ご提言等の内容(香川県対処方針の移行基準見直しについて)
受付年月日
2022年06月30日
回答年月日
2022年07月14日
テーマ
香川県対処方針の移行基準見直しについて
提言内容
(2022年)6月17日の第108回香川県新型コロナウイルス対策本部会議で見直された「香川県対処方針における移行基準」について、不安しかありません。検討や分析が不十分です。
不安(1)「総合的な判断」の解釈について
香川県が引用・強調されています分科会提言の「新たなレベル分類の考え方」に基づく「総合的に判断する」との言葉を、香川県は間違って解釈・運用されていると感じます。今回の移行基準の見直し案では、医療ひっ迫具合の1つの視点、2つの指標だけに減少させて、かえって機動的で柔軟な、総合的な判断ができなくなっていると感じます。「総合的に判断する」ことを生かすためには、複数の視点、より多くの指標・参考指標を設定した上で、各種データ分析の結果、改善方向に向かっていることが確認されれば、総合的に判断して警戒レベルを引き下げ、各種データが増加傾向を示せば警戒レベルを引き上げることができるように改善すべきです。
また、感染が減少から反転して急拡大した際には、今回の指標では、後手を踏んでしまうことが見え見えで、不安しかありません。
さらに、見直し前の「香川県対処方針」にも、分科会提言の「新たなレベル分類の考え方」にも記載されています「予測ツールの活用」と、さまざまな指標の双方を用いて「総合的に判断する」必要があるとされているのに、今回の見直しで、「予測ツールの活用」を削除しており、削除理由の説明もなく、第6波では県の対策本部会議に一度も予測ツールを活用した予測値の報告はありません。自分たちで定めていたルールを自分たちがルール無視しており、県の対応に信用できません。
いまだ変異を繰り返しているコロナウイルスの特性を正確に速やかに把握することは困難である上に、指標を1つの視点だけにしたので、これまでの経験から学んできたさまざまなデータや指標を活用して総合的に判断することができなくなったと感じます。分科会提言の「新たなレベル分類の考え方」の趣旨に逆行して、1つの視点、2つだけの指標に改悪して、香川県がこれまで公表してきたデータの少なさや分析力の乏しさは痛感していますので、果たして、適切な判断ができるのか、判断が遅れることがないのかとても不安です。
不安(2)今回見直した移行基準で、第6波の感染拡大初期でのシミュレーションを行った場合、改悪にならないことが確認されていません。
このように、基準を見直す場合、見直した基準に当てはめて、仮に第6波の感染拡大初期の際、警戒レベルの判断・格上げがどのようになるのかシミュレーションを行って改悪とならないことを確認すべきですが、対策本部会議資料には、このシミュレーション結果が報告されておらず、実施されていません。行政としての怠慢です。危機管理において、至極当たり前な基準見直し時のシミュレーションが行われていません。
私は、第6波の香川県の初動対応・判断は後手を踏んだと感じています。オミクロン株の感染力が強くて弱毒性であるとの諸外国からの情報を受けて、弱毒性の部分で楽観視していたと感じています。さらに、年末に久しぶりに感染者が確認されて、年始には県内でもオミクロン株による感染が判明したにもかかわらず、当時の各種データ分析や情報公開をおろそかにして、感染急拡大のスピードに対して、3回目のワクチン接種の遅れや積極的疫学調査に基づく濃厚接触者へのPCR検査の適切な実施、無料検査での上限枠設定による検査抑制、保健所機能のマヒおよび確保病床のフェーズ格上げ判断の遅れ(フェーズ格上げ指示から即応病床確保までのタイムラグ)などが後手に回って、重症化リスクの高い高齢者を入院させることができなくなって、特例承認された治療薬の投与・服用が間に合わず多くの高齢者の死(60歳以上の死亡者87人)を招いたという結果が物語っていると思います。
新規感染者数は大幅な減少が継続してきているが、現在は、下げ幅が減少してきており、下げ止まりの兆候も示しています。これから反転し、急拡大した際、確保病床使用率・重症病床使用率だけを指標とした場合、感染急拡大から入院者が増加するまでにはタイムラグがあり、対策や取り組みが後手に回ってきたことを見てきており、これまでの後手の経験が生かされておらず、感染急拡大に伴う確保病床のフェーズ引き上げや医療体制・検査体制の強化が後手に回った実績を回避するための対応や備えが不十分だと感じます。
感染が急拡大した場合、県は対応を強化するどころか緩和して、積極的疫学調査の範囲を緩和して対象者を少なくしたり、検査キットなどの不足によって一定程度の割合で発生している無症状感染者に対する無料検査に対して上限枠を設定して検査数を抑制したりしてきました。
さらに、今回の見直しに併せて、確保病床を5床増加して271床(変更前は266床)としているため、確保病床使用率が20%を超えるタイミングが後ろにずれて、第6波の感染急拡大時と同様な感染の波が来た際には、対応がさらに後手に回ることが予想されます。
そのための対応・備えとして、確保病床271床のうち、透析患者専用2床、精神疾患患者専用4床と重症者もしくはそのリスクが高い患者専用24床は、常時活用されておらず、第6波での特定疾患専用病床の使用率は低くなっています。
確保病床使用率を算出する際の運用ルールとして分母の数値は271床から30床(2+4+24)を引いた241床をベースとして、対象(透析、精神疾患、重症者もしくは高リスク)の患者が入院した際に、分母としてもカウントして確保病床使用率を算出するルールとして、対象(透析、精神疾患、重症者もしくは高リスク)の患者が入院していない場合は、241床を分母として算出した確保病床使用率とする見直しを提案します。
また、確保病床計画のフェーズ3への引き上げ判断を、現在のフェーズ2の確保病床に対する使用病床が2分の1から3分の1に見直すことを提案します。
そして、確保病床使用率が10%程度、確保病床への入院患者数も1日当たり30人以下で推移しているのに、271床に対して補助金を垂れ流して病院の赤字に充当されているとのマスコミ報道もあります。税金の無駄使いだと思います。もっと柔軟に確保病床の数を引き下げることができるルールも策定すべきです。
不安(3)病床使用率の指標だけでは現状が把握できていないと感じます。参考指標の追加を提案します。
《有効抗体保有率》59.7%+アルファ(5月19日時点)
有効抗体保有率とは、感染予防効果のある抗体を保有していると思われる者の人口比と設定し、ワクチン接種後5カ月間をワクチンによる感染予防有効期間と設定、コロナウイルスに感染した後5カ月間は有効な抗体が維持できると設定する。
有効抗体保有率が約6割を超えてきた5月19日頃から新規感染者数は大幅な減少傾向が継続している。逆に、ワクチン接種後5カ月が経過すると抗体が低下して、感染予防効果が薄れてくるため、7月中旬以降は、有効抗体保有率が5割を切ってくることが推測され、新規感染者は増加に転じるリスクがある。さらに、7月中旬以降からは、県民割の全国展開開始に伴う観光客の増加や全国高等学校総合体育大会の開催、夏休み期間の旅行、瀬戸内国際芸術祭夏会期など、人の移動や経済活動が活発になり、人との接触機会が増加するタイミングとも重なって、新規感染者数は増加に転じるリスクが高くなってきます。
【581,892人(2回目と3回目ワクチン接種者)/973,896人】
3回目ワクチン接種555,918人(5月19日時点)
2回目ワクチン接種769,157(5月19日時点)-743,161(12月23日時点)=25,974人
第6波感染者40,941人(12月27日~5月19日時点)のうちワクチン未接種者
4回目ワクチン接種
政府も高松市も4回目のワクチン接種状況を公表しているのに、香川県は、公表していません。情報公開や情報収集の感度がとても低いです。
《受診相談件数(1週間平均値)の推移》
2021年12月13日 5.43件(最小値)
2021年12月27日 11.57件
2022年1月18日 150.57件
2022年2月1日 311.14件(ピーク値)
2022年3月21日 119.00件
2022年5月19日 97.57件(100件を切る)
2022年6月8日 48.14件(50件を切る)
《PCR検査陽性率》
2021年12月21日~12月28日 0.1%〔2人/1,555件〕
2022年1月19日~1月25日 14.6%〔1,429人/9,783件〕
2022年2月15日~2月21日 28.2%〔2,900人/10,279件〕(感染者数のピーク)
2022年4月27日~5月3日 43.7%〔1,669人/3,815件〕(陽性率のピーク)
2022年5月25日~5月31日 21.1%〔1,240人/5,888件〕
2022年6月15日~21日 12.6%〔490人/3,874件〕
2月12日から5月24日までは、PCR検査陽性率が30%を超過して高止まりしており、5月25日以降、急速に減少してきています。
回答内容
メールを拝見しました。
香川県対処方針における移行基準の見直しについて、見直し前の移行基準では、確保病床使用率が低い水準で推移し、安定的に一般医療が確保され、新型コロナウイルス感染症に対し医療が対応できている状況であっても、「療養者数」や「直近1週間の累積新規感染者数」の数値が高い場合は、「感染警戒対策期」に該当せず、実態との乖離(かいり)が生じていました。
こうした状態を改善するために、オミクロン株の特徴である「感染・伝播性は高いが、軽症者や無症状者が多く、大型連休後、新規感染者数が増加傾向となって以降も、確保病床使用率は大きく増加せず、安定的に推移している」、「療養者数が増加しても、自宅療養が主流となっており、確保病床使用率への影響が小さくなってきている」といった点を踏まえて、医療提供体制への影響度に応じ、適切に対策期を移行できるよう、医療のひっ迫具合をより重視した移行基準に改正したものですのでご理解ください。
感染拡大時における対策期の移行については、確保病床使用率、重症確保病床使用率のいずれかの数値が各対策期の基準値を上回った場合に総合的に判断することとしていますが、参考指標としている「療養者数」や「直近1週間の累積新規感染者数」などの状況も見ながら、感染急拡大時には、移行基準より早めの移行を検討することとしていることから、適切に対応できるものと考えています。
ご提案いただいた「有効抗体保有率」などを参考指標に追加することは、現時点では、考えておりませんが、引き続き、皆さまからいただいたご意見も参考にしながら、状況に応じた対策を適切に行うよう努めてまいります。
なお、確保病床使用率については、国から示された計算方法で、他の都道府県と同様に算定していますので、ご理解ください。
確保病床計画のフェーズ引き上げの判断についても、確保病床使用率だけではなく、日々増減する新規感染者数の動向なども考慮し、感染状況に応じて、機を逸することなく対応します。
今後も、一日も早く日常生活や社会経済活動を回復できるよう、国、各市町とも連携し、感染拡大の抑止とともに、保健医療提供体制の確保を通じて、県民の皆さまの健康、暮らしを守れるよう全力で取り組んでまいりますので、ご理解、ご協力をお願いいたします。
香川県対処方針における移行基準に関すること:健康福祉総務課
確保病床使用率、病床確保計画のフェーズ移行に関すること:感染症対策課