ご提言等の内容(宿泊税の導入について)
受付年月日
2025年09月05日
回答年月日
2025年09月19日
テーマ
宿泊税の導入について
提言内容
香川県において宿泊税導入が検討されていると聞き、県民として反対意見を申し上げます。
まず、2025年の○○(情報誌名)観光国内宿泊旅行調査において、香川県が総合満足度部門で全国1位となる快挙を達成しました。注目すべきは、香川県は宿泊税を導入していないにもかかわらず、多くの観光客が満足し、他県をも上回る評価を得ているという事実です。
この事実は、今の香川県の魅力や観光対応力そのものが十分に観光客の期待に応えていることを証明しています。
宿泊税導入の根拠として「観光振興財源確保」が挙げられますが、先行自治体などでは、宿泊税導入前後で観光関連予算規模は大きく変わらず、既存事業の財源を一般財源から宿泊税に「付け替え」ただけ、という実態が指摘されています。これでは新たな住民サービスの拡充や地域活性化に直結せず、単なる名目変更にすぎないことから、導入の意義は薄いと言わざるを得ません。
また、「受益者負担」の観点から宿泊税導入を正当化する意見もありますが、この理屈にも疑問があります。宿泊者が得る直接的な利便とされるインフラ(水道・ごみ処理など)の利用料は、もともと宿泊料金に含まれていると考えるのが妥当です。観光プロモーションや観光インフラ整備は、宿泊者自らが求めたサービスとは言えません。受益と負担の関係が不明瞭なまま、宿泊客に一律負担を課すことは合理性を欠いています。旧跡や公衆トイレなどの維持費も、必要に応じて利用者から直接利用料を徴収することで賄うべきです。
より根本的な問題は憲法上の論点です。宿泊税は香川県民だけでなく、日本全国、さらには海外からの旅行者までが課税対象です。こうした「非主権者」(香川県議会に参政権のない人)への課税については、憲法学上および判例から慎重な検討が必要です。
宿泊税のように全世界の旅行者までを幅広く課税対象とし、課税対象者に事前の説明や合意形成の機会を持つことが現実的に不可能な制度は、納得感のないまま課税を進めることになりかねず、租税民主主義の理念から問題があると考えます。
加えて、宿泊税は少額とはいえ観光客の心理的ハードルを高め、競争力低下やリピーター減少につながるリスクも十分考えられます。
県税はあくまでも県民の幸福と生活向上のために使われるべきであり、新たな負担を課す前に、現状の観光政策や予算の検証・改善を徹底することが先決です。
今後も多くの旅行者が安心して、何度でも香川を訪れたいと思えるよう、「宿泊税なき魅力ある観光県」の維持をお願いいたします。
以上より、宿泊税の導入には反対します。憲法の精神と民主主義の原則に照らして慎重なご判断をお願い申し上げます。
回答内容
メールを拝見しました。
宿泊税導入についてのご意見をいただき、ありがとうございます。
現在、地域の観光施策の財源として、宿泊税の導入や検討を進める自治体が全国で増加している状況にあります。県ではこうした状況を踏まえ、まず導入の是非を検討する前に、宿泊税がどのようなものか、また、どのような課題があるかについて、県内市町と勉強会などを開催しているところです。
県といたしましては、いただいたご意見も参考にしながら、県内市町や宿泊事業者をはじめとした観光関係事業者と協議を行うなどして、今年度中に一定の方向性を示したいと考えています。