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公開日:2019年12月27日

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平成19年3月27日 答申第437号(香川県情報公開審査会答申)

答申日:平成19年3月27日(答申第437号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県知事(以下「実施機関」という。)が行った一部公開決定(以下「本件処分1」という。)及び非公開決定(以下「本件処分2」という。)は、妥当である。

第2 異議申立てに至る経過

1 行政文書の公開請求

異議申立人は、平成18年1月21日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。

  • (1)特定の日に廃棄物対策課の特定職員その他の職員が特定市へ出張した際の県外出張命令簿、旅費計算書類その他の一切の会計書類
  • (2)上記(1)の県外出張の目的・用務等の分かる一切の書類
  • (3)上記(1)の県外出張に関する復命書その他の復命内容を記載した一切の文書
  • (4)上記(1)の県外出張の目的・用務に関して特定地区の住民から通報を受けた内容について記載した一切の文書
  • (5)上記(1)の県外出張に関して甲社その他の者との間の打合せ等の内容について記載した一切の文書

2 実施機関の決定

実施機関は、請求の(1)については「県外旅行命令簿及び執行伺兼支出命令書」(以下「旅行命令簿等」という。)を、請求の(2)及び(3)については「県外旅行の復命書」(以下「復命書」という。)を公開請求のあった行政文書として特定し、旅行命令書簿等については公開決定を、復命書については別表の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして本件処分1を行うとともに、請求の(4)及び(5)については、対象となる行政文書が不存在であるとして本件処分2を行い、平成18年2月2日付けで異議申立人に通知した。

3 異議申立て

異議申立人は、本件処分1及び2を不服として、平成18年2月13日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対して異議申立てを行った。

第3 異議申立ての内容

1 異議申立ての趣旨

「本件処分1及び2を取り消すとの決定を求める」というものである。

2 異議申立ての理由

異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)本件処分は、香川県の情報公開条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分を取り消し、全部公開をすべきである。
  • (2)本件「決定通知書」の「公開しない理由」は、香川県の情報公開条例の非公開事由に該当しない。
  • (3)本件「決定通知書」の「公開しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例第8条に違反し本件処分は無効である。

第4 実施機関の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

条例第7条第2号では、法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、非公開情報から除くこととしている。

また、条例第7条第4号では、県の機関等が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを非公開情報と定めている。

1 復命書について

  • (1)法人の住所及び名称が記載された部分
    1. 条例第7条第2号本文の該当性
      鉄鋼スラグは、鉄鋼石から鉄を精製した際にできる産業廃棄物であり、原則として廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)に基づく適正な処理が必要になるものである。
      産業廃棄物の適正処理に関する社会的関心は高く、この部分を公にすることで、当該法人に風評被害等が発生し、ひいては当該法人の信用や社会的評価等が損なわれ、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある。
      したがって、この部分を公開することは、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあり、本号の非公開理由に該当する。
    2. 条例第7条第4号本文の該当性
      鉄鋼スラグは、鉄鋼石から鉄を精製した際にできる産業廃棄物であり、原則として廃棄物処理法に基づく適正な処理が必要になるが、規格や形状によっては路盤材等として再利用される場合もあり、県では、その利用状況等について適宜調査を行う必要がある。
      本調査は相手方の任意の協力により行われるものであり、この部分を公にすれば、今後の他の事案についての調査においても協力が得られなくなるなど、正確な事実の把握を困難にし、県の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある。
      したがって、この部分を公開することは、当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、本号の非公開理由に該当する。
  • (2)ヒヤリング調査結果のうち第4項目が記載された部分
    1. 条例第7条第2号本文の該当性
      鉄鋼スラグは、鉄鋼石から鉄を精製した際にできる産業廃棄物であり、原則として廃棄物処理法に基づく適正な処理が必要になるが、規格や形状によっては路盤材等として再利用される場合もある。
      こうした鉄鋼スラグを廃棄物として処理するか、あるいは、路盤材等として再利用するか、さらには、どの業者に売却してどこの現場に搬入するかなど、その処理方法については当該法人の営業情報に該当する。
      この部分には、当該法人のこうした営業情報が記載されており、これを公開することは、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあり、本号の非公開理由に該当する。
    2. 条例第7条第4号本文の該当性
      鉄鋼スラグは、鉄鋼石から鉄を精製した際にできる産業廃棄物であり、原則として廃棄物処理法に基づく適正な処理が必要になるが、規格や形状によっては路盤材等として再利用される場合もあり、県では、その利用状況等について適宜調査を行う必要がある。
      本調査は相手方の任意の協力により行われるものであり、この部分を公にすれば、今後の他の事案についての調査においても協力が得られなくなるなど、正確な事実の把握を困難にし、県の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある。
      したがって、この部分を公開することは、当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、本号の非公開理由に該当する。

2 請求の(4)及び(5)について

実施機関では、請求のあった行政文書を作成しておらず、当該文書は存在しない。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。

なお、非公開情報の該当性の判断に当たっては、実施機関が主張する非公開理由のうちのいずれかに該当すると判断した情報については、他の非公開理由の該当性についての判断は行わないものである。

2 本件行政文書の内容について

本件復命書は、廃棄物対策課の職員が特定の日に特定市を用務地として行った県外旅行の復命書であり、事業者に対してヒヤリング調査を行った内容を報告したものである。

3 非公開情報該当性について

  • (1)「法人の住所及び名称」並びに「ヒヤリング調査結果のうち第4項目」の非公開情報該当性について
    条例第7条第4号は、県の機関等が行う事務又は事業の目的達成又は適正な執行の確保の観点から、当該事務又は事業に関する情報の中で、当該事務又は事業の性質、目的等からみて、執行前あるいは執行過程で公開することにより、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報については、非公開とすることを定めたものであると解される。
    審査会で見分したところ、法人の住所及び名称は調査の対象となった事業者のものであり、また、ヒヤリング調査結果のうち第4項目は当該事業者の営業情報であることが確認できた。
    この調査の趣旨について実施機関に確認したところ、本件調査は、県内に搬入された鉄鋼スラグに関して事実関係等について関係者に聴き取り調査をしたものであり、当該調査等を踏まえて今後の対応を検討する予定であったが、県外に搬出されてなくなったことから、具体的対応を要する状況ではなくなったものであるとの説明があった。
    また、実施機関の説明によれば、本件調査は相手方の任意の協力によるものであったとのことであるが、法に基づく調査であれば復命書においてもその旨が記載されることが必然であるところ、本件復命書にはそのような記載はなく、本件調査が関係事業者の任意の協力によるものであったとの実施機関の主張は是認できる。
    そして、本件調査が廃棄物対策を所掌事務とする廃棄物対策課の職員により行われたものであること、及び鉄鋼スラグは原則としては産業廃棄物として適正に処理されるべきものであることに鑑みると、事業者においては、営業情報はもとより、風評を恐れて、かかる調査を受けたという事実自体も公にされたくないものと考えられ、公にした場合は、実施機関が主張するように、今後実施機関が任意での調査を要請しても事業者の協力が得られなくなるおそれがあり、事実関係その他事案に係る状況の把握が困難となって、廃棄物行政の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと考えられる。
    よって、当該非公開部分は、条例第7条第4号に該当すると判断される。
  • (2)請求の4に対応する行政文書の不存在について
    実施機関に確認したところ、住民からの通報は実施機関の出先機関に対してなされたものであることからその内容は当該出先機関が作成する書類に記録されており必要な場合はそれで確認できることから当該書類の写しを作成して実施機関が保有しておく必要がないとの説明があった。
    この実施機関の説明を不自然なものと理解しなければならない特段の理由は認められず、また、異議申立人も請求対象行政文書が存在する理由を主張していないことから、当該行政文書を保有しておらず不存在であるとする実施機関の主張は、是認できる。
  • (3)請求の5に対応する行政文書の不存在について
    審査会において、本件復命書を見分したところ、その記載事項以外に何らかの打合せ等がなされたり、また、記載されている訪問先以外の者と打合せを行ったことを窺わせる記載は認められず、また、異議申立人も請求対象行政文書が存在する理由を主張していないことから、当該行政文書を保有しておらず不存在であるとする実施機関の主張は、是認できる。

4 第3の2異議申立ての理由のうち、(3)について

条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。

(省略)

別表

公開しない部分 公開しない理由
法人の住所及び名称
  • 本調査は、産業廃棄物の適正処理に関するもので、公にすることにより、当該法人の信用、社会的評価が損なわれ、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。(条例第7条第2号本文該当)
  • 当該調査は相手方の任意の協力により行われるものであり、公にすれば、今後の他の事案についての調査においても協力が得られなくなるなど、正確な事実の把握を困難にし、県の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある。(条例第7条第4号本文該当)
ヒヤリング調査結果のうち第4項目
  • 当該法人の営業報が記載されており、公にすることにより、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。(条例第7条第2号本文該当)
  • 当該調査は相手方の任意の協力により行われるものであり、公にすれば、今後の他の事案についての調査においても協力が得られなくなるなど、正確な事実の把握を困難にし、県の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある。(条例第7条第4号本文該当)

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