情報であるため
(条例第7条第1号本文該当)
3 雇用契約書
4 機能訓練指導員(専従)の勤務状況
  • 特定の個人が識別され得る個人に関する情報であるため
    (条例第7条第1号本文該当)
  • 当該法人の事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため
    (条例第7条第2号本文該当)
5 申請又は届出に係る法人の印影
6 定款及び認証
7 残高証明書
8 建物賃貸借契約書
当該法人の事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため
(条例第7条第2号本文該当)

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