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公開日:2022年2月16日

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令和4年2月県議会定例会提出議案 知事説明要旨について

令和4年2月県議会定例会提出議案 知事説明要旨について

令和4年2月県議会定例会の開会に当たり、県政運営の所信及び令和4年度当初予算の概要と主要施策等について御説明し、議員各位、県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。

1 県政運営の所信

さて、新型コロナウイルス感染症が初めて確認されてから、2年余が経過いたしました。

この間、全世界は人智を尽くして、この感染症と戦ってきたところでありますが、変異を繰り返す新型コロナウイルスにより、今や、全世界の累計感染者数は4億人を超える事態となっており、現在も我が国をはじめ多くの国々で感染は続いています。

この新型コロナウイルスにより本県においては、一昨日までに13,422名の感染者を確認し、そのうち56名の方がお亡くなりになられました。お亡くなりになられた方々には心からお悔やみ申し上げますとともに、療養中の皆様におかれましては一刻も早く快復されることを願っております。

年明け以降、オミクロン株による感染が急拡大し、1日の新規感染者数、1週間の累積新規感染者数ともに最多を更新する中、先月19日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」に関する公示を受け、1月21日から2月13日までの24日間、当初、高松市など8市6町を措置区域としておりましたが、その後残る3町も追加して県全域を措置区域とし、県民の皆様には、基本的な感染対策の徹底や感染リスクの高い場所等への外出・移動の自粛を、事業者の皆様には、出勤者数削減を含め、人との接触を低減する取組みの推進や、クラスター発生等の事態に備え、事業継続計画の再確認等を行うよう協力要請いたしました。加えて、国の「新型コロナウイルス感染症の基本的対処方針」を踏まえ、飲食店に対して、営業時間の短縮等の要請を行い、一日も早い感染拡大局面からの脱却に向けた取組みに努めてまいりました。しかしながら、感染拡大の勢いは鈍化しているものの、依然として感染者数は高い水準にあり、まん延防止等重点措置を解除して対策を緩める状況にないことから、先週8日に期間延長を国に要請し、10日の国の対策本部において、3月6日までの延長となったところです。引き続き、感染防止対策に取り組んでまいりますので、県民の皆様、事業者の皆様には御理解と御協力を頂きたいと存じます。

また、感染防止等の有効な対策としてのワクチン接種については、国に対して供給量確保に係る強い働きかけを行い、市町のご尽力により、県としての接種体制を構築し、現在、3回目の接種を進めているところであり、希望される方々ができるだけ早くワクチン接種を受けられるよう取り組み、感染拡大の防止と、医療提供体制の確保を図りつつ、社会経済活動を維持・発展させていくことが重要であります。

新型コロナウイルス感染症により、これまで国内外の移動は抑えられ、観光業や飲食業をはじめとする地域産業が大きな痛手を受けるとともに、グローバル規模でのサプライチェーンの分断により、社会経済環境に深刻な影響が及び、デジタル技術の利活用の遅れや、首都圏への過度な人口集中のリスクも顕在化しています。

一方で、人々の価値観や行動には変容が見られ、距離的な制約を克服する、新しい働き方や暮らし方への志向が高まっています。今、こうした潮流をとらえ、未来を信じ、挑戦しようとする方々を鼓舞し、次の世代に希望をもたらすことができるよう、山積する諸課題に向き合い、取組みを進めていくことが求められています。

本県においては、新型コロナウイルス感染症への対応を図る中、一昨年来から昨年初めにかけて、高病原性鳥インフルエンザへの対応も経験いたしました。南海トラフ地震の発生確率も高まる中、危機管理事案への対応としての想像力とコミュニケーションの重要性も学んだところであり、県民の皆様の命と財産を守るため、こうした点を踏まえ、県内各市町や民間事業者、県民の皆様との、より一層の連携・協働により、県政各般の諸施策を推進してまいらなければならないと考えております。

2 令和4年度当初予算の概要等

それでは、上程されました当初予算案について御説明いたします。

昨年11月にお示しした「新たな財政運営指針」において試算した今後の収支見通しでは、一般財源総額の伸び悩みや財源対策用基金の減少、将来的な財源不足への対応が不可欠となったところですが、令和4年度当初予算は、喫緊の課題である「新型コロナウイルス感染症への対応」や社会変革・成長の機会としての「デジタル化の推進」、「グリーン社会の実現」、安全安心をもたらす「災害に強い香川づくり」に最も力点を置き、「『みんなでつくるせとうち田園都市・香川』実現計画」の基本目標である「せとうち田園都市の確かな創造」の実現に向け、「安全と安心を築く香川」、「新しい流れをつくる香川」、「誰もが輝く香川」を基本方針といたしました。編成に当たっては、事業の見直しやスクラップ・アンド・ビルドの徹底などに全庁をあげて取り組むことで財源確保に努め、その限られた財源を重点的に配分することで、効果的・効率的な予算となるよう意を用いながら、社会保障関係経費の増加にも対応したところであります。

その結果、令和4年度一般会計の当初予算の規模は、総額4,952億円余、対前年度約192億円の増となりました。

歳入面においては、県税、地方譲与税、地方消費税清算金が増加する一方、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた額は大きく減少し、結果として税収関連の市町への交付金の影響を除く一般財源総額は、7億円余の増加に留まるものと見込んでおります。

また、令和元年度、令和2年度決算において減少した県債残高の令和3年度末見込みは、令和3年度の臨時財政対策債の発行限度額の増により、増加に転じる見込みでありますが、令和4年度末の見込みとしては、臨時財政対策債を除く県債残高、県債全体の残高、双方とも減少する見込みとなっております。今後も、次世代への責任の視点に立って、将来に過度の財政負担を残さない持続可能な財政運営に努めてまいります。

なお、令和4年度当初予算と同時に編成を進めました令和3年度補正予算は、国の補正予算に伴う対応としての新型コロナウイルス感染症対策や防災・減災対策などに一般会計で147億円余、流域下水道事業会計で1億円余を、それぞれ計上することとしており、その内容につきましては、後ほど、御説明いたします。

3 令和4年度の主要施策

それでは、以下、令和4年度の主要な施策について、申し上げます。

(1)「安全と安心を築く香川」

第1は、「安全と安心を築く香川」についてであります。

まず、「災害に強い香川をつくる」については、県民の皆様の命と財産を守ることが県にとっての最大の責務であるとの考えのもと、ハード・ソフト両面から、あらゆる防災・減災対策を実施することとし、民間建築物や住宅の耐震化、老朽危険空き家の除却への支援などはもとより、道路や河川などの重要インフラが災害時にその機能を発揮できるよう、国が令和2年12月に取りまとめた「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に沿って、重点的かつ集中的に防災・減災対策に取り組んでまいります。

また、海岸堤防や河川堤防については、「地震・津波対策海岸堤防等整備計画」に基づき、ため池については、「老朽ため池整備促進第11次5か年計画」に基づき、それぞれ、特に優先度の高い箇所から重点的・集中的に対策工事を進めるほか、ため池の適正な保全管理やハザードマップの作成などの各市町の取組みを支援いたします。

一方、気候変動の影響や社会状況の変化などに伴い、施設能力を超過する洪水が発生することを想定し、流域全体のあらゆる関係者が連携して重点的に実施する対策等をまとめた「流域治水プロジェクト」に基づき、河川改修や砂防施設、ダムなどの整備や小規模河川の洪水浸水想定区域図の作成などについて、ハード・ソフト両面から総合的かつ一体的に取り組みを進めます。

また、危機管理体制の強化を図る観点から、県の衛星系防災行政無線について次世代通信ネットワークシステムを導入し、耐災害性や映像伝送能力などの機能強化を図るとともに、「逃げ遅れゼロ」を実現するため、地区防災計画の策定促進など自主防災組織の活性化や、家具類転倒防止対策等の家庭における防災対策を促進し、県民の皆様のより一層の防災意識の向上を図ります。

加えて、引き続き、「災害に強い香川づくり集中対策推進事業」により避難所の運営体制強化など防災・減災対策に集中的に取り組む各市町を支援するほか、行政や医療、ボランティアなどの各種分野での災害対応訓練等の充実・強化を進めます。

次に、「「子育て県かがわ」の実現をめざす」については、「かがわ縁結び支援センター」における支援の充実のため、縁結びおせっかいさんによる個別相談や、会員同士の交流会などを行うスペースを設けるとともに、本年4月からの不妊治療の保険適用の円滑な実施に向けて準備を進めるほか、「不妊・不育症相談センター」における相談の充実を図ることにより、結婚・妊娠期からの支援を一層強化してまいります。

また、待機児童の解消に向けては、保育士等が長く働くことができる環境づくりによる就業継続、定着支援を図り、個々の保育士が経験を積むことによる保育の質の向上を図ります。

困難な環境にある子どもや家庭への支援については、地域子育て支援拠点において、発達障害児など気になる子ども等に対応できるよう、職員の資質、技能等の向上を図るための研修を実施するほか、医療的ケアを必要とする児童を保育所等で受入れるために看護師を配置する市町に必要な経費を補助するなど、支援の充実を図るとともに、新たに、県内におけるヤングケアラーについて、早期発見と今後の適切な支援策の検討に繋げるため、学校における児童生徒の状況や、子どもと保護者の相談・支援に関わる機関等に対して支援の状況等の実態調査に取り組みます。

児童虐待対策については、市町保健師を対象とした虐待事案への対応力向上のための人材育成、児童福祉司等の相談支援技術の向上や医師等の専門家との連携を通じた保護者指導・支援の強化を図り、未然防止、早期発見、再発防止に万全を期するとともに、児童相談所一時保護所に係る第三者評価を新たに実施し、その結果や分析を踏まえた必要な対応の検討を進め、一時保護所運営の質の向上にも努めてまいります。

子どもの心身の発達などに悪影響を及ぼす可能性のあるネット・ゲーム依存の問題については、依存状態に陥ることを未然に防ぐための正しい知識の普及啓発や相談支援、医療提供体制の充実など、総合的な対策を関係機関と連携し、推進いたします。

このほか、「さぬきこどもの国」の魅力向上に努めるとともに、子どもの貧困対策や放課後児童クラブ等の運営支援、多子世帯の子育て支援などにも継続して取り組みます。

次に、「健康長寿の香川をつくる」については、市町が行う小児生活習慣病予防健診に対する助成をはじめ、糖尿病や循環器病といった生活習慣病の発症予防、早期発見・早期治療を進めるほか、高齢期の口腔乾燥の対策を行うなど、ライフステージに応じた健康づくりを総合的に推進いたします。

また、女性のがんに関する正しい知識の普及や検診車派遣による受診しやすい環境づくりなどのがん予防、早期発見の取組みに加え、新たに若年がん患者を対象として医療用補整具の購入費用を助成することにより、治療と就労、社会参加等との両立を支援するなど、総合的・計画的ながん対策を進めます。

次に、「安心できる医療・介護体制をつくる」についてであります。

まず、新型コロナウイルス感染症対策については、大規模な感染発生時であっても検査や疫学調査を迅速、正確に実施できるよう、検査体制を充実させるとともに、患者搬送体制や入院病床、軽症者等受入施設を引き続き十分に確保し、その上で、感染が拡大した場合に備えて、一時的に患者を受け入れる臨時の医療施設を確保するとともに、健康観察等に係る地域の医療機関に依頼する体制についても維持してまいります。

また、今年度から感染症発生時に即応できる感染症分野の専門人材の育成に取り組んでいるところですが、感染管理分野の認定看護師を養成する県内機関への支援により、今後、感染症に関する専門的な知識や技術を持つ看護師も育成してまいりたいと考えております。
加えて、ワクチン接種については、3回目の接種を促進するとともに、感染拡大時に不安を抱える方に対しては、引き続き無料の検査を実施することとしており、そのための相談窓口も設置しております。

また、医療ニーズが変化し、医療資源が限られる中で、地域医療介護総合確保基金の活用等により、病床機能の分化・連携や在宅医療の推進に積極的に取り組むとともに、「第七次香川県保健医療計画」に基づき、地域において切れ目のない医療の提供を実現することにより、良質かつ適切な医療を持続可能な形で効率的に提供する体制の確保に努めてまいります。

さらに、救急医療や災害時医療の充実・強化を図るため、ドクターヘリについて、基地病院等の医療機関や消防機関等と連携しながら、令和4年度中の運航開始に向けた準備を進めます。

県立病院においては、病院事業管理者のもと、「第4次県立病院中期経営目標」に基づき、より一層の経営改革に取り組み、県民の皆様から求められる医療を安定的、継続的に提供してまいります。

医療人材の確保につきましては、若手医師の育成・確保を図るため、引き続き、医学生を対象とした修学資金の貸付けや県内の臨床研修病院と連携した合同説明会の開催、若手医師の県内での勤務・研修を促進するための研修奨励金の交付など、医師のキャリアステージに応じた医師確保対策に取り組むとともに、引き続き、看護職を目指す学生への修学を支援するなど、看護職員の育成・確保を図ります。

安心できる介護体制の構築に向けては、介護人材の確保対策として、定年退職予定者や中高年齢層等の介護未経験者に対し、入門的な研修の開催や介護助手としての育成を進めるとともに、外国人材の受入環境の整備を図るなど、多様な人材の参入促進に向け、継続して取り組んでまいります。

また、介護人材の定着促進に向けて、事業所に対するセミナーの開催や社会保険労務士等の専門相談員の派遣により、介護報酬における処遇改善加算の取得等を促すとともに、本年2月からは、国の経済対策に基づき、介護職員を対象に賃上げ効果が継続される取組みを行うことを前提として、収入を3%程度引き上げるための措置を実施いたします。

さらに、介護現場の負担軽減や効率性の向上のため、介護ロボットやICTを導入する介護事業所を支援いたします。

次に、「高齢者や障害者が地域で安心して暮らせる社会をつくる」についてであります。

高齢者が地域で安心して暮らせる体制の整備の一環として、地域で買物、通院等の日常生活上の移動が困難な高齢者を対象とした移動支援の仕組みづくり等に取り組む市町を引き続き支援してまいります。

障害者の地域生活支援と就労・社会参加の促進については、令和3年3月に策定した「第6期かがわ障害者プラン」に基づき、障害者の文化・芸術活動の成果を発表する場として「香川県障害者芸術祭2022」を開催するとともに、障害や障害者に対する県民の皆様の理解促進を進め、地域における相談支援体制や障害福祉サービスの充実、障害者の雇用・就労や社会参加の促進などを通じて、共生社会の実現に向けた取組みを進めます。

また、新型コロナウイルス感染症対策として、引き続き高齢者施設や障害者施設等において感染が発生し、業務継続が困難となった場合に、施設間で連携、支援する体制を確保するとともに、サービス継続に必要な経費を支援してまいります。

さらに、人権が尊重される社会の実現を目指し、「香川県人権教育・啓発に関する基本計画」に沿って、人権教育の充実や効果的な啓発活動の積極的な展開を図るとともに、人権に関する相談窓口を活用した人権擁護活動の推進に努めます。

次に、「安心につながる社会資本を整える」については、引き続き道路、河川、港湾等社会資本の計画的な整備を図るとともに、公共土木施設の長寿命化計画に基づき計画的な補修工事などを行い、老朽化対策を推進してまいります。

県内各地域や交通・物流拠点等をつなぐ道路ネットワークの強化のため、さぬき浜街道のうち県道高松坂出線五色台工区や空港連絡道路である県道円座香南線香南工区の整備を進めるとともに、国が管理する国道11号などの直轄国道の整備促進や県道太田上町志度線、国道438号など香川の発展に必要な幹線道路についても引き続き整備の進捗を図ります。

また、輸送力、定時性等に優れた鉄道を中心に、駅などの交通結節点において、バスやタクシー、自家用車等との乗り継ぎ機能を高め、県全体で利便性と結節性に優れた地域公共交通ネットワークの構築に努めてまいります。

安定した水資源の確保と供給については、引き続き、ダムやため池の整備を推進するとともに、地震などの災害に強い水道の構築に向けて、香川県広域水道企業団による水道施設の更新・耐震化を促進するほか、香川用水の一層の安定供給に向け、独立行政法人水資源機構と連携しながら、施設の耐震化、高瀬支線の老朽化対策等に取り組みます。

次に、「交通事故・犯罪のない安全安心の香川をつくる」についてであります。

本県における昨年の交通事故情勢は、前年と比較して、発生件数、負傷者数、死者数のいずれにおいても減少し、特に、交通事故死者数は72年ぶりに30人台となる37人となり、一昨年の59人から大幅に減少して、統計を取り始めた初期の昭和24年の31人に次いで2番目に少ない人数に留まり、減少率は全国ベスト2位となりました。

しかしながら、人口10万人当たりでは全国ワースト3位と依然として厳しい状況にあることから、県民の皆様一人一人の交通安全意識を更に高めていく必要があると考えており、今年1年間、「交通死亡事故ゼロを目指す!2022」をキャッチフレーズとして、毎月の交通死亡事故ゼロを目指すことを目標に様々な対策を講じてまいります。

具体的には、事故の特徴や傾向を踏まえた広報啓発や交通安全教育、交通安全施設等の整備、交通指導取締りなどのこれまでの対策に加え、本年4月1日から自転車損害保険への加入が義務化されることを踏まえ、自転車事故の多い市街地において、学校と連携し自転車安全利用の標語を掲示するなど、自転車が関係する交通事故の抑止に努めます。

また、交通事故死者数の約6割を占める高齢者に対しては、交通事故当事者となった高齢者の方などを対象として、新たに、交通手段に応じたきめ細かな交通安全教育を行う訪問指導を実施するとともに、交通事故防止教室の開催やボランティア団体と連携したきめ細かな交通安全指導のほか、高齢者が日常運転している自宅周辺の道路で、自動車教習所の指導員による無料の運転講習を実施するなど、高齢者が交通事故の被害者にも加害者にもならないよう取り組んでまいります。

このほか、歩道整備等の通学路の交通安全対策や用水路等への転落事故防止対策など、安全で快適な交通環境の整備を一層推進いたします。

地域の犯罪抑止力の強化については、悪質・巧妙化する特殊詐欺の被害防止対策に取り組むほか、防犯ボランティア活動への支援に引き続き取り組むなど、犯罪の起きにくい社会づくりを推進してまいります。

加えて、DVやストーカー、児童虐待、さらには大規模災害などに的確に対応するために、地域交番の初動体制、夜間体制及び機動力等の機能強化と、地域住民との連携体制が必要であることから、交番・駐在所等の再編や移動交番車の効果的運用、地域安全ネットワークの構築などの取組を進めます。

また、犯罪被害者や御家族等に対しましては、「香川県犯罪被害者等支援条例」に基づき、関係機関や民間支援団体等と連携した総合的かつ計画的な取組みを引き続き推進いたします。DV被害者の方には、民間シェルター等の関係機関との連携を強化して支援を行うほか、性暴力被害者の方には、性暴力被害者支援センター「オリーブかがわ」において、専門的な研修を受けた相談員により、被害者の方が必要とする相談・支援を行ってまいります。

(2)「新しい流れをつくる香川」

第2は、「新しい流れをつくる香川」についてであります。

「定住人口を拡大する」については、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした地方回帰などの意識の変化を捉え、多くの方に本県への移住についての関心を高めていただけるよう、移住促進ポスターの刷新や移住マッチングサービスの活用など情報発信の強化を図るとともに、引き続き、空き家改修の補助など、移住者の住宅環境の整備を支援するほか、SNSを活用したオンラインコミュニティの開設による定住サポートの強化や、テレワークが浸透する中で「転職なき移住」がより一層促進されるよう「お試しテレワーク」に対する助成を行うなど、各市町や関係機関等と連携しながら、積極的に移住・定住の促進を図ってまいります。

あわせて、テレワークの普及・浸透状況を踏まえ、テレワークに使用するサテライトオフィスを県内に開設する県外事業者に整備費用等を補助するほか、各市町が実施するテレワーク等による地方移転や移住を促進する事業の支援に取り組みます。

このほか、若者の大都市圏への流出に歯止めをかけ、県内定着を図るため、若者の就業率が高く、将来の成長が見込まれる情報通信関連産業の育成・誘致に重点的に取り組んでまいります。

具体的には、拠点である「Setouchi-i-Base」において、アプリ開発や事業創造の促進に関する講座などに加え、社会のデジタル化が加速する潮流を踏まえ、ニーズが高まっているWeb制作などの実践的な講座を新たに実施することにより、社会全体のデジタル化を支える人材育成を推進します。また、拠点を利用する多様な人材の交流を促進し、生み出されたアイデアを起業や第二創業、既存企業の競争力強化につなげられるよう、ビジネスマッチング支援の強化を図ってまいります。

次に、「戦略的な産業振興を図る」については、本県の産業振興の指針となる「香川県産業成長戦略」の計画期間終了に伴う次期計画の策定を進めるとともに、現行計画に基づき、時宜にかなう各種施策を展開することとし、まず、AI、IoT等を活用して、様々な社会課題を解決できる持続可能な経済社会システム「Society5.0(超スマート社会)」の考え方のもと、産業技術総合研究所と連携した県内企業の研究開発の支援、産業技術センターにおけるロボット要素技術の研究開発、デジタル技術の導入を検討している中小企業へのコンサルティング支援など、産業分野における先端技術の導入やデジタル化を積極的に支援し、生産性の向上やイノベーションの創出につなげてまいります。

また、県内企業による新たな事業展開を促進するため、感染症対策や災害現場等で活用される製品の開発、海洋プラスチックごみ問題に対応した環境負荷低減材料である生分解性材料の試作開発などを支援するとともに、脱炭素社会の実現に向けた対応として、大学や公設試験研究機関の研究者等と企業との連携強化、セミナーの開催などにより、エネルギー関連産業の育成を進めることに加え、地域社会が抱える課題の解決につながる事業を行う際の新規創業・第二創業の創出にも努めます。

中小企業の経営支援については、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた県内経済の回復・活性化を図るため、県内中小企業・小規模事業者の事業継続と雇用維持を
引き続き支援するとともに、商工会・商工会議所の機能強化や中小企業振興資金融資制度の活用などにより、経営の支援を実施するほか、経営者の高齢化や後継者不在などで事業の存続に悩みを抱える県内中小企業の円滑な事業承継への支援、大規模災害発生時や感染症の大規模流行時等の事業継続計画の策定等に対する支援を実施してまいります。

さらには、オンラインの手法も活用しながら県内企業と国内外企業の商談支援などにも取り組み、販路の開拓・拡大につなげます。

「かがわ希少糖ホワイトバレー」プロジェクトでは、希少糖拠点機能の強化や商品開発支援、情報発信に取り組み、香川の希少糖ブランドの確立を進め、オリーブ産業強化プロジェクトでは、オリーブとしては日本で初めて品種登録された県オリジナル品種「香オリ3号」、「香オリ5号」の栽培実証や、「オリーブ炭そ病」の対策に向けた遺伝子レベルでの研究、発酵食品研究所のオリーブオイルの化学分析に係るIOC(インターナショナル・オリーブ・カウンシル)の認定取得に取り組むほか、オリーブ畜水産物については、オリーブ地鶏の種卵供給体制の構築や、オリーブサーモンの開発に取り組むなど、オリーブ産業基盤の強化やブランド力の向上を図ります。

企業誘致については、各市町や金融機関、不動産事業者等と連携し、ワンストップサービスの一層の充実を図ることにより、若者にとって魅力のある働く場の確保と地域経済の活性化につながる企業の立地を促進してまいります。

次に、「雇用対策を推進する」については、県内企業の人材確保に向け、「ワークサポートかがわ」において、きめ細かなマッチング支援や合同就職面接会の開催などに取り組むほか、新たに、就職支援システムを構築して、利用者の利便性の向上を図るとともに、インターンシッププログラム作成や企業見学会の動画作成の支援などにより、県内企業の情報や魅力を効果的に発信してまいります。

また、高校生に対するキャリア教育を推進し、地元就職の促進や雇用のミスマッチ解消を図るほか、女性や高齢者、障害者の方の雇用促進や、非正規雇用労働者の方などの正社員就職に向けた支援にも取り組みます。

本県経済の持続的成長に不可欠な存在となっている外国人材については、企業からの雇用等に関する相談に応じる「外国人労働人材関係相談窓口」と、外国人住民からの生活等に関する相談に応じる「かがわ外国人相談支援センター」の2つの窓口が連携して対応するとともに、外国人材の入国時の待機に係る宿泊費用や日本語能力向上のための研修費用等を負担する企業に対する補助のほか、外国人材の適正な受入れの支援や留学生の県内就職の促進などに取り組んでまいります。

あわせて、昨年11月に策定した、本県の多文化共生社会の推進の基本となる「新かがわ多文化共生推進プラン」に沿って、外国人と日本人が共に安全・安心の下で豊かに生活できる環境の整備に努めます。

建設労働者の高齢化や若年労働者の不足が解消されていない現状を踏まえ、将来の担い手に向けた建設業の魅力を発信するほか、事業者の人材確保・育成の取組みやICT活用工事の実施を支援するなど、建設業の担い手の確保と育成を図ります。

また、企業における働き方改革を推進するため、企業へのアドバイザー派遣や、働きやすい職場環境づくりに取り組む中小企業に対し、取組経費の一部を助成するほか、育児・介護休業法の改正を踏まえ、新たに、男性の育児休業等取得に向けた普及啓発にも取り組んでまいります。

次に、「交流人口を回復・拡大する」については、社会情勢の変化に伴い、人々の旅行ニーズが多様化する中、新たな観光スタイルやニーズに対応した体験型商品の造成や販売強化に努めるほか、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ旅行需要の回復を図るため、本県への旅行に対して助成を行うなど、継続的な旅行需要の喚起を図ってまいります。

また、本県の認知度やブランド力を向上させるため、新たに、若者をターゲットとしてインフルエンサーを活用した観光情報の発信や、SNSを活用した広告配信などのデジタルマーケティング戦略の実施など、戦略的な情報発信を展開するとともに、滞在型観光を推進するため、市町等が行う「新しい生活様式」においても楽しんでいただける魅力的なコンテンツの造成に対する支援や、「香川せとうちアート観光圏」事業に加え、令和5年度に開催予定の「弘法大師空海御誕生1250年祭」を契機とした誘客活動にも取り組みます。
海外からの誘客活動については、引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえつつ、高松空港の定期路線就航先である韓国、中国、台湾、香港を中心に、戦略的な情報発信・誘客活動を実施するとともに、感染症の収束後は、いわゆるゴールデンルートから本県への誘客の流れを作るための情報発信や、富裕層の多い欧米豪市場からのインバウンド回復に向けた誘客対策にも取り組みます。

また、観光施設等における多言語表記やインターネット環境の拡充、地域通訳案内士の積極的な活用、災害等の非常時においても外国人観光客が安心して本県を旅行できるための情報提供など、受入体制の充実・強化に取り組んでまいります。

さらに、2023年に日本で開催予定のサミット関係閣僚会合を誘致することは、本県の国際的な評価をより一層高めるとともに、その魅力を国内外に発信できる絶好の機会でありますことから、官民一体となって誘致活動を展開いたします。

次に、「農林水産業の持続的発展を図る」についてであります。

まず、農業の担い手の確保・育成については、新規就農専用サイトにおけるPRや先進農家との交流、体験などの機会充実により、新規学卒者やUJIターンなど多様なルートから新規就農者を確保し、就農から定着までの一貫したサポート体制の強化やきめ細かな就農相談の実施、就農希望者と農業法人等とのマッチング促進、担い手個々の経営課題に応じた個別相談などに取り組むほか、新たに、作業受託や機械の共同利用を行う農業支援グループの育成に取り組み、幅広い担い手の確保・育成を進めてまいります。

農産物の安定供給に向けては、「おいでまい」や「さぬきの夢」等県オリジナル品種の品質向上に取り組み、高品質な農産物の生産拡大を推進するとともに、持続可能で環境への負荷に配慮した環境にやさしい農業を推進するため、総合的な推進体制を構築し、グリーン化に対応した栽培技術の実証・普及や土づくりなどに取り組みます。

需要拡大に向けては、「さぬき讃フルーツ」・「さぬき讃ベジタブル」・「さぬき讃フラワー」を一体的に「さぬき讃シリーズ」として打ち出し、ブランド力の強化を図っていくほか、「全国高校生花いけバトル」を引き続き開催し、若い世代を中心とした県産花きの需要拡大に繋げていくとともに、本県特産の盆栽については高松市と連携し、輸出の促進や後継者の育成支援、盆栽に関する情報発信への支援など、産地の活性化に取り組んでまいります。また、新たに、輸出先国のニーズや規制等に対応した輸出産地の形成を進めるため、生産者や事業者が実施する輸出事業計画の策定、生産・加工体制の構築や事業効果の検証・改善等の取組みを支援いたします。

優良農地の確保のため、ほ場整備等により、良好な営農条件を整備するほか、農地中間管理事業については、集落営農の推進や多面的機能の維持等との連携強化を図りながら担い手への農地集積に向けた取組みを強化し、また、中山間地域等条件不利地域においても、担い手の確保や地域の特性を生かした生産基盤の整備など、総合的な支援に努めます。

さらに、農業者の高齢化、労働力不足等への対応や農産物の収量増大、品質向上を図るため、データ駆動型農業の普及や、省力化につながるスマート農業機械等の導入を積極的に推進するほか、オリーブ畜産物についても、業務の自動化・リモート化・デジタル化を図る取組みを支援してまいります。

高病原性鳥インフルエンザや豚熱等の家畜伝染病対策については、各農場における飼養衛生管理基準の遵守や消毒の徹底指導など、発生防止に努めるとともに、発生時には、迅速かつ的確な防疫対応が行えるよう、防疫体制の強化を図ります。

水産業については、引き続き、就業から定着までを一貫してサポートすることによる担い手の確保・育成などに取り組むほか、本県海面養殖に適した自県産サーモン種苗の開発による養殖業の強化や、近年、資源が減少しているイイダコやタイラギについて、種苗生産技術の安定化や効果的な放流手法の開発を進め、資源の回復に向けた取組みを進めてまいります。

林業については、治山や造林、林道の各事業の着実な実施に加え、搬出間伐についても、新たに60年生を超えるスギ・ヒノキの人工林まで補助対象を拡大して促進するほか、森林整備の担い手の確保や、県産木材の安定供給と利用拡大に取り組むなど、森林整備と森林資源の循環利用を推進し、林業・木材産業の成長を図ります。

次に、「県産品のブランド力の強化・販路拡大を図る」については、観光客や県内の消費者に向け、料理団体と連携したメニュー開発やレストランフェアの開催など、香川の「食」の魅力発信を行う「「かがわの食」Happyプロジェクト」に取り組むほか、アンテナショップのオンライン販売を充実させるなど利便性の向上を図り、県産品の認知度向上とブランド力の強化に努めてまいります。

また、大消費地の百貨店、レストラン等でのフェアや食材のプロモーションの開催に加え、通信販売事業者や百貨店等が運営するオンラインストアとの連携を強化することにより、国内での販路を拡大するとともに、近隣アジア諸国など海外においては、現地企業による代理営業などを積極的に活用し、感染症の影響がある中にあっても継続的に販路の拡大を図ります。

次に、「デジタル社会を推進する」についてであります。

昨年12月には「かがわデジタル化推進戦略」を策定したところであり、戦略の基本理念である「安心・便利・豊か 人が主役のデジタル社会・かがわの形成」の実現に向け、生活、産業、行政などのあらゆる分野のデジタル化や、それを支えるデジタル環境の整備とデジタル人材の育成に、積極果敢に挑戦してまいります。

戦略の本格的なスタートともいえる令和4年度は、戦略の進め方である「共創」と「創発」のサイクルを回し、デジタル技術とデータの活用によって、新たな視点から地域の課
題解決を目指し、県・市町・民間事業者が共創する場「かがわDX Lab」の稼働を始
め、幅広い分野でのデジタルトランスフォーメーションの検討を進めます。

また、県民、産業、行政のあらゆる分野において様々なデジタル化推進の施策に取り組む中、行政分野のデジタル化については、行政手続の利便性の向上と行政運営の効率化を図るため、セキュリティ対策にも留意しつつ、行政手続のオンライン化やAI・RPA等の活用を推進してまいります。

加えて、デジタル社会の基盤となるマイナンバーカードについても、引き続き各市町と連携して積極的に広報、啓発を行い、その普及促進に取り組むとともに、進化し続けるデジタル技術に的確に対応し、デジタル化を支える人材の育成にも取り組みます。

さらに、産業分野については、生産性の向上のための産業のデジタル化の加速を図るため、AI、IoT等を活用して、様々な社会課題を解決できる持続可能な経済社会システム「Society5.0(超スマート社会)」の考え方のもと、産業技術総合研究所四国センターと連携、協力して実施する研究開発を支援するとともに、産業技術センター内に整備した協働ロボットなど先端技術を活用して効率化、省力化が図られた疑似的なスマート工場環境を拡充して検証を行い、施設見学会や普及講習会を開催するほか、デジタル技術などの導入をめざす企業を対象として、専門家による個別コンサルティングなどに取り組んでまいります。

次に、「四国における拠点性を確立する」についてであります。

高松空港については、高松空港株式会社等と連携・協力しながら、まずは落ち込んだ航空需要の早期回復に努めるとともに、本県の産業や観光の振興など幅広い分野において、民間委託の効果を最大限に引き出し、四国・瀬戸内の拠点空港として発展するよう、引き続き、航空ネットワークの充実等に努めます。

四国の新幹線の実現に向けては、「四国新幹線整備促進期成会」が、リニア中央新幹線が新大阪まで延伸される2037年を一つのターゲットとして開業を目指すとの中長期目標を掲げていることを踏まえ、四国各県や経済界、事業者等と連携し、四国一丸となって国や関係機関への要望や機運醸成に取り組みます。

高松港国際物流ターミナル整備事業については、高松港のターミナル機能の強化や物流の効率化により、本県経済のより一層の活性化や発展を図るため、水深12mの耐震強化岸壁の本格供用に向け、国の直轄事業で実施している航路浚渫を促進してまいります。また、高松港複合一貫輸送ターミナル整備事業については、高松・神戸間航路のフェリー貨物の増加に伴う船舶の大型化への対応や大規模地震時の緊急物資輸送機能を確保するため、令和4年度での大型船就航に合わせ、一部の岸壁を暫定供用させるなど国の直轄事業で実施する耐震強化岸壁の整備の促進に努めます。

新県立体育館の整備については、昨年6月定例会において、建設工事費等の債務負担行為の設定について御議決をいただいた後、施工業者の選定を進めてきたところであり、先般、落札者を決定したところであります。

このため、新県立体育館の建築工事、空調設備工事、電気設備工事、給排水衛生設備工事の工事請負契約の締結について、今定例会において、それぞれ御提案するとともに、建設工事の施工に係る関係予算を令和4年度当初予算案として計上しております。

御議決いただいた後には、引き続き、工事費の遵守等について、十分意を用いつつ、令和6年11月の工事完了、令和6年度中の開設に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

また、新県立体育館の整備にあわせ、屋根付き歩道や連絡デッキの整備によるサンポート高松地区の回遊性の向上や、鉄道駅、港からの安全で快適な歩行空間の確保を図るほか、周辺道路の渋滞対策として交差点改良等の道路環境の整備を行い、歩行者や自動車交通の快適性・利便性向上にも取り組んでまいります。

(3)「誰もが輝く香川」

第3は、「誰もが輝く香川」についてであります。

まず、「豊かな人間性と個性あふれる子どもたちを育てる」についてであります。

小・中学校では、確かな学力を育成するために、少人数学級を拡充し、小・中学校全学年における35人学級を実現するとともに、小学校高学年の専科指導も推進し、児童生徒の多様な実態に応じた指導体制や指導方法を工夫することにより、きめ細かな指導を継続しながら個を生かす協働的な学びの充実を図ります。

また、新学習指導要領に対応して、中学2年生のスピーキングテストの実施などにより英語力の向上を図るとともに、1人1台学習用情報端末を効果的に活用した授業を実施するために、教員の指導力の向上に取り組んでまいります。

県立高校では、「魅力あふれる県立高校推進ビジョン」に掲げている「郷土への理解や郷土愛」、「イノベーション創出力」、「グローバル社会への対応」に関して、指定した学校において教育プログラムの研究開発に取り組み、その研究成果を普及させ、県立高校の魅力向上を図るとともに、「ビジョン」に示した、必要な教育環境の整備等に向けた検討や準備を進めます。

また、県立高校の特色化・魅力化に向け、全国からの生徒募集・せとうち留学を推進するため、内閣府などが主催する「地域みらい留学」に参画し、得られた知見を各校に普及する取組みを行うことで、生徒確保と地域連携を一層推進いたします。

特別支援教育については、障害により特別な支援が必要な幼児、児童生徒への指導や支援の充実を図るため、各学校や地域における教育体制の整備などを推進するとともに、特別支援学校の在籍者数増加に伴う教室不足などに対応してまいります。また、小豆地域における特別支援学校の令和5年4月開校に向け、施設整備および教育内容についての検討を計画的に進めます。

いじめ・不登校や高校中退等の課題に対しては、すべての小・中学校への学校規模に応じたスクールカウンセラーの派遣や、スクールソーシャルワーカーの効果的な活用などを引き続き実施するほか、不登校対策コーディネーターやスクールロイヤーも活用し、その解消などに取り組みます。

このほか、スクールサポートスタッフや部活動指導員を配置する各市町教育委員会に対して支援を行い、教員が児童生徒の指導に一層専念できる体制の構築に取り組むとともに、本県の教育を支える意欲と熱意を持った優秀な教員を確保するため、県内外の大学において採用試験説明会を実施するなど、広く情報発信を図るほか、夏季に実施する教員採用試験で新たに関西会場を設け、面接等を当該会場で実施することにより、志願者数アップを図ります。

次に、「女性が輝く香川にする」については、女性が働きやすい環境整備などを通して、あらゆる分野における女性の活躍を推進するため、引き続き、女性リーダーの養成講座や女子中高生を対象とした理工系女性研究者等との交流会等を開催するほか、社会状況の変化を考慮したテーマに沿う男女双方の意識啓発に取り組みます。

また、新たに、職場における女性のキャリア形成支援を行う者、いわゆるメンターを育成するための研修を実施するなど、女性が働きやすい職場環境づくりを支援してまいります。

次に、「大学と地域との連携を深める」については、地域の課題が複雑化する中、「大学コンソーシアム香川」に産業界や市町を加えた、新たなプラットフォームにおいて、産学官が連携して企画・実践する地域の課題解決につながる取組みが促進されるよう支援するなど、地域を支える魅力ある大学づくりを進めます。

次に、「人と自然が共生する香川をつくる」についてであります。

地球温暖化対策については、県民、事業者、行政など全ての主体が一丸となって、あらゆる分野で取組みを進めていく必要があることから、昨年2月に「気候が危機的な状況にあることを認識し、2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにする」ことを目標に掲げる表明を行うとともに、昨年12月には、私を本部長とする「香川県脱炭素・地球温暖化対策本部」を立ち上げ、脱炭素に向け全庁的に取り組む体制を構築したところであり、今後、新たに県と関係団体や市町等で構成する協議会を設置し、各市町や企業、団体等とより一層の連携を図りながら、脱炭素社会の実現に向けた取組みを推進してまいります。

また、これまで以上の「徹底した省エネルギーの推進」や「再生可能エネルギーの導入促進」などに取り組むため、住宅用太陽光発電設備や蓄電池に加え、住宅における脱炭素をより一層推進するための補助制度の拡充や、事業者の脱炭素に向けた取組みを支援するための専門相談体制の整備などにも取り組みます。

さらに、県自らの率先した取組みとして、県有施設や設備の省エネルギー化の推進のほか、太陽光発電設備の導入拡大などを図ってまいります。

そのほか、持続可能な循環型社会の形成に向けては、新たな課題となっているプラスチックごみ対策や食品ロス削減の推進など、廃棄物の発生抑制・適正処理を積極的に進めるとともに、本県の恵まれた環境を将来にわたって守り育てていくため、幅広い分野における人材育成と多様な主体の連携による環境保全に向けた活動が地域全体に広がるよう、環境を守り育てる地域づくりを推進いたします。

生物多様性の保全を図るため、希少野生生物の保護の推進や、優先的に防除すべき外来種の検討等を行うとともに、依然として深刻な有害鳥獣被害対策については、市街地周辺等において、県主体の捕獲事業等を実施するほか、侵入防止対策や集落に寄せ付けない環境づくり、捕獲の担い手の確保と育成、捕獲効率の向上などに継続的に取り組みます。

動物愛護管理施策については、「さぬき動物愛護センター・しっぽの森」を拠点として、ボランティアの方々との連携を強化するなどにより、犬猫の適正な譲渡や普及啓発を一層進め、あわせて、野犬や野良猫を減らすための地域の取組みを支援するなど、引き続き、人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指してまいります。

豊島廃棄物等処理施設撤去等事業については、昨年7月に、処分地全域での地下水の排水基準の達成が確認されたことから、現在、環境基準の達成に向けた地下水浄化対策を進めるとともに、関連施設の撤去や、北海岸に設置した遮水壁の遮水機能の解除に取り組んでいるところであります。

今後、国の財政支援が受けられる来年度末までに、関連施設の撤去や処分地の整地を完了するよう取り組むこととしており、引き続き、県議会をはじめ県民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、最後まで、安全と環境保全を第一に全力で取り組みます。

次に、「活力あふれる農山漁村をつくる」については、地域が協働して行う水路やため池等の保全管理活動の促進、及び周辺環境や農村景観等に配慮した施設整備により、多面的機能、集落機能の維持・発揮に努めるとともに、魅力あふれる地域資源を発掘・活用し、都市住民との交流を促進するほか、特定の地域に継続的に多様な形で関わろうとする関係人口の創出・拡大に向け、地域の受け皿づくりの支援に引き続き取り組んでまいります。

次に、「「アート県かがわ」の魅力を高める」についてであります。

本年4月14日の開幕を予定している瀬戸内国際芸術祭2022については、島民や来場者の皆様の安全・安心に意を用いていくことを基本に、状況の変化にも柔軟に対応しながら、鋭意準備を進めているところであり、瀬戸内の自然と一体となった魅力あるアート作品やイベントを展開し、県民の皆様と一緒になって本県の魅力を発信することで、地域全体の活性化につなげてまいります。

また、四国遍路の世界遺産登録に向けては、札所寺院等の文化財調査や普遍的価値の研究など、国の暫定一覧表への追加記載を展望した準備を進めるとともに、四国4県をはじめ産学官民が一体となった世界遺産登録推進協議会とも連携し、一層の機運醸成に取り組みます。

さらに、香川県立ミュージアムや東山魁夷せとうち美術館において、質の高い展覧会を開催するなど、文化芸術に親しむ機会の充実を図るほか、高度で洗練された独自の技法を有する香川漆芸の魅力発信や漆芸作品の販売支援に重点的に取り組んでまいります。

次に、「スポーツ県をめざす」については、7月26日から、本県では24年ぶりに
開催される令和4年度全国高等学校総合体育大会に向け、新型コロナウイルス感染症対策の徹底を図るとともに、来県される選手、関係者が安心して大会に参加できるよう、開催市町や関係機関・団体と協力し、着実に準備を進めます。

また、昨年の東京2020オリンピック競技大会での本県出身選手の活躍に続き、今後もオリンピック等の国際舞台で活躍できる本県出身のアスリートを輩出するため、スポーツの豊かな素質を持つ小学生の発掘・育成や、将来性豊かな中高校生選手の育成・支援に努めるなど、ジュニア期からの一貫した育成・強化に取り組んでまいります。

さらに、各市町とも連携、協力した地域密着型のスポーツチームへの活動支援等を通じて、県民のチームに対する愛着を育み、応援する機運の醸成に一層努めます。

このほか「『みんなでつくるせとうち田園都市・香川』実現計画」における各施策と方向性を同じくするSDGsの達成につなげていくため、SDGsに積極的に取り組む県内事業者等の活動を「見える化」する本県独自の登録制度を新たに創設し、県内におけるSDGsの普及促進を図ってまいりたいと考えております。

東京讃岐会館を含む三田小山町西地区の市街地再開発事業につきましては、現在、再開発組合において権利変換計画の策定が進められていることから、東京讃岐会館等の資産の一部について今議会に財産処分議案を御提案したところであり、再開発組合から受ける金銭給付につきましては、いったん基金に積み立て、今後取得する権利床の運営及び東京地区における県有資産の利活用の検討等にも活用してまいります。

4 令和4年度当初予算額

以上、御説明しました内容により編成した令和4年度当初予算案は、一般会計の総額で、4,952億8,000万円となり、特別会計は、国民健康保険事業など16の特別会計で、総額2,634億400万円余、病院事業会計は、収益的支出が292億1,100万円余、資本的支出が25億5,600万円余、流域下水道事業会計は、収益的支出が19億9,400万円余、資本的支出が9億5,700万円余となっています。

5 令和3年度一般会計補正予算

次に、第5号議案の令和3年度一般会計補正予算議案について、その内容を御説明いたします。

この補正予算につきましては、国の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に係る補正予算を受け、新型コロナウイルス感染症対策や防災・減災対策、デジタル田園都市国家構想関連事業等を実施するため、御提案したものであります。

まず、新型コロナウイルス感染症対策については、主なものとして、ワクチン追加接種の促進を図るため広域集団接種センターの設置・運営経費、自宅療養する新型コロナウイルス感染症患者への対応についての看護職員等研修経費のほか、収入が一定程度減少する障害者就労継続支援事業所に対する生産活動の転換等に要する経費への補助、生活福祉資金等貸付原資の県社会福祉協議会への追加補助、「新うどん県泊まってかがわ割」による県内宿泊等への助成、県立、私立高校等における一人一台タブレット端末の整備等に要する経費、障害福祉分野におけるICT・ロボット等導入への補助、県外企業向けのサテライトオフィスを整備する事業者に対する補助に要する経費を計上しようとするものであります。

次に、公共事業については、国の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を踏まえ、河川、海岸の護岸の耐震化や河道掘削のほか、道路、ため池などにおいて、防災・減災対策等を推進するものです。

また、デジタル田園都市国家構想推進交付金を活用して、官民連携の中でデジタルトランスフォーメーションを推進する拠点となる「かがわDX Lab」を整備するとともに、かがわ医療情報ネットワーク「K-MIX R」を活用した介護認定時の各種手続きをデジタル化・オンライン化する改修等を実施し、さらに国の補助事業を活用して、マイナンバーカードの普及促進に向けた県民向け広報や、平成22年度に整備した震度情報ネットワークの改修、県から消防庁等への人的被害等の報告の自動化のため防災情報システムの改修を実施するほか、独立行政法人水資源機構が実施する早明浦ダムの災害復旧に対する法定負担、瀬戸内海国立公園の施設整備、児童養護施設等で実施する賃金引上げ経費に対する補助、医療的ケア児等支援センターの各種相談体制の確保、令和3年度末までに終了しない不妊治療に対する費用負担を軽減するために国から交付される原資の子育て支援対策臨時特例基金への積立て、機械等の導入による麦産地の生産体制の強化と生産の効率化を推進するための機械整備等補助に要する経費を計上しているところであります。

これら補正予算の総額は、147億7,800万円余となっております。

また、第6号議案は、国の補正予算に対応し流域下水道施設の防災・減災対策を実施するため、流域下水道事業会計予算を補正しようとするものであります。

6 予算外議案

そのほか、予算外議案として御提案申し上げております議案は、児童・生徒数の変化等を踏まえ、県立学校職員及び市町立学校県費負担教職員の定数を改める「香川県立学校職員及び香川県市町立学校県費負担教職員定数条例の一部を改正する条例議案」など一部改正の条例が16議案のほか、「第2期かがわ創生総合戦略の変更」、新型コロナウイルス感染症への対応として、営業時間短縮要請に伴う協力金を支給するために1月20日付けで行った令和3年度一般会計予算補正の専決処分の承認などが15議案、合わせて31議案であります。

また、本日追加提案いたしました第38号議案は、2月14日からの、まん延防止等重点措置期間の延長に伴い、改めて営業時間の短縮の要請に応じていただいた飲食店に対し協力金を支給するための、令和3年度一般会計予算補正議案であります。

以上、令和4年度当初予算関係議案等の概要等について御説明いたしました。議員の皆様方におかれましては、御審議の上、よろしく御議決賜りますようお願い申し上げます。

7 次期知事選挙における出処進退について

ここで、次期知事選挙における私の出処進退についての所信を申し述べたいと思います。

私は、平成22年の知事就任以来、今日まで微力ながら、県政の諸課題に誠心誠意、取り組んでまいりましたが、本年9月に3期目の任期満了となるにあたり、あらためて知事の職責の重大さを痛感するとともに、諸先輩から引き継ぎ、全速力で走り続けた、この11年余の来し方を省み、これからの様々な状況の行く末に思いをいたし、去就について熟慮を重ねたところであります。

その結果、古稀を超えたこの機に、県政運営の襷(たすき)を次の新しい走者につないでいくことが、県政の一層の発展に資するものであると考えるに至りました。

この上は、残る任期いっぱい、新型コロナウイルス感染症対策はもとより、直面する諸問題の解決に全力を傾けてまいる所存でありますので、県議会をはじめ、県民の皆様の御理解、御協力を心よりお願い申し上げまして、私の御説明といたします。

有難うございました。
 

 

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