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公開日:2023年01月27日

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ご提言等の内容(香川県の工事の仕様発注方式について)

受付年月日

2022年12月30日

回答年月日

2023年01月16日

テーマ

香川県の工事の仕様発注方式について

提言内容

香川県が実施する工事は、他国に類を見ないわが国独自の仕様発注方式(詳細仕様を確定させた工事仕様書に基づいて、緻密な積算により予定価格を策定した上で、施工を発注する方式)で発注しています。「設計・施工の分離の原則」を絶対視しようとする勘違いが、香川県にも浸透しているからです。その結果、グローバルスタンダードな性能発注方式(実現を求める要求要件を規定した要求水準書に基づいて、見積書の徴収・査定により予定価格を策定した上で、設計と施工を一括発注する方式)の活用が、全く忌避されています。
ところで、新国立競技場整備事業は、仕様発注方式で大失敗し破綻したのですが、性能発注方式(公共工事の品質確保の促進に関する法律第18条に規定された方式)で復活し成功しました。この事例から、性能発注方式には、仕様発注方式に起因する諸問題を解決するパワーがあることが明らかです。
そこで、性能発注方式の活用を忌避させている前記の勘違いが、「法令上の根拠規定を欠いた勘違い」であることを次に記載します。
「設計・施工の分離の原則」は、昭和34年発出の建設事務次官通達「土木事業に係わる設計業務等を委託する場合の契約方式等について」の中で打ち出されたものです。この通達を端緒として、「設計・施工の分離の原則」に基づく仕様発注方式が、法令上の根拠規定を欠いたまま、土木分野のみならず建築分野なども含めて全国に浸透し今日に至っているのです。
問題は、今日では官民の技術力が逆転していることです。戦前の土木・建築の公共工事は、全てが官庁直営方式でした。このため、昭和30年代は、民間に比べて官庁の技術力が圧倒的に上でした。仕様発注方式は、このような時代に適合して生まれたのです。しかし、昭和から平成に移り変わる頃に官民の技術力は逆転し始め、今日では、民間が最先端の技術力を有しています。
それゆえ、「この工事仕様書のとおりにやってくれ」といった仕様発注方式は、今日ではあたかも、技術力に劣る者が優る者に対して指図するような、おこがましい状況にあります。このことが、近年多発している「施工結果における責任問題」に直結しています。つまり、仕様発注方式では、発注者が示した工事仕様書に従った施工で生じた不具合の責任は、工事仕様書を示した発注者が負うことになるのです。これは、外部委託で作成した設計図書の誤りに起因する施工時の不具合についても同じであり、設計図書に基づく工事仕様書を示した発注者の責任は免れません。
このことを具体的にご理解いただくために、仕様発注方式に起因して大阪府が発注者責任を問われた事例を次に記載します。
2021年9月のデジタル情報記事によれば、大阪府が東大阪市に整備した宝町調節池の竣工から4年後に、調節池に隣接する民間工場の経営者から、整備工事で工場地盤が不同沈下して被害を受けたとして、損害賠償訴訟が提起されました。2021年9月、大阪地裁は判決で、設計段階での不同沈下対策の不備が原因として、大阪府の過失責任を認めて賠償を命じています。
他方、施工業者の過失責任は否定しています。
宝町調整池整備事業は、仕様発注方式でした。大阪府が示した工事仕様書に従った施工が不具合を生じたのですから、大阪府が責任を負うことになったのです。
このような問題は、性能発注方式で解決できます。性能発注方式では、要求要件を示す要求水準書を用います。そこで、宝町調整池整備事業を例とすれば、実現を求める要求要件の一つとして「現場での工事は、第三者及び既存施設に害を及ぼさないように実施すること」を規定しておくことにより、受注業者の責任で設計と施工を通じた工場地盤の不同沈下対策ができるのです。
仕様発注方式を性能発注方式に切り替えていく上でのモデル事例は、前記の新国立競技場整備事業です。工事規模の大小に関わらず、性能発注方式の基本的な取組み方や考え方は同じですから、新国立競技場整備事業は、理想的な要求水準書を作成した貴重なモデル事例であり、要求水準書に基づく業者見積もりの査定により予定価格を策定する上でのモデル事例となります。
以上を、提言として具申致します。

回答内容

メールを拝見しました。

公共工事の入札および契約の方法については、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」では、発注者は、公共工事などの性格、地域の実情などに応じ、多様な方法の中から適切な方法を選択し、または組み合わせることができるとされています。
また、国の「公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドライン」では、透明性、公正性、必要かつ十分な競争性の確保を前提としつつ、発注者の技術力や体制を踏まえ、事業の特性や地域の実情などに応じて多様な入札契約方式の中から最も適切な入札契約方式を選択する必要があるとされています。
今後も、これらを踏まえ、入札契約制度の適切な運用に努めてまいります。

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