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公開日:2021年2月17日

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令和3年2月県議会定例会提出議案 知事説明要旨について

令和3年2月県議会定例会提出議案 知事説明要旨について

令和3年2月県議会定例会の開会に当たり、県政運営の所信及び令和3年度当初予算の概要と主要施策等について御説明し、議員各位、県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。

1 県政運営の所信

一昨年末、中国湖北省で初めて確認された新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に全世界に拡大し、今や陽性患者は1億人を超え、いまだに多くの人々の命と健康がおびやかされています。本県においても、一昨日までに724名の新型コロナウイルス感染症の陽性患者を確認し、18名の方がお亡くなりになられました。お亡くなりになられた方々には心からお悔やみ申し上げますとともに、療養中の皆様が一刻も早く快復されることを願っております。

コロナ禍のもと、人の移動や接触への制約は世界規模で深刻な経済停滞を招き、世界全体がかつて経験したことのない危機に覆われており、積極的に交流して関係を深めることで活力を生み出してきた、これまでの生活スタイルや社会の在り方に大きな影響が及ぶとともに、それらの変容が求められています。

こうした中、令和3年、まずなすべきことは、この新型コロナウイルス感染症への対応に全力を注ぎ、引き続き県民の皆様の命と健康、暮らしと雇用、事業を守っていくことであります。この感染症は、現時点では収束時期の予測が困難であることに加えて、その感染防止と人々の社会経済活動の両立についても、難しい舵取りが求められております。私としては、感染防止対策の決め手とされるワクチンの円滑な接種に向けて、その準備を着実に進めるとともに、引き続き、検査・医療提供体制の確保等に万全を期しながら、県内や全国の感染状況を見極めつつ、社会活動や地域経済の回復についても、必要な対策を迅速果断に講じていきたいと考えています。

一方、今年は、東日本大震災が発生してから10年となります。

私は、知事に就任して半年後に、この未曽有の東日本大震災を目の当たりにし、大規模災害はいつ発生してもおかしくないとの危機感の下、こうした災害から県民の皆様の命と財産を守ることを県政の最優先課題として、南海トラフ地震をはじめとした災害に備えて防災・減災対策に全力を傾注してまいりました。近年、地震のみならず風水害など、甚大な被害をもたらす自然災害が全国各地で発生していることを踏まえれば、防災・減災対策の必要性は一層高まっているものと考えております。

震災から10年を迎えるにあたり、改めて、犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、被災された方々には心からお見舞い申し上げるとともに、震災の経験を忘れてはならない教訓とし、気を引き締め、ハード、ソフト両面からの防災・減災対策を着実かつ強力に今後とも進めてまいります。

この防災・減災対策を含め、私は知事就任以来、都市の持つ活力や利便性と田園の持つゆとりややすらぎを兼ね備えた魅力のある生活圏である「せとうち田園都市の創造」を基本理念に掲げ、県議会をはじめ、県民の皆様の御意見を伺いながら2次に渡る総合計画を策定し、香川づくりに取り組んでまいりました。現行計画の終了時期を迎え、これまでの取組みの成果を引き継ぎながら、その歩みを確実なものとするため、この度、新たな香川づくりの指針となる次期総合計画の骨子案を取りまとめました。骨子案では、「せとうち田園都市の確かな創造」を基本目標として掲げ、これを実現するための方向性を示すものとして、災害や感染症などの危機への備えを万全なものとし、全ての人が安心して、穏やかな日々を過ごすことができる「安全と安心を築く香川」、そして、新たな発想を持った人材と新しい技術の積極的な活用により、本県ならではの魅力や強みをさらに磨き上げ、産業、観光、しごと、暮らしのあらゆる面で選ばれ、活力に満ちあふれる「新しい流れをつくる香川」、さらに、すべての人が夢と希望を持って、それぞれの環境で能力を発揮し、お互いを認め合いながら、笑顔でいきいきと暮らせる「誰もが輝く香川」の3つの基本方針を掲げております。

今後は、この基本方針に沿った各種施策に取り組むことにより、直面する喫緊の課題である災害に強い香川づくりと人口減少問題の克服・地域活力の向上はもとより、新型コロナウイルス感染症対策や感染症を契機とした地方移転や移住の機運の高まり、新しい日常や生活様式の浸透、デジタル化の加速などの社会変革にも的確に対応してまいりたいと考えております。

次期計画の策定に当たりましては、いま一度、本県の強みや魅力を見つめ直すとともに、時代の変化を捉え、本県の将来にとって必要と考える新しい取組みにもチャレンジする香川らしい計画となるよう、県議会はもとより、県内各市町や各界、各層からの御意見を伺い、県民の皆様の声を十分に踏まえながら進めてまいりたいと考えておりますので、引き続き、議員各位の格別の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

2 令和3年度当初予算の概要等

以上、所信の一端を申し述べさせていただき、引き続き、上程されました当初予算案について御説明いたします。

昨年11月にお示しした「中期財政概算見通し」において試算した今後5年間の収支見通しが一層厳しさを増している中、令和3年度当初予算は、大きな課題である「新型コロナウイルス感染症への対応」、「災害に強い香川づくり」、「人口減少問題の克服・地域活力の向上」に最も力点を置き、先程申し上げました「香川県次期総合計画骨子案」の基本方針である「安全と安心を築く香川」、「新しい流れをつくる香川」、「誰もが輝く香川」を目指すこととし、編成に当たっては、事務事業の見直しやスクラップ・アンド・ビルドの強化、事業開始から3年以上経過した重点推進事業のゼロベースでの見直しなどに全庁をあげて取り組むことで財源確保に努め、その限られた財源を喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策や防災・減災対策、人口減少・活力向上対策に重点的に配分することで、効果的・効率的な予算となるよう意を用いながら、社会保障関係経費の増加にも対応したところであります。

その結果、令和3年度一般会計の当初予算の規模は、総額4,761億円余、対前年度41億円程度増となりました。

歳入面においては、新型コロナウイルス感染症の経済に与える大きな影響により、県税や地方譲与税、地方消費税清算金が大幅に減少し、地方交付税及び臨時財政対策債は増加する見込みであるものの、一般財源総額としては、前年度に比べ約12億円減少するものと見込んでおります。

また、令和元年度決算において減少した県債残高でありますが、臨時財政対策債の発行額が大幅に増加することに伴い、再度、増加に転じる見込みとなっているものの、臨時財政対策債を除く県債残高は引き続き減少する見込みであり、これまでにも増して、次世代への責任の視点に立って、将来に過度の財政負担を残さない持続可能な財政運営を進めてまいります。

なお、同時に編成を進めました令和2年度補正予算は、国の補正予算に伴う対応としての新型コロナウイルス感染症対策や防災・減災対策等のほか、鳥インフルエンザ特別対策などに一般会計で130億円余、特別会計で8億円余を、それぞれ計上することとしており、その内容につきましては、後ほど、御説明いたします。

3 令和3年度の主要施策

それでは、以下、令和3年度の主要な施策について、申し上げます。

(1)「安全と安心を築く香川」

第1は、「安全と安心を築く香川」についてであります。

まず、「災害に強い香川をつくる」については、先ほど申し上げましたように、私は、県民の皆様の命と財産を守ることが県にとっての最大の責務であると、改めて肝に銘じ、ハード・ソフト両面から、あらゆる防災・減災対策を実施することにより、「災害に強い香川づくり」を強力に推進していく所存であります。

このため、民間建築物や住宅の耐震化、老朽危険空き家の除却への支援などはもとより、道路や河川などの重要インフラが災害時にその機能を発揮できるよう、国が昨年12月にとりまとめた「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に沿って、重点的かつ集中的に防災・減災対策に取り組んでまいります。また、海岸堤防や河川堤防については、「地震・津波対策海岸堤防等整備計画」に基づき、ため池については、「老朽ため池整備促進第11次5か年計画」に基づき、それぞれ、特に優先度の高い箇所から重点的・集中的に対策工事を進めるほか、ため池の適正な保全管理やハザードマップの作成などの各市町の取組みを支援します。

一方、近年の豪雨災害を踏まえ、「施設では防ぎきれない大洪水等は発生するもの」との考えに立ち、「逃げ遅れゼロ」を実現するため、県民の皆様の防災意識の向上や防災情報の充実などのソフト対策についても総合的に進め、ダム下流域の浸水想定図や住民に身近な小規模河川の氾濫推定図の作成、防災アプリ「香川県防災ナビ」の普及などにも取り組んでまいります。

さらに、「「災害に強い香川づくり」集中対策推進事業」により、避難所の運営体制強化など防災・減災対策に集中的に取り組む各市町を継続的に支援するほか、災害拠点病院における設備整備や新型コロナウイルス感染症に対応したBCP(業務継続計画)の改定、広域救護病院のBCP策定やDMAT(災害派遣医療チーム)の機能強化に対する支援など、災害時医療体制の強化を進めます。

次に、「「子育て県かがわ」の実現をめざす」については、「かがわ縁結び支援センター」の利便性を高めるため、会員自身のタブレット端末でも閲覧、申込等ができるようマッチングシステムの改修などを行うとともに、不妊治療や不育症検査への支援を拡充するほか、妊娠・出産に関する相談体制や各市町と連携した結婚新生活支援事業の充実を図ることで、結婚・妊娠期からの支援を一層強化してまいります。

また、待機児童の解消対策として、保育士が抱える不安や悩みに即した専門家が相談に応じる制度を新たに設けることで、保育士が長く働くことができるよう支援し、離職の防止に努めます。

児童虐待防止対策については、引き続き、児童福祉司等の増員や相談支援技術の向上など児童相談所の体制強化を図るとともに、新たに、医師等の専門家との連携を通じた保護者指導・支援の強化やDV被害者と同伴児童への支援の充実を図ることにより、児童虐待の未然防止、早期対応、再発防止に取り組みます。

子どもの心身の発達などに悪影響を及ぼす可能性のあるネット・ゲーム依存の問題については、依存状態に陥ることを未然に防ぐための正しい知識の普及啓発や相談支援、医療提供体制の充実などの、総合的な対策を関係機関とも連携して推進します。

このほか、「さぬきこどもの国」の子育て家庭による利用促進を図るため、わくわく児童館2階をリニューアルするとともに、放課後児童クラブ等の運営支援、多子世帯の子育て支援などにも継続して取り組み、次代を担う子どもたちを安心して生み、健やかに育てることができる「子育て県かがわ」の実現を目指します。

次に、「健康長寿の香川をつくる」については、生活習慣病等の発症予防や早期発見・早期治療を進めるため、小児生活習慣病予防健診に対する助成をはじめ、地域や職域の関係機関・団体、医療機関、学校等と連携し、幅広い年齢層に対して、食事や運動などの生活習慣の改善を中心とした健康づくりに関する施策を総合的に推進してまいります。

また、女性のがんに関する正しい知識の普及や検診車派遣による検診を受けやすい環境づくりなどのがんの予防、早期発見の取組みに加え、がん医療の水準の向上、がん患者に対する支援など、総合的・計画的ながん対策を推進するほか、歯科口腔保健に関する知識の普及や歯科疾患の予防などの生涯を通じた歯と口腔の健康づくりに関する施策を進めてまいります。

次に、「安心な医療・介護体制をつくる」についてであります。

まず、新型コロナウイルス感染症対策については、大規模な感染発生時であっても検査や疫学調査を迅速、正確に実施できるよう、保健所及び環境保健研究センターの体制を充実させるとともに、患者搬送体制や入院病床、軽症者等受入施設、医療従事者の活動支援を、引き続き十分に確保し、その上で、医療従事者の感染症対応能力を強化する研修の実施、医療機関や施設で集団感染が発生した際の専門家チームの派遣体制の確保、感染症で休業した医療機関の再開支援などにも取り組み、医療提供体制の強化に万全を期してまいります。また、新たに、感染症発生時に即応できる感染症分野の専門人材の育成に着手し、今後の新たな感染症危機にも備えたいと考えております。ワクチン接種については、庁内に新型コロナウイルスワクチン対策チームを設置し、県内医療従事者の優先接種に向けた調整や各市町による住民への接種に向けた支援を行っているところでありますが、新たにワクチンコールセンターを開設し、ワクチン接種に係る専門的な問合せに対応する体制を整備してまいります。

また、安心な医療提供体制の構築に向けて、地域医療介護総合確保基金の活用等により、病床機能の分化・連携や在宅医療の推進に積極的に取り組むとともに、「第7次香川県保健医療計画」に沿った地域における切れ目のない医療の実現、かがわ医療情報ネットワーク(K-MIX R)やレセプト情報活用診療支援システム(K-MIX R BASIC)の普及による医療のデジタル化を推進することにより、良質かつ適切な医療を持続可能な形で効率的に提供する体制の確保に努めます。令和4年度のドクターヘリの運航開始に向けては、フライトドクター等の人材育成や基地病院に係る設備整備等を進めてまいります。

県立病院においては、「第3次県立病院中期経営目標」に代わる新たな経営指針を策定し、病院事業管理者のもと、指針に沿った、より一層の経営改革に取り組み、県民の皆様から求められる医療を安定的、継続的に提供してまいります。

医療人材の確保につきましては、臨床研修終了後も引き続き県内で専門研修を受ける専攻医を確保するために県内で研修中の臨床研修医が一堂に会する合同セミナーを新たに開催するほか、看護職を目指す学生への修学支援などに取り組んでまいります。

安心できる介護体制の構築に向けては、地域の元気な高齢者や外国人介護人材など、多様な介護人材の参入を促進するとともに、介護現場の負担軽減や効率性の向上のため、介護ロボットの導入や業務改善に取り組む介護事業所を支援いたします。

次に、「高齢者や障害者が地域で安心して暮らせる社会をつくる」についてであります。

高齢者が地域で安心して暮らせる体制の整備の一環として、今定例会に御提案している「第8期香川県高齢者保健福祉計画」に基づき、地域で買物、通院等の日常生活上の移動が困難な高齢者を対象とした移動支援の仕組みづくり等に取り組む市町を支援してまいります。

障害者の地域生活支援と就労・社会参加の促進については、日常的に医療的なケアを受けながら生活する児童や御家族等を総合的に支援する体制を新たに構築するなど、今定例会に御提案している「第6期かがわ障害者プラン」に基づき、障害や障害者に対する県民の皆様の理解促進と地域における相談支援体制や障害福祉サービスの一層の充実を図るとともに、障害者の雇用・就労や社会参加の促進などを通じて、共生社会の実現に向けた取組みを進めます。

また、新型コロナウイルス感染症対策として、高齢者施設や障害者施設等において感染が発生し、業務継続が困難となった場合に、施設間で連携、支援する体制を確保するとともに、サービス継続に必要な経費を支援してまいります。

さらに、県民一人ひとりの人権が尊重される社会の実現を目指し、「香川県人権教育・啓発に関する基本計画」に沿って、人権教育の充実や効果的な啓発活動の積極的な展開を図るとともに、人権に関する相談窓口を活用した人権擁護活動の推進に努めます。

次に、「安心につながる社会資本を整える」についてであります。

道路、河川、港湾等の社会資本の計画的な整備を図り、空港連絡道路については、香南工区の一部供用を目指し、整備を進めるほか、さぬき浜街道については、県道丸亀詫間豊浜線多度津西工区の暫定2車線での供用開始を目指すとともに、県道高松坂出線五色台工区の整備を進めます。

また、輸送力、定時性等に優れた鉄道を中心に、駅などの交通結節点において、バスやタクシー、自家用車等との乗り継ぎ機能を高め、県全体で利便性と結節性に優れた地域公共交通ネットワークの構築に努めてまいります。

水の安定供給の確保については、引き続き、ダムやため池の整備を推進するとともに、地震などの災害に強い水道の構築に向けて、香川県広域水道企業団による水道施設の更新・耐震化を促進するほか、香川用水の一層の安定供給に向け、独立行政法人水資源機構と連携しながら、高瀬支線の老朽化対策等に取り組みます。

次に、「交通事故・犯罪のない安全安心な香川をつくる」についてであります。

本県における昨年の交通事故については、発生件数、負傷者数とも前年から減少したものの、死者数は59人と大幅に増加し、人口当たりでは平成24年度以来の全国ワーストと非常に厳しい状況にあり、交通死亡事故の抑止を喫緊の課題として対策を講じてまいります。

具体的には、交通安全教育や交通マナー向上のための広報、交通安全施設等の整備、交通指導取締りなどの対策に加え、四輪の交通事故死者の7割近くがシートベルト非着用であったこと、歩行者の交通事故死者の半数が横断歩行中であったことを踏まえ、シートベルトカバーの配付など、工夫を凝らした手法も取り入れてシートベルト着用の徹底を図るとともに歩行者横断禁止区間の横断を抑止するための路面シート「わたるなシート」の整備に取り組みます。

また、交通事故死者数の7割以上を占める高齢者に対しては、世帯訪問による交通安全指導、交通事故防止教室の開催などに加え、新たに、高齢者が日常運転している自宅周辺道路での自動車教習所指導員による無料の運転講習を実施いたします。

このほか、視聴者の心に訴える本県独自の交通安全教育用映像教材の制作や飲酒運転に関する情報受付窓口の県警ホームページ上での開設などに新たに取り組むほか、用水路等への転落事故防止対策、通学路の交通安全対策、交差点改良など、安全で快適な交通環境の整備を推進してまいります。

犯罪被害者や御家族等に対しましては、犯罪被害直後から息の長い支援をするため、本年4月1日から施行する「香川県犯罪被害者等支援条例」に基づき、県民の皆様の理解を深めるための広報啓発を行うとともに、関係機関や民間支援団体等と連携を強め、総合的かつ計画的な取組みを進めます。また、DV被害者の方には、民間シェルター等の関係機関との連携を強化して支援を行うほか、性暴力被害者の方には、性暴力被害者支援センター「オリーブかがわ」の相談機能を高め、必要とされる支援が届くよう取り組んでまいります。

(2)「新しい流れをつくる香川」

第2は、「新しい流れをつくる香川」についてであります。

「定住人口を拡大する」については、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした地方移転や移住の機運の高まりを好機と捉え、多くの方に本県への移住についての関心を高めていただけるよう、移住ガイドブックのリニューアルと移住ポータルサイトとの連携など情報発信の強化を図るとともに、引き続き、空き家改修の補助など、移住者の住宅環境の整備を支援するほか、東京や大阪での移住フェアや学生向けのUターンセミナー等を開催するなど、各市町や県内企業、県内外の大学等と連携しながら、積極的に移住・定住の促進を図ってまいります。

あわせて、社会全体でテレワークの普及・浸透が急速に進んでいる状況を踏まえ、テレワークに使用するサテライトオフィスを県内に開設する県外事業者や県外事業者向けに賃貸するためのサテライトオフィスの整備を行う事業者に整備費用等を補助するほか、各市町が実施するテレワーク等による地方移転や移住を促進する事業の支援に取り組みます。

このほか、今年度から、若者に魅力のある働く場を創出して県内定着を促進するため、若者の就業率が高く、将来の成長が見込まれる情報通信関連産業の育成・誘致に取り組んでおりますが、令和3年度は、拠点である「Setouchi-i-Base」においてAIやアプリ開発講座などに加え、IoTの導入や事業創造の促進などに関する実践的な講座を実施することにより、社会全体のデジタル化を支える人材の育成を推進いたします。また、拠点に集う多様な人材により生み出されたアイデアを起業や第二創業、既存企業の競争力強化につなげられるよう、新たにコンテストの実施やインターネットを活用したビジネスマッチング支援にも取り組んでまいりたいと考えております。

次に、「戦略的な産業振興を図る」については、本県の産業振興の指針となる「香川県産業成長戦略」に基づき、社会情勢の変化や事業者が抱える課題を踏まえ、時機に応じた各種施策を展開してまいります。

まず、AI、IoT等を活用して、様々な社会課題を解決できる持続可能な経済社会システム「Society5.0(超スマート社会)」の考え方のもと、産業技術総合研究所と連携した県内企業の研究開発の支援、産業技術センターにおけるロボット要素技術の研究開発、デジタル技術の導入を検討している中小企業へのコンサルティング支援など、産業分野における先端技術の導入やデジタル化を積極的に支援し、生産性の向上やイノベーションの創出につなげていきます。

また、県内企業による新たな事業展開を促進するため、感染症対策や災害現場等で活用される製品の開発、海洋プラスチックごみ問題に対応した環境負荷低減材料の試作開発などを支援するとともに、地域社会が抱える課題の解決につながる事業を行う際の新規創業・第二創業の創出に努めてまいります。

このほか、制度融資の拡充などを通じて新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた県内中小企業・小規模事業者の事業継続と雇用維持の支援に継続的に取り組むほか、オンラインの手法も活用しながら県内企業と国内外企業の商談支援などにも取り組みます。

「かがわ希少糖ホワイトバレー」プロジェクトでは、希少糖拠点機能の強化や商品開発支援、情報発信に取り組み、香川の希少糖ブランドの確立を進め、オリーブ産業強化プロジェクトでは、IOC(インターナショナル・オリーブ・カウンシル)のオリーブオイル官能評価研修への職員派遣、オリーブ国際ジーンバンクと連携した香川県オリジナル品種の研究、国際基準に則った県オリーブオイル品質表示制度に適合した県産オイルの情報発信、発酵食品研究所の化学分析に係るIOC認定取得、県独自のオリーブ畜水産物の生産拡大や高品質化などに取り組み、産業基盤の強化やブランド力の向上を図ります。

次に、「雇用対策を推進する」については、県内企業の人材確保に向け、「ワークサポートかがわ」において、きめ細かなマッチング支援や合同就職面接会の開催などに取り組むとともに、新たに、オンラインによる企業研究フェアの開催や県内企業の現場や先輩との交流を体感できる動画の配信を実施し、若者の雇用対策の充実を図るほか、ニーズが高まっているデジタル人材について、県内企業と求職者とのマッチングイベントを実施いたします。

また、高校生や大学生に対するキャリア教育を推進し、地元就職の促進や雇用のミスマッチ解消を図るほか、女性や高齢者、障害者の方の雇用促進、雇用情勢の悪化の影響を受けやすい非正規雇用労働者の方などの正社員就職に向けた支援にも取り組みます。

本県経済の持続的成長に不可欠な存在となっている外国人材については、企業からの受入れ等に関する相談に対応する「外国人労働人材関係相談窓口」と、外国人住民からの生活等に関する相談に対応する「かがわ外国人相談支援センター」の2つの窓口が連携して対応するとともに、留学生の県内就職促進や外国人労働人材の入国時の待機に要した宿泊費用を負担する企業に対する補助などのほか、新たに、就業規則の多言語化など、企業が取り組む外国人材の受入環境の整備に要する経費を支援してまいります。

あわせて、本県における多文化共生社会の推進の基本指針となる、次期「かがわ多文化共生推進プラン」を策定し、外国人と日本人が共に安全・安心の下で豊かに生活できる環境の整備に取り組んでいきます。

担い手の高齢化と若年入職者の不足が課題となっている建設業については、中高生に向けた魅力の発信、事業者が実施する人材確保・育成やICT活用への助成などにより、担い手の確保と育成を図ります。

また、企業における働き方改革を推進するため、企業へのアドバイザー派遣や企業内で働き方改革を推進する人材を育成する講座などを実施するとともに、新たに、テレワークの導入及び運用のための実務講習会の開催や多様で柔軟な新しい働き方を導入するための環境整備に要する経費の助成にも取り組んでまいります。

次に、「交流人口を回復・拡大する」については、本県の認知度やブランド力を向上させるため、本県の魅力を紹介する宣伝材料の制作やデジタルマーケティングの活用等により戦略的な情報発信を展開するとともに、滞在型観光を推進するため「香川せとうちアート観光圏」事業を実施するほか、県内での滞在時間を拡大する観光誘客イベントの造成への支援や「新しい生活様式」においても楽しんでいただける魅力的なコンテンツの創造に取り組むなど、香川せとうちアートのブランド化を進めてまいります。

また、「マイクロツーリズム」(地元や近隣への短距離観光)や「ワーケーション」(観光地などでテレワーク等を活用し、働きながら休暇をとる過ごし方)など、社会情勢の変化とともに注目されている新たな観光スタイルに対応した旅行の提案や商品造成に努めるほか、新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着いた後には、旅行需要の回復と観光関連消費の喚起を図るため、県内宿泊助成を実施する予定としております。

海外からの誘客活動については、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえつつ、高松空港の定期路線就航先である韓国、中国、台湾、香港を中心に、戦略的な情報発信・誘客活動を実施するとともに、感染症の収束後は、いわゆるゴールデンルートから本県への誘客の流れを作るための情報発信や欧米豪市場からのインバウンド回復に向けた誘客対策にも取り組みます。

また、引き続き、観光施設等における多言語表記やインターネット環境の拡充、地域通訳案内士の活用など、受入体制の充実・強化に取り組むとともに、災害等の非常時においても外国人観光客が安心して本県を旅行できるよう情報提供の充実に努めるほか、インバウンド向けの観光コンテンツについても、旅行者のニーズの変化を踏まえた新たな生活様式を実践したものを充実させて観光消費の拡大に努めます。

次に、「農林水産業の持続的発展を図る」についてであります。

まず、中核となる担い手の確保・育成については、引き続き、就農から定着までの一貫したサポート体制の強化やきめ細かな就農相談の実施、就農希望者と農業法人等とのマッチング促進、担い手個々の経営課題に応じた個別相談などに取り組むほか、新たに、産地見学バスツアーやオンラインによる就農相談体制の強化など移住就農の積極的な働きかけを行い、次世代の力強い担い手の確保・育成を進めてまいります。

優良農地の確保のため、ほ場整備等により、良好な営農条件を整備するほか、農地中間管理事業については、集落営農の推進や多面的機能の維持等との連携強化を図りながら担い手への農地集積に向けた取組みを強化し、また、中山間地域等条件不利地域においても、担い手の確保や地形の特性を生かした生産基盤の整備など、総合的な支援をいたします。

農産物の安定供給や需要拡大に向けては、「おいでまい」の作付拡大に対する助成や品質向上の取組みなどにより、高品質な農産物の生産拡大を推進するとともに、「さぬきの夢」についてはうどん以外の新たな活用についても検討し、「さぬき讃フルーツ」・「さぬき讃ベジタブル」・「さぬき讃フラワー」については一体的に「さぬき讃シリーズ」として打ち出し、ブランド力の強化を図ります。

また、「全国高校生花いけバトル」を引き続き開催して若い世代を中心に県産花きの需要拡大を図るとともに、本県特産の盆栽については高松市と連携し、輸出促進や担い手の確保・育成、盆栽に関する情報発信への支援など、産地の活性化に取り組んでまいります。

さらに、農業者の高齢化、労働力不足等への対応や農産物の収量増大、品質向上を図るため、データ駆動型農業の研究や普及、省力化につながる技術やスマート農業機械の導入をこれまでにも増して積極的に推進するほか、オリーブ畜産物についても、業務の自動化・リモート化・デジタル化を図る取組みを支援していきます。

高病原性鳥インフルエンザ対策については、後ほど御説明する今年度の補正予算に提案している特別対策とともに一連の対策として、国や専門家の助言等を踏まえて、防疫体制の検証・見直しと防疫マニュアルの改訂等を行うとともに、養鶏農家への消石灰配布による消毒の徹底指導、野生動物の侵入防止対策経費の助成、飼養衛生管理基準の遵守徹底に向けた研修会の開催などにより防疫体制の強化を図り、発生防止に取り組みます。

水産業については、就業から定着までを一貫してサポートすることによる担い手の確保・育成、資源管理型漁業の推進などに取り組むほか、魚類養殖業の競争力強化を図るため、新たに水産エコラベルの認証取得や魚類養殖業のデジタル化の促進についても取り組んでまいります。

林業については、治山や造林、林道の各事業に加え、森林環境譲与税を活用して間伐等の森林整備を推進し、森林の持つ多面的機能の維持・発揮に努めるとともに、「香川県県産木材の供給及び利用の促進に関する条例」に基づき、県産木材の安定供給と利用拡大に向けた取組みを推進いたします。

次に、「県産品のブランド力の強化・販路拡大を図る」については、観光客や県内の消費者に向け、料理団体と連携したメニュー開発やレストランフェアの開催など、香川の「食」の魅力発信を行う「「かがわの食」Happyプロジェクト」に取り組むほか、アンテナショップのオンライン販売を充実させるなど利便性の向上を図り、県産品の認知度向上とブランド力の強化に努めてまいります。

また、大消費地の百貨店、レストラン等でのフェアや食材のプロモーションの開催に加え、通信販売事業者や百貨店等が運営するオンラインストアとの連携を強化することにより、国内での販路を拡大するとともに、近隣アジア諸国や欧米など海外においては、現地企業による代理営業など、新たな販売手法も導入し、感染症の影響がある中にあっても継続的に販路の拡大を図ってまいります。

次に、「デジタル社会を推進する」についてであります。

デジタル化は、県民生活の利便性の向上や、県内企業等の生産性向上、競争力強化などに資するものであることに加え、感染症のリスク等にも対応した持続可能な経済社会を構築するために必要不可欠なものであると考えております。

このため、デジタル化を総合的かつ戦略的に推進するための「かがわデジタル化推進戦略(仮称)」を策定するとともに、私を本部長とし、部長級職員で構成する「香川県デジタル化推進戦略本部(仮称)」並びに政策部内に「デジタル戦略総室」を設置し、部局横断的に各施策分野におけるデジタル化の企画・立案、総合調整、進捗管理を行う体制を整備いたします。

また、進化し続けるデジタル技術に的確に対応し、デジタル化を支える人材の育成に取り組むとともに、デジタル社会の基盤となるマイナンバーカードについても、各市町と連携して積極的に広報、啓発を行い、その普及促進に取り組んでまいります。

さらに、デジタル技術を活用した地域課題の解決と産業の活性化に取り組むとともに、行政分野のデジタル化については、行政手続の利便性の向上と行政運営の効率化を図るため、セキュリティ対策にも留意しつつ、行政手続のオンライン化やAI、RPA等の活用を推進してまいります。

次に、「四国における拠点性を確立する」についてであります。

高松空港については、高松空港株式会社等と連携・協力しながら、まずは落ち込んだ航空需要の早期回復に努めるとともに、本県の産業や観光の振興など幅広い分野において、民間委託の効果を最大限に引き出し、四国・瀬戸内の拠点空港として発展するよう、引き続き、航空ネットワークの充実等に努めます。

四国の新幹線の実現に向けては、昨年度、「四国新幹線整備促進期成会」において、リニア中央新幹線が新大阪まで延伸される2037年を一つのターゲットとして開業を目指すことが決議されたことを踏まえ、四国各県や経済界、事業者等と連携し、四国一丸となって国や関係機関への要望や機運醸成に取り組みます。

高松港国際物流ターミナル整備事業については、水深12メートルの耐震強化岸壁の本格供用に向け、国の直轄事業で実施している航路浚渫を促進してまいります。また、高松港複合一貫輸送ターミナル整備事業については、高松・神戸間航路のフェリー貨物の増加に伴う船舶の大型化への対応や大規模地震時の緊急物資輸送機能を確保するために、国の直轄事業で実施する耐震強化岸壁の整備を促進いたします。

(3)「誰もが輝く香川」

第3は、「誰もが輝く香川」についてであります。

まず、「豊かな人間性と個性あふれる子どもたちを育てる」についてであります。

小・中学校では、確かな学力を育成するために、少人数学級を拡充し、小1から中2まで35人学級を実現するとともに小学校高学年の専科指導も推進し、児童生徒の多様な実態に応じた指導体制や指導方法を工夫することにより、きめ細かな指導を継続しながら個を生かす協働的な学びの充実を図ります。

また、新学習指導要領に対応して、中学2年生のスピーキングテストの実施などにより英語力の向上を図るとともに、1人1台学習用情報端末を効果的に活用した授業を実施するために、教員の指導力の向上に取り組んでまいります。

県立高校では、「魅力あふれる県立高校推進ビジョン」に掲げている「郷土への理解や郷土愛」、「イノベーション創出力」、「グローバル社会への対応」に関して、教育プログラムの研究開発に取り組むとともに、その研究成果を普及させ、県立高校の魅力向上を図っていきます。

特別支援教育については、特別な支援が必要な幼児・児童・生徒への指導の充実を図るため、ICTの活用や支援体制の整備に取り組むとともに、小豆地域における特別支援学校の整備を計画的に進めてまいります。

いじめ・不登校や高校中退等の課題に対しては、すべての小・中学校への学校規模に応じたスクールカウンセラーの派遣や、スクールソーシャルワーカーの効果的な活用などを引き続き実施するほか、新たに、不登校対策コーディネーターやスクールロイヤーも活用し、その解消などに取り組みます。

このほか、スクールサポートスタッフや部活動指導員を配置する各市町教育委員会に対して支援を行い、教員が児童生徒の指導に一層専念できる体制の構築に取り組むとともに、本県の教育を支える意欲と熱意を持った優秀な教員を確保するため、本県出身の学生を対象とした懇談会の実施や学校や教職の魅力の発信に取り組んでまいります。

次に、「女性が輝く香川にする」については、女性が働きやすい環境整備などを通して、あらゆる分野における女性の活躍を推進するため、引き続き、女性リーダーの養成講座や女子中高生を対象とした理工系女性研究者等によるワークショップを開催するほか、社会状況の変化を考慮したテーマに沿う男女双方の意識啓発のための事業等を実施します。

次に、「大学と地域との連携を深める」については、新たに、産業界や各市町等を構成員に加え、「大学コンソーシアム香川」を再編・機能強化することにより、地域の課題やニーズを踏まえた県内大学等の強みを生かした取組みを促進するとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけとしたデジタル化の急激な進展に対応するため、大学等におけるデジタル等を活用した教育環境の整備やデジタル人材の育成の取組みを支援するなど、地域を支える魅力ある大学づくりを進めてまいります。

次に、「人と自然が共生する香川をつくる」についてであります。

本県の恵まれた環境を将来にわたって守り育てていくため、幅広い環境分野の人材育成と育成された人材の地域における活動が県全体に広がるよう取り組んでまいります。

地球温暖化の進展に伴い、近年、国内外で深刻な気象災害が多発しており、今後、気候変動の影響によるリスクが更に高まることが予測されております。

こうした中、政府においては「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」2050年カーボンニュートラルを宣言し、「グリーン社会の実現」を「次の成長の原動力」に位置付け、また、国会においても「地球温暖化問題は気候変動の域を超えて気候危機の状況に立ち至っている」との認識のもと、「気候非常事態宣言」を採択するなど、「脱炭素」に向けた動きは加速化しております。

私も、現在の気候は危機的な状況にあると認識しており、地球温暖化防止には、わが国全体が方向性を一にして取り組む必要があることから、県として、「気候が危機的な状況にあることを認識し、2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにする」ことを目標に掲げ、脱炭素社会の実現に向けた取組みを、鋭意、進めてまいります。

令和3年度は、その取組みを本格化していくために「ゼロカーボンキックオフ事業」として、脱炭素社会の実現に向けた県民の意識醸成を図るシンポジウムや事業者の取組みを促進するセミナーを開催するとともに、「ゼロカーボンシフト促進事業」として、二酸化炭素の排出量の多い事業者に専門家を派遣して排出削減の取組みを支援するほか、金融機関、関係団体等と連携した支援体制を構築して事業者の環境配慮型の投資を促すなど、環境負荷低減の取組みを促進いたします。

持続可能な循環型社会の形成に向けては、新たな課題となっているプラスチックごみ対策や食品ロス削減の推進など、廃棄物の発生抑制・適正処理に積極的に取り組んでまいります。

深刻化するイノシシなどの有害鳥獣被害対策については、県主体の捕獲事業の実施に加え、市街地への出没経路を調査し、緊急対策を講じるほか、侵入防止対策や集落に寄せ付けない環境づくり、捕獲効率の向上などに継続的に取り組みます。

動物愛護管理施策については、「さぬき動物愛護センター・しっぽの森」において、譲渡前に試行的に飼養を行うトライアル制度や専門家による犬の訓練等により犬猫の譲渡を一層推進するほか、野犬や野良猫を減らすための地域の取組みを支援することで犬猫の殺処分数の減少を図り、あわせて、ボランティアの方々との連携を強化し、「預かりボランティア」の対象犬猫を拡大するなどにより、収容された犬猫の適正管理を進めてまいります。

豊島廃棄物等処理施設撤去等事業については、現在、地下水浄化対策に鋭意取り組んでいるところであり、これまでに豊島処分地のほとんどの区画において地下水の汚染濃度が排水基準値以下となるなど、着実に浄化が進んでおり、引き続き、残された区画や局所的な汚染源の浄化対策に集中的に取り組んでまいります。

また来年度は、豊島処分地全域での排水基準の到達・達成を確認したのち、豊島処分地の関連施設について、事業の進捗に応じ、不要となったものから順次、撤去を進めてまいりたいと考えており、国の財政支援が受けられる令和4年度末までに地下水浄化対策や豊島処分地の関連施設の撤去、遮水機能の解除等が完了するよう、引き続き、県議会をはじめ県民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、最後まで、安全と環境保全を第一に全力で取り組みます。

次に、「活力あふれる農山漁村をつくる」については、地域が協働して行う水路やため池等の保全管理活動の促進、及び周辺環境や農村景観等に配慮した施設整備により、多面的機能、集落機能の維持・発揮に努めるとともに、魅力あふれる地域資源を発掘・活用し、都市住民との交流を促進するほか、特定の地域に継続的に多様な形で関わろうとする関係人口の創出・拡大に向け、地域の受け皿づくりの支援にも取り組んでまいります。

次に、「「アート県かがわ」の魅力を高める」についてであります。

令和4年4月から開催される瀬戸内国際芸術祭2022に向け、アート作品の制作やイベントの企画、交通対策や案内所などの受け入れ態勢の整備を進めるとともに、国内外への広報活動を強化するなど、着実に準備を進めてまいりたいと考えております。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により減少した県民の舞台芸術の鑑賞機会を確保するため、魅力的な舞台興行の企画・実施を支援してまいります。

さらに、四国遍路の世界遺産登録に向けては、札所寺院等の文化財調査や普遍的価値の研究など、国の暫定一覧表への追加記載を展望した準備を進めるとともに、四国4県をはじめ産学官民が一体となった世界遺産登録推進協議会とも連携し、一層の機運醸成に取り組みます。

そのほか、香川県立ミュージアムや東山魁夷せとうち美術館において、質の高い展覧会を開催するなど、文化芸術に親しむ機会の充実を図るほか、高度で洗練された独自の技法を有する香川漆芸の魅力発信や漆芸作品の販売支援に重点的に取り組んでまいります。

次に、「スポーツ県をめざす」については、オリンピック等の国際舞台で活躍できる本県出身のアスリートを輩出するため、スポーツの豊かな素質を持つ小学生の発掘・育成や、将来性豊かな中高校生選手の育成・支援に努めるなど、ジュニア期からの一貫した育成・強化に取り組んでまいります。

また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、新型コロナウイルス感染症対策の徹底を図りつつ、4月17日・18日の2日間、県内8市9町で行われる聖火リレー及び8月12日から16日の間に希望する市町で行われる聖火フェスティバルを安全かつ着実に実施するとともに、ハンガリー代表カヌースプリントチームやクロアチア代表陸上競技チームの事前合宿を受け入れ、相手国との相互交流につなげていきます。

このほか、各市町とも連携、協力した地域密着型のスポーツチームへの活動支援等を通じて、県民のチームに対する愛着を育み、応援する機運の醸成に一層努めてまいります。

新県立体育館の整備については、現在、実施設計を行っているところでありますが、令和6年度の開設に向けて建設を進めてまいりたいと考えております。

このため、サンポート高松の建設用地のうち、臨海工業地帯造成事業特別会計が所管する区画を一般会計に所管換えするための経費など、関係予算を令和3年度当初予算案として計上しております。

なお、建設工事費については、年明け以降、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が継続されている中ではありますが、できるだけ速やかに実施設計を取りまとめ、その内容を県議会に御報告した後、工事着手に向けて令和3年度補正予算案として御提案したいと考えており、私といたしましては、引き続き、県議会をはじめ、各方面の御意見を承りながら、機能性や利便性の確保、また、工事費の遵守等について、十分意を用いつつ、県民の皆様の待ち望む新県立体育館が、利用しやすく魅力ある施設となるよう、全力で取り組んでまいります。

4 令和3年度当初予算額

以上、御説明しました内容により編成した令和3年度当初予算案は、一般会計の総額で、4,761億300万円となり、特別会計は、国民健康保険事業など16の特別会計で、総額2,968億8,500万円余、病院事業会計は、収益的支出が279億4,700万円余、資本的支出が38億4,300万円余、流域下水道事業会計は、収益的支出が21億1,900万円余、資本的支出が9億7,400万円余となっています。

5 令和2年度一般会計補正予算

次に、第5号議案の令和2年度一般会計補正予算議案について、その内容を御説明いたします。

この補正予算につきましては、国の第3次補正予算を受け、新型コロナウイルス感染症対策や防災・減災対策等を実施するとともに、今年度発生した高病原性鳥インフルエンザを踏まえた特別対策を講ずるため、御提案したものであります。

まず、新型コロナウイルス感染症対策については、主なものとして、県が設置するワクチンコールセンターに係る今年度分の運用経費のほか、柔道整復・あんま・はり・灸施術所、幼稚園、児童福祉施設等や東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿・ホストタウン交流の感染拡大防止対策に要する経費、危機関連融資の融資申込期間を本年3月末までに延長したこと等に伴い必要となる保証料補給金、外国人労働人材に係る入国時待機費用の今年度の支援分、生活福祉資金等貸付原資の県社会福祉協議会への追加補助、ひとり親世帯臨時特別給付金の再支給に要する経費、公共交通機関の利用回復支援、幼稚園におけるICT環境整備への支援、県立高校・特別支援学校高等部・私立高校における低所得世帯の生徒への貸出用端末の整備などに要する経費を計上しようとするものであります。

なお、新型コロナウイルス感染症対策につきましては、感染状況や地域経済の動向を十分に見極めながら、感染拡大防止対策と医療提供体制の整備はもとより、雇用の維持・事業の継続や地域経済の回復・活性化のために必要な対策を臨機応変に検討し、時機を逸することなく講じてまいりたいと考えております。

次に、公共事業については、国の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を踏まえ、河川、海岸の護岸の耐震化や河道掘削のほか、道路、ため池などにおいて、防災・減災対策等を推進いたします。

また、国の補助事業を活用して、マイナンバーカードの普及促進に向けた県民向け広報を実施するほか、瀬戸内海国立公園の施設整備、不妊治療助成事業の拡充等への対応、介護福祉士等修学資金の貸付原資の県社会福祉協議会への補助、職業系専門高校におけるデジタル化対応産業教育装置の整備などに要する経費を計上しているところであります。

鳥インフルエンザ特別対策については、この度の防疫対応に要した経費のほか、鶏舎の防鳥ネット設置や野生動物侵入箇所の補修等に要する経費の補助、備蓄資材の増強など、鳥インフルエンザの発生防止とまん延防止に必要な防疫体制強化に要する経費、移動制限等の措置に伴う農家等の売上減少や増加費用に対する補助、経済的に影響を受けた養鶏業者や取引業者の経営継続を支援する県独自の給付金の支給、国の雇用調整助成金への県独自の上乗せ助成などの経費を計上しようとするものであり、これら補正予算の総額は、130億6,900万円余となっております。

また、第6号議案は、高松港国際物流ターミナルのコンテナヤード拡張のために行う、民間所有地と県有地の交換に伴う経費を計上するため、臨海工業地帯造成事業特別会計予算を補正しようとするもの、第7号議案は、流域下水道施設の防災・減災対策を実施するため、流域下水道事業会計予算を補正しようとするものであります。

6 予算外議案

そのほか、予算外議案として御提案申し上げております議案は、児童・生徒数の変化等を踏まえ、県立学校職員及び市町立学校県費負担教職員の定数を改める「香川県立学校職員及び香川県市町立学校県費負担教職員定数条例の一部を改正する条例議案」など一部改正の条例が12議案のほか、高松港国際物流ターミナルのコンテナヤード拡張に必要な財産の交換、新型コロナウイルス感染症に係る緊急対応として介護施設等の職員に対する一斉PCR検査実施のために1月28日付けで行った令和2年度一般会計予算補正の専決処分の承認などが11議案、合わせて23議案であります。

以上、令和3年度当初予算関係議案等の概要等について御説明いたしましたが、議員の皆様方におかれましては、御審議の上、よろしく御議決賜りますようお願い申し上げますとともに、本年、令和3年が「一陽来復」の良き年になることを心より祈念いたしまして、私の説明を終わります。

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