ご提言等の内容(新型コロナ感染急拡大への対応などについて)
受付年月日
2022年01月08日
回答年月日
2022年01月21日
テーマ
新型コロナ感染急拡大への対応などについて
提言内容
(1通目)
香川県でも年末年始の帰省や移動などによって感染が拡大傾向を示していますが、県の対処方針は2022年1月3日から、下から2番目である感染警戒対策期(レベル1)に移行したばかりです。それなのに、1月7日付けで県ホームページには、「新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合の対応について」を掲載して、オミクロン株患者の入退院および濃厚接触者の取扱いをデルタ株と同様な扱いとすることを決定してお知らせしています。
このことは、オミクロン株患者の入院や宿泊療養・自宅療養を判断する重要な意思決定です。国からの事務連絡では、感染急拡大時の判断要素として、「3週間後に必要とされる病床数に基づく病床使用率(確保病床数に占める使用者数の割合)が50%を超えることが想定されること」など、医療現場や保健所業務のひっ迫状況が想定される場合とされています。少なくとも、県の対策本部会議に諮って、県内の感染状況や医療提供体制のひっ迫状況の分析・判断を行って、最低でも県対処方針を下から3番目の感染拡大防止対策期(レベル2)に引き上げて、病床確保フェーズを現在のフェーズ1から二段階引き上げてフェーズ3にした上で、予測ツールを活用して今後の見通しも含めての判断が必要だと思います。
現在の感染状況や医療提供体制のひっ迫状況に関するさまざまなデータをお持ちの県が、本当に、感染急拡大を見通すのであれば、それなりの意思決定手続きを踏まえた上で、県民に対して今後の見通しも含めて危機感と具体的な行動変容などの対応を発信してください。くれぐれも、今後の感染急拡大を見通していたのに、対処方針の引き上げや病床確保フェーズの格上げ、さらには保健所への人員増強、自宅療養者や宿泊療養者への医療提供体制の拡充などを実施しないで後手を踏むことのないよう、よろしくお願いします。
(2通目)
香川県では、今夏(2021年夏)の感染拡大を受けて「今後の保健・医療提供体制の整備」を決定していますが、確保病床数が全然不足していると感じました。
理由1.公表されている確保病床数は、楽観的な前提条件の下、感染力が2倍の想定しかしていない。
⇒最悪の事態を想定するのであれば、全体像の中でも記述があるように、感染力が3倍となった場合に必要な確保病床数も試算して公表すべきです。具体的に、どの程度の数をさらに緊急の医療施設として確保しなければならないのか把握することが必要だと思います。
理由2.香川県の健康に関するデータが加味されていない。
⇒香川県の県民や児童は、糖尿病やその予備軍にり患している比率が全国平均よりも高いとの報道を目にしたことがあります。具体的な数値は県の担当者はご存じだと思いますが、コロナウイルスに感染した場合には、基礎疾患のある人は急変して重症化しやすいことが判明しています。ただ、基礎疾患を有する全ての人が急変や重症化しているわけでもないため、より詳細に重症化する要因が判明すれば、ピンポイントに重症化しやすい人のみを入院治療させることができますが、現在の知見ではそこまで判明していませんので、基礎疾患のある人は入院させて急変リスクに備える必要があると思われます。昨年(2021年)の夏には、確保している病床はあっても医療従事者がいなくて入院させることができず、ホテル療養や自宅療養(実質的には放置)を可能とするような通知文書を出して、入院させなければならない人を制限した上での対応を余儀なくされました。当時の香川県の入院対象者が実質的にどのような運用がされたのか検証し、その結果を公表すべきです。基礎疾患を有している人で、入院させることができていなかった場合には、それらの数も考慮して試算した病床数である必要があると思います。さらに、ワクチン接種時に提出した予診票には基礎疾患の状況も記入してあるので、県内で基礎疾患を有する人数は把握できると思います。香川県としては、次の感染拡大の第6波が訪れたとき、基礎疾患があり重症化リスクの高い人と中等症以上の人は入院できる病床数を確保してください。
理由3.香川県における令和4年の大規模イベント開催による県外からの旅行者などの流入人口が加味されていない。
⇒令和4年には、香川県では瀬戸内芸術祭やインターハイ、全国高等学校文化祭などの大規模イベントの開催が計画されており、県外からの入り込み旅行者などによる滞留人口が多くなります。長年準備を進めてきていると思われますので、中止に伴う経済損失や学生への教育的機会損失は計れません。中止の判断をせざるを得ないことがないよう、香川県として最大限の病床確保をお願いします。
理由4.ワクチンの2回接種による発症予防・重症化予防効果を過大評価し過ぎている。
⇒オミクロン株には2回のワクチン接種でもブレークスルー感染が起きることが判明しており、諸外国では2回目のワクチン接種後3~5カ月程度以内で3回目のワクチン接種を実施していますが、日本では、十分なワクチンの確保ができず、6カ月を超えても3回目のワクチン接種ができない現状です。ワクチンによる効果をもう少し低く見積もった状況で必要な病床数の算出も行うべきです。
理由5.香川県が計画している確保病床数(264床)は、政府が示した全体像の楽観的前提条件に基づいて試算した病床数であって、単なる数合わせだと思います。本当の意味での最悪の事態を想定して試算された病床数なのか疑問を感じています。
⇒前述の理由に記載のある加味すべきプラスα分の病床数が考慮されていません。県の医師会や病院関係者と喧々諤々(けんけんがくがく)の議論をし、県民の命と健康を守り抜くんだという強い意志が、現計画の確保病床数からは伝わってきません。さらに、県の担当者はご存じだと思われますが、現計画には、公的病院である○○(医療機関名)は重点医療機関に指定されていません。コロナ病床確保の対象となっていません。そして、県の医療計画に基づき、今後廃止予定の病床や現在は休棟中で今後再開する予定の病床など、もっとコロナ病床として活用できる休眠病床が香川県にはいっぱいあるのでコロナ病床として活用することを検討すべきです。
最後に大切なのは、計画している病床を確実にコロナ病床として運用するために必要な医療従事者を確保することと、重点医療機関がコロナ患者を本当に受け入れることができる即応病床を県が把握できるシステムを構築することだと思います。
⇒昨年(2021年)8月25日時点で厚労省から公表された「新型コロナウイルス感染症患者の療養状況、病床数等に関する調査結果」では、「現在のフェーズにおいて、新型コロナウイルス感染症患者の受入れ要請があれば、即時患者受入れを行うことが可能な病床数である即応病床数」を234床と報告されていますが、実態は重点医療機関が確保していたコロナ病床で受け入れていた人数は156人で8人の方は重点病院以外で入院しており、ピーク時の入院率は67%にとどまっていた実態があります。さらに、政府は確保病床の使用率8割を目指していますが、病床を確保している病院には税金を投入して補助金を支給しているのに、100%の使用率を目指さないことに疑問を感じます。結果として、さまざまな要因によって使用率が90%程度に低下するぐらいまでが許容できる範囲だと思います。これまでの経験からそれぞれの病院でコロナ患者(病棟)当たりに必要な医療従事者の人数(24時間交代制要因も含めて)が判明していると思われるので、確保病床計画フェーズごとの確保病床数と併せて必要な医療従事者の人数も、事前に各重点病院ごとに計画を定めて、各病院で確保できる人数と派遣応援が必要な人数を見える化して医師会と情報共有・連携を行って人材確保とコロナ病床の効率的な運用をお願いします。
(3通目)
年末年始から感染の再拡大傾向が著しくなってきており、オミクロン株の感染力の強さを感じています。急拡大したため、保健所や役所の担当者の皆さまはドタバタしていることと想像しますが、最近、県が公表されているコロナ関連のデータについて理解できない点があります。資料に分かりやすく注釈をつけるなどの工夫や記者会見時に丁寧な説明をお願いします。
不明点1.「県内の患者の状況」を日々、更新されており、医療機関で入院している人数が2022年1月10日時点で前日の58人から2人減少して56人となりました。退院・退所・療養解除した人がいないのに、2人減少した理由が不明です。教えてください。
不明点2.「県内の患者の状況」において、1月11日時点で、12月27日からの感染者累計は165人で、退院・療養解除された人数が5人のため、入院を要する人数は160人のはずが、165人となっています。内訳の医療機関54人、宿泊療養33人、自宅療養20人、入院等調整中58人の合計は165人となっています。このデータのからくりを教えてください。
不明点3.「香川県の現状」を日々、更新されており、対処方針の指標である「医療ひっ迫具合(確保病床使用率)」の根拠数値の入院患者の人数と「療養者数」の根拠数値の入院人数が1月7日分から異なっています。なぜ、入院人数が2種類あるのか教えてください。
回答内容
メール3通を拝見しました。
1通目について、新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合の対応については、国からの事務連絡に基づき、県内の感染状況や、医療提供体制、自宅等の療養体制などを総合的に踏まえ、決定しました。
なお、2022年1月11日から新型コロナウイルス感染症の病床確保計画はフェーズ2に移行し、医療機関に対して即応病床数の引き上げを要請しました。
さらに、1月13日から香川県対処方針に基づき、対策期を1段階引き上げ、「感染拡大防止対策期」に移行しました。
2通目について、新型コロナウイルス感染症の病床の確保については、医療機関への現状説明や病床確保依頼を幾度も行い、その結果多くの医療機関のご協力をいただき、患者の方々が入院するための病床を徐々に増加させてきました。
ご提案のとおり、新型コロナウイルス感染症患者のための病床を確保することも重要ですが、既存の重点医療機関においてこれ以上新型コロナウイルス感染症患者のための病床を確保することは、それ以外の一般医療の提供や緊急対応に重大な支障を生じさせる恐れがあります。
このため、さらなる病床の確保については、一般医療との両立に十分に配慮しつつ、受入病院の拡大を含め検討してまいりたいと考えております。
3通目の1点目について、医療機関で入院している方のうち2人が自宅療養へ移行となりましたので、入院患者は2人減少しましたが、「退院・退所・療養解除の状況」に変更はありませんでした。
3通目の2点目について、12月27日から1月11日までの感染者の累計169人から退院・療養解除した人数5人を減じ、1月11日に県外で発生し、県内で入院等をした患者1人を加えた人数が医療機関、宿泊療養、自宅療養、入院等調整中の合計165人となります。
3通目の3点目について、「医療ひっ迫具合(確保病床使用率)」の入院患者46人は確保病床に入院している患者数ですが、「療養者数」の入院48人は確保病床と確保病床外に入院している患者数の合計です。
今後もいただいたご意見を参考にしながら、感染拡大防止と社会経済活動の維持・回復との両立に向け、引き続き国や市町、医療機関などの関係機関と緊密に連携し、必要な対応を取っていくとともに、県民の皆さまの安全と安心が確保できるように、万全を期してまいります。