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公開日:2020年12月10日

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讃岐国府跡 調査現場から 25

香川県埋蔵文化財センター

讃岐国府跡発掘調査報告会を開催しました。

3月1日(日曜日)、坂出市民ふれあい会館で「讃岐国府跡発掘調査報告会」を開催しました。発掘調査成果報告に先立ち、讃岐国府跡調査指導専門委員会の委員でもある2名の先生方に講演をしていただきました。
まず、奈良文化財研究所の馬場基先生。古代の文献資料からわかる国府の役割や実像、古代の讃岐の人々の特性にも迫りました。古代の讃岐の人々の知的レベルの高さと字の汚さは全国トップレベル、との指摘もあり、1000年以上の時空を超えて古代の讃岐の人々をとても身近に感じました。時折ジョークを交えながらの楽しくわかりやすい説明で、参加者のみなさんも大満足のようでした。渡部明夫先生の講演では、讃岐国府の西隣りに位置する開法寺から出土した瓦について、軒瓦の文様や瓦の作り方、讃岐国分寺の軒瓦の文様との同笵関係(軒瓦に文様をつけるために使う笵型(スタンプを)が同じということ)などを分析し、存続年代や国分寺との関係を考えました。最後は、当センターの讃岐国府跡発掘調査の担当から、国府の立地、これまでに明らかになった区画施設や大型建物などを関連付けながら、今年度の発掘調査成果について説明しました。
あいにくの雨模様でしたが、135名もの方々が講演や報告に熱心に耳を傾けました。(3月4日)

市民ふれあい会館

会場の坂出市民ふれあい会館

市長あいさつ

綾・坂出市長のあいさつ

馬場先生講演

「文字が語る讃岐国府の姿」馬場先生の講演

渡部先生講演

「開法寺と讃岐の古代寺院」渡部先生の講演

成果の報告 平成26年度讃岐国府跡の発掘調査の成果報告

埋め戻しがほぼ終了しました

現地説明会の終了後、順次狭い調査区から埋め戻しを開始しました。国府の調査は、地元の方の田圃をお借りして農閑期に実施しており、春から米作りができるように田圃を復旧する必要があります。今回見つかった貴重な建物跡群などの遺構を保護するため、まず調査区全体を砂で覆った後、春から米作りができるように慎重に埋め戻しを行います。まとまった雨が降ると埋め戻しに支障があるので、天気予報をにらみながら進めていきました。
11月に調査を開始して以降、厳しい寒さに耐えながらも時には熱く燃えながら調査を行ってきましたが、もう3月。当センターの近くの梅も花も咲き始め、日々暖かくなってきました。古代の大型建物跡が見つかった国府跡の現場も田圃に戻って米作りに備えられ、日常の風景へと戻ります。次の冬の調査では、古代の国府のどんな姿を明らかにすることができるのでしょうか。今から楽しみです。
地権者の方をはじめ、地元の方々には様々な面で多大なご協力をいただきました。ありがとうございました。(2月27日)

埋め戻し1調査区全体を砂で覆った後に石灰を混ぜた花崗土で埋め戻し、転圧をかける。
現地説明会の後に訪れる見学者のために、大型建物跡の埋め戻しは一番最後。

埋め戻し2
埋め戻しはほぼ終了。古代の国府の遺構も再び地下へ。

梅
センターの前の梅の花も咲き始めました。

現地説明会を開催しました。

2月15日(日曜日)に現地説明会を開催しました。先週末の、風が吹きすさぶ寒い気候とはうってかわって穏やかな気候に恵まれました。
讃岐国府についてのおおまかな説明の後、今年度の成果についてこれまでの成果と関連させながら説明をしました。今年度の目玉は平安時代の大型建物跡。建物の一部分が見つかっただけなので、現地を見ただけでは少し理解しづらいところもありましたが、この建物跡がなぜ大型だとわかり、国府の中でどのような意味を持つ可能性があるものか、など担当の熱のこもった説明で今年度の成果を伝えられたのではないかと思います。説明会の終了後も、参加者や報道関係者から熱心な質問がありました。
例年よりも広い面積を掘り下げて調査を進めていることもあり、参加者の方々にはゆったりと現地を見ていただけたと思います。前日に実施した地元説明会と合わせ、240名もの参加者がありました。多くの方々に関心を寄せていただき、ありがとうございました。
今年度の調査もほぼ終了です。今後は、一部残った掘り下げ作業や測量作業などを進めながら、徐々に埋め戻し作業を行っていきます。(2月16日)

大型建物跡 今年度の目玉。大型建物跡

現地説明会
広い調査区を囲んで、現地説明会の開始

区画施設の説明
1昨年度に見つかった区画施設の続きが見つかりました。

府中小学校5・6年生が見学に来ました

府中小学校の5・6年生が発掘現場の見学に来ました。風がびゅうびゅう吹いて、寒さになれている現場スタッフも根を上げる寒さの中でしたが、子供たちは元気よくやってきました。
府中小学校は埋文センターとは綾川をはさんで向かい側にある学校。府中町の歴史を学び、地域へも発信する取り組みに毎年力を入れています。今年度の6年生も、1年間かけて国府を含めた府中町の歴史を勉強してきました。5年生だった昨年度も讃岐国府跡の発掘現場へ見学に来ましたが、日本の歴史や国府についての知識を得てから来ると、また違った発見があったでしょう。実際にどのように柱穴を見つけ出し、建物を復元して国府の全体像を復元していくのか、記憶に残して発掘調査にも興味を持ってほしいと思います。
5年生にとっては歴史の勉強はこれから。歴史的なことがらについては少し難しかった部分もあったと思いますが、府中町がかつては香川県の中心だったことを理解して、来年の学習に役立て、また1年後、日本の歴史や地域の歴史を学んだあとに国府の現場へ見学に来てほしいと思います。(2月16日)

府中小学校児童
発掘現場では柱穴の跡はどんなふうに見つかるのかな

NHK取材
この日はNHKの取材もありました

千客万来

讃岐国府跡の調査も大詰め。現地説明会で今年度の調査成果を披露できるよう、雨にも冬の寒さにも負けず調査を進めています。
年が明け、国府跡の調査現場を見学に訪れる団体がほぼ毎週、合計5件ありました。国府跡についてくわしく知ろう!とセンターの展示室と合わせて見学に来る場合、ウォーキングが主目的で周辺の史跡巡りのコースとして見学する場合があり、見学者も小学生からお年寄りまでと様々です。
発掘調査現場では、どのように作業をして柱穴を見つけるか、見つかった柱穴からどのように建物を復元するか、時には実際に柱穴を見つけるためのガリカケ作業も体験してもらいました。ガリカケ作業は地面を薄く削って平らにする作業で、慣れていないとなかなか難しいですが、ガリカケ作業で柱穴の輪郭が見えてきたり、土器が出てきたりすると、夢中になって作業する光景がみられました。ガリカケ作業は年齢に関係なく参加者の心に残った体験だったようでした。
讃岐国府跡探索事業を開始して6年目がほぼ終了し、国府跡の見学についてお問い合わせを多くいただきます。国府跡が今後さらに皆さんの身近なものになることを願っています。(2月12日)

見学1
発掘現場の見学

見学2
並んでいるのは、どの柱穴かな?

発掘体験 ガリカケをして柱穴を探してみてください!

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